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「裏切って、すまないな、一人。だが、これが本当の僕さ。それに」

 馬羽は修英のこめかみに銃口を当てながら、ゆっくりと修英の背後に回りこんで行く。

「僕がどう言う人間かを知れば、君は決して僕を許さないだろうね――」

 一人は問いたげな目をして馬羽を見上げる。

 だが、馬羽は既に感情をその冷たい表情の下に隠してしまっていた。凍るように、白く冷たい頬――。

 彼は廊下へと続くドアを後ろ手で開く。

「一緒に来てくれ、修英」

 そう言って、修英の車椅子に手を掛ける。

「彼らの目の前で君の頭に風穴を開けるのだけは、止すよ」

「ぎりぎりの所で、そうやって中途半端な仏心を出すのが、お前なのだろうな――」

 修英は返す。

「だが、殺ると決めたからには一気にカタをつけるべき所だったな、馬羽」

 ドアの影から、白いシャツの手が伸びる。

 馬羽の後頭部にヒヤリとした金属が触れた。


別動うごくな――」

 耳元で、カチリと安全装置を外す音がした。

「風穴が開くのはあんたの頭だよ」

「月陵――」

 馬羽が両手を挙げながら呟く。

「こんな状況で、僕が修英の傍を離れると思っていたのか?」

 月陵は嘲笑するように言い放った。

 馬羽は、リーナが向ける銃口に視線をやる。二つの銃口が自分を狙っている。どちらが優位なのか、考えるまでも無い。

「殺すな――」

 修英が振り向きもせず、言う。

 月陵は、銃を振り上げ、馬羽の後頭部を一撃した。


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