『開戦!極悪あべんジャ〜$』
サバゲーが、国体競技になった。
それは、いつかのオリンピック正式種目化よりも早かったかもしれない。
全国の高校が、誇りと青春をかけて「BB弾」で戦う時代。
銃を握るのは、兵士でも傭兵でもない——学生たち。
山形県ZAO高校。
校舎の裏にある、もはや森と化した旧校舎跡地。
そこを根城に、ひときわ異彩を放つチームがあった。
その名も──
「極悪あべんジャ〜$」!!
冷静な戦術家“中尉”桜子。
明るいトランスポーター“ふみぃ”。
大食い幹部“ジン”。
そして、金マスクの総帥“ゲソTEN”。
彼女たちは、ただ勝つためじゃない。
“仲良く、楽しく、勝ちに行く”ために生まれたチーム。
今日も彼女たちは、山形の森で弾を撃ち合い、笑っている。
これは、サバゲーを愛する少女たちの、
極悪で最高にピースな青春記録である——!
『開戦!極悪あべんジャ〜$』
――国体制度と「サバゲー時代」
21世紀後半、日本の教育は“国体制度”に変わった。
スポーツ・文化・技術・ゲーム――どれもが平等に競技とされ、
全国の高校は自分たちの得意分野で“国の代表”を目指す。
その中でも一際人気を集めたのが、
エアソフト・バトル(通称サバゲー)。
安全設計の電動銃を使い、戦略・チームワーク・反射神経を競う。
一歩間違えば戦場のようなその世界に、青春のすべてを賭ける高校生たち。
山形県立ZAO高校も、例外ではなかった。
⸻
――ZAO高校の混乱
ZAO高校のサバゲー部は、かつて県でも有数の強豪だった。
だが国体化の影響で、県予算が縮小。
部員は分裂、派閥ができ、仲間同士で罵り合う日々。
「勝ちたい奴」と「楽しみたい奴」が、分かれてしまった。
誰もが“勝つ理由”を失いかけていた。
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――その時、ひとりの金髪が立ち上がった
「ねえ……勝つのも大事だけどさ、
仲良く勝てたら、もっと最高じゃない?」
そう言ったのは、
ドイツ人とのハーフ――**セキゼ・シャッテンヴェルフ・友梨奈(ゲソTEN)**だった。
いつも明るくて、空気を読まないようで、
だけど一番みんなのことを見ていた。
その提案に集まったのが――
・冷静な戦略家、宮崎桜子(ザキミヤ中尉)
・ムードメーカー兼トランスポーター、阿部フミ(ふみぃ)
・料理上手な大食いスナイパー、鈴木純子
彼女たちは旧校舎の裏庭に集まり、
黒いパーカーに金の文字でチーム名を書いた。
「――“極悪”あべんジャ〜$、どう?」
「……仲良く勝つチームが“極悪”?」
「そう! ギャップで覚えやすいでしょ!」
「もう、発想が極悪ね……」
「採用〜☆」
笑い声がこだました。
それが、「極悪あべんジャ〜$」誕生の瞬間だった。
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――開戦前ブリーフィング(ZAO高校・旧校舎裏 森エリア)
(ザキミヤ=宮崎桜子視点)
「今日の相手、米沢実業高校だ。
県大会でも常連。油断したら終わりよ」
私はAKを抱えながら告げる。
「ふふん、まかせなさい中尉〜!」
金マスクを光らせ、ゲソTENが親指を立てる。
「モナリザも準備OK☆」
「……あんたその絵どこで手に入れたの?」
「おばあちゃんの遺品!」
「もうツッコまないことにする」
ふみぃがLMGを抱えて笑った。
「今日も楽しく勝とうね!」
「うん、勝ちに行くけど“楽しく”な」
「そこが極悪流〜!」
ジンはパンを頬張りながらソーコムを構える。
「腹が減っては戦はできぬ、ってやつ」
「アンタそれ毎回言ってる」
「名言は繰り返してこそ価値が出るの!」
私は苦笑しながらも、胸の奥に熱がこもる。
バカみたいに明るくて、バカみたいに真っ直ぐ。
でも、だからこそ――信頼できる。
⸻
――作戦開始
旧校舎裏は森と化したフィールド。
蔦、土埃、そして青春の汗の匂い。
笛が鳴る。
ピィィィ―――ッ!
「行くぞ、極悪あべんジャ〜$ッ!!」
「「「極悪あべんジャ〜$ッッ!!!」」」
銃声が一斉に響いた。
LMGの連射、AKの咆哮、ソーコムの乾いた一撃。
中央突破のゲソTENは、金マスクを光らせながらモナリザを盾に突撃。
「ほらっ! 芸術は撃たれても崩れないのよッ!」
「理屈が崩壊してるわ!」
だが、笑ってる間に本当に突破してしまうのが彼女の強さだった。
⸻
――勝利、そして“極悪”の意味
米沢実業のチームリーダーがヒットを宣言した瞬間、
ZAO高校側の無線が歓声で爆発した。
「やったぁあああ! 初勝利ぃぃぃ!!」
「ねぇ見た!? 私の盾、マジで最強☆」
「うん……あれはたぶん、運」
その日の帰り道。
夕日が沈む旧校舎の屋上で、ジュースの缶を鳴らす。
「仲良く勝つって、いいね」
ふみぃが言った。
「“極悪”って名前、やっぱり変えようか?」とジンが笑う。
すると、ゲソTENが即答した。
「ダメ! “極悪”だからいいの。
うちら、悪ノリで始めて、でも本気で仲良く勝ってんじゃん?」
「……確かに。極悪なほど真っ直ぐ、って感じね」
「でしょー!?」
笑い声が森に響く。
夕焼けが彼女たちを照らし、風が流れた。
“極悪”とは、誰かを傷つける意味じゃない。
“極端なほど仲間想い”って意味――
それが、ZAO高校サバゲー部「極悪あべんジャ〜$」の真実だ。
どうも作者です。
まさか「国体競技:サバゲー」という発想がこんなにしっくりくるとは思いませんでした。
書いてる途中で自分でも笑ってしまったのが、
“極悪”を名乗ってるのに全員めちゃくちゃ良い子なところ。
ゲソTENは金マスクでシールド構えてるし、
中尉は作戦ノートにびっしりメモしてるし、
ふみぃは試合前に「お菓子買ってこよ〜!」って言うし、
ジンは戦闘よりカップ麺を優先するし。
でも彼女たちには、“撃ち合いながら笑える友情”がある。
この作品では、「勝ち負け」よりも「笑い合える青春」を描きたいと思ってます。
次回、第2話は──
「潜入!廃校の森と鳩頭ショットガン」(仮)。
ドM興業のメンバーが出ます!




