(3)
一瞬間があって、続いて激しく撃ち合う銃声が夜空を裂く。
砲声が轟く。
地が揺れた。
「始まったようだな」
馬羽がにやりと笑った。
雷鳴のような銃声が間断無く響き渡る。
ドン!
衝撃と共に屋敷が激しく揺れた。カップボードから食器が雪崩落ちた。馬羽が月陵を突き飛ばし、身を翻して月陵の手から滑った拳銃を奪い取る。
「動くな!」
馬羽が、目の前に居た一人の体を引き寄せ、叫んだ。
「やめて!」
「黙れ! 動くとコイツを撃つ」
銃口が一人の顎を突き上げる。
「その子は関係ないわ!」
「うるさい!」
叫ぶリーナに、馬羽は銃を向ける。
「やめてくれっ」
一人は思わずその腕にすがりついた。その勢いにはじかれ、馬羽の指は思わず引き金を引いた。リビングのシャンデリアが打ち砕かれ、ガラスの破片が彼らの頭上に降った。だが、一人は取りすがった馬羽の腕を放さなかった。
「やめてくれ、やめてくれよ……」
「放せ、一人、この馬鹿っ」
床に転がり揉み合ううちに、二発目が一人の頬をかすめ、床に撃ち込まれた。はっとして馬羽が体を起こす。そのまま、一人の襟首をわし掴むとその体を引き上げた。
「死にたいのか……」
一人の頬から一筋、生温かいものが滴った。
「死にたくなんかない…… でも、あんたがリーナを撃つところなんて、見たくない……」
一人の言葉に、一瞬、馬羽は毒気を抜かれたように立ち竦んだ。
その隙を狙って、月陵が身を翻したかと思うと、正確に馬羽の手首を蹴り上げた。彼の手元からはじかれた銃は修英の足元に落ちる。修英がその銃を拾い上げようとした瞬間。
轟音と共に、屋敷を再び強い衝撃が襲った。砲弾にガラス窓がはじき飛ばされ、壁が崩れ落ちる。ほぼ同時にすぐ近くで爆発音がして、厨房から火が上がった。火は倒れかけた食器棚を伝って、瞬く間にダイニングの方まで回る。「老爺!」。趙の叫ぶ声がした。




