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まさかの死後の世界?

 何とも不思議な空間だ。


 右を見ても、左を見ても何も無い。上を見上げれば、見通す事が出来ぬほどの闇が広がっている。簡単に言うと、天井の無い筒状の部屋だ。


 グルっと見回し、扉らしきものが無いところを見ると、この奇妙な部屋の唯一の入り口は、頭上という事になる。まぁ、それが分かったところで、出られる訳ではないのだが。


 やっぱり上から落ちて来たんだよなぁ?


 気づいた時には、真っ白な床に座っていたので、よくわからない。


 アルフレッド殿下とダミアンの前に身を投げ出したところまでは記憶にある。ただ、この場所に見覚えがないという事は……


――死んだのか?


 まぁ、最強肉食獣人共の前に飛び出すなど、自殺行為に他ならないか。


 でも、それを後悔してはいない。


 今世の人生は、短いものだったなぁ……


 ただ、不思議な事に、よわい数十年の人生だったのに、とても濃密な時を過ごせたように感じる。やはり、前世の記憶が残っていたからなのだろうか?


 前世と今世、二回分の生を通しで過ごせば、そんな気にもなるというものだ。


 さて、お迎えはいつ来るのだろうか?


 まさか、自殺に等しい行為で死んだからと、地獄行きって事はないよなぁ。


 でも、それでもいいと思っていた。


 大切な人を失うのは、もう嫌だ……


 そんな事をツラツラ考えながら、何とはなしに上を見上げると、暗闇の中からたくさんの光が降りてくるではないか。ふわりふわりと、丸い光がゆっくりと降りてくる。そして、たくさんの光の粒が意思を持つかのように集まり、徐々に大きくなっていった。


 とうとうお迎えが来たようだ。


 小さな光の集合体が、徐々に形つくられ可視化されていく。しばらくそんな幻想的な様子を見つめていると、その光は年若い女性へと姿を変え、降りてきた。


「貴方が、ユリアスさんですか?」


「はい、そうです。えっと、いまいち状況が掴めていないのですが、貴方は天使様ですか?」


「ふふふ、天使様だなんて、そんな大層な存在ではありませんわ。死後の世界の番人とでも思ってもらえれば大丈夫です」


「やはり、ここは死後の世界でしたか」


「あら? あまり驚いてはいないようですね。ここに来る魂は、状況が掴めず、混乱しているものなのに」


「でしょうね。自分が死んだと自覚がなければ、こんな扉も無い空間に、何の説明もなく囚われれば混乱もするでしょう」


「扉ですか? ありますけど」


 目の前の女性が指差す方向へと目をやり、ゲンナリする。


 これだから天界人は……


「貴方が指す方向は扉とは言いません。普通の人間は空を飛べませんから」


「あら、まぁ……そうでしたわね」


 ふふふふと笑う女性を見つめ、何だか揶揄われているように感じるのは気のせいではないだろう。これが、死後の世界の試練というものなのだろうか。そうであるなら、不愉快極まりない。そんな事を思っているようでは、魂としてはまだまだ未熟ということなのだろう。


「私のこと、揶揄っていますか?」


「揶揄っている? いえいえ、そんな事はありません。ただ、貴方に会えたことが嬉しくて、ついね」


「えっと、どう言う事ですか? 貴方とは、面識はないはずですが」


 前世から、今世へ輪廻転生する際にも、この女性に出会った記憶はない。


「そうですね。私も、貴方に出会った事はありませんわ」


 そう言って、笑みを浮かべたまま、それ以上の事は話さない女性の態度に、ますます不信感が募っていく。


「いい加減にしてくれませんか。貴方は、何をしに、ここへ来たのですか? こんな意味のないやり取り、時間の無駄です!」


「もう少し、忍耐力があるかと思ったけど、そうでもないようね。でも、安心したわ。あの子達の相手が、貴方のような自分の意思をはっきり言えるタイプで」


「はっ? あの子達の相手?」


 おいおい、死後の世界でも、誰かの相手をしなければならないのか? 


 また誰かに振り回される人生が待っているだなんて。前世でも、今世でも、結局お人好し精神が、自分の首を絞める結果になっていることを考えると、何とも言えない気持ちになる。


「あの子達? あぁ、貴方も知っている子達よ。アルフレッドとダミアンと言えばわかるかしら?」


「はっ? ――はぁぁぁ!? 何で、貴方の口から奴らの名前が出てくるんですか??」


「え? だって私、アルフレッドの母親よ」


「……うそ……だろ?」

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