パーティ
さっそく届いたものを使って、料理を作った。
これだけいっぱいあったら、みんなに振舞ってもまだまだ数日、下手したら1週間は持つぞ。
ありがたやーありがたやー(ノ_ _)ノ
じゃがいも、人参、牛肉……ある。
じゃあカレー作ろう。
頼んでないカレースパイスまで入ってたし。
誰かがカレー食べたかったんだろうな。
多分タケルだろうけど。
具材を1口大サイズに切って炒める。
この時にカレー粉と一緒に炒めることで、カレーの風味が良くなるって、この前小説で見たから試してみよう。
YouTubeや料理番組で美味しそうと思ったものを、自分なりに真似して作るようになって、ようやく料理にも慣れてきた気がする。
密かに書いてるレシピノートも3冊目に入った。
最初は慣れなくて、真っ黒焦げにしちゃったっけ。
塩と砂糖を間違えたりとか、分量を間違えたりとか……懐かしい。
全部タケルに押し付けた懐かしい思い出が目に浮かんでくる。
手際よく、僕は料理を進める。
カレーに合うように、サラダを盛り、ライスもバターライスにした。
あとはタケルが好きなタンドリーチキン。
作れと言わんばかりに鶏肉があったから、希望通り作ってやろう。
後はデザートは……プリンが良いね。
冷蔵庫に入れておいた。
作っているうちに、玄関の扉が開く音がした。
「おーっす!来たぞ!!」
「いいにおーい!!」
「お邪魔します」
「きた!カレーだ!!!」
「お腹すいてきたなぁ」
ぞろぞろとリビングにやってきたのは、今注目の高校生最強パーティ、【白夜】のみなさんだ。
「やあみんなおかえり。料理も丁度出来たよ。ご飯にしよう!」
「「「「やったーー!!」」」」
みんな満面の笑みを浮かべている。
みんなから一人暮らしを勧められた最大の理由が、これだ。
これまでのYouTubeでの配信や朝のニュースの1件で、【白夜】の名前は全世界に知れ渡っている。
そのため、4人の実家は報道陣とかファンが押しかける事態になってしまっている。
特定班や熱狂的ファンは恐ろしいや。
今は随分落ち着いてる方だけど、酷かった時は、4人が別行動していても、それぞれにファンや記者が押しかけてくることもあった。
そうなると、4人もき気軽にどこかに行くことも出来ないし、僕の家にも来れなくなった。
一人暮らしをする前は、よく僕の実家に集まっていてわいわい騒いでいたんだけど……。
特に現在は、リーダーである僕のことを探ろうとしてる人もいるみたいで、1人でも怪しい?行動をするようなら、直ぐに拡散され、迷惑がかかる。
それを防止するために、4人が僕の両親に頼んで了承してもらった。
レオナの転移魔法もあって、4人を移動させることは容易だし、1人でも、ファンや記者を避けるのは容易だ。
行動が制限されるみんなが少しでも安らげる場所として、僕に一人暮らしを提案したのだった。
望めば何時でもここに来ることが出来るという訳だ。
料理を食べにみんなで集まるのは少なくても、個人個人だと、誰かとほぼ毎日のように会ってる。
当初、、流石に申し訳ないから家賃は出そう、家電や調理道具等もお金を出してくれたから、返すためにバイトを始めようと思ったけど、
「金は溜まっていく一方。むしろ使ってくれないと困る」
とのことで、お金は出してもらっている。
ダンジョンの中に存在する未知なるものは高値で売れる。
特にレベルの高いダンジョンに潜れば潜るほど、価値も高くなる。
普段からダンジョンに潜っているみんなにとって、持ってるお金はとんでもないことになっている。
さらに、配信のスーパーチャットで得られる収入も凄いことになってるみたいで、これくらいなら全然問題ないとのことだ。
ここまでやってもらうと流石に何もしないのも申し訳ない。
せめてみんながくつろげる空間を作れればいいなと思って、料理を習得した。
「料理の腕が上がったみたいだね?」
ナツがキッチンまで来てくれた。
「うーん、調理スピードは早くなったなぁって自覚はあるけど、味がなぁ……。僕だけの味見で判断できないところが心配なんだよね。あっ、できた料理運ぶの手伝ってくれない?」
「もちろんさ。僕らの楽しみだよ」
「まだ簡単な料理しか出来ないけど」
「いいや、誰にもできることじゃないよ。僕やタケル、レオナも料理は苦手だからね。流石リーダーだね」
「うーん……」
みんな僕をリーダーって言ってくれるけど、いつも思うけど、僕は4人からすると幼なじみであって、パーティーのリーダーじゃないと思う。
モヤモヤした気持ちになりつつ、最後の料理をみんなのいるリビングまで運んで行った。
「お疲れ様さまみんな!」
「久しぶりだな!シオン!」
「久しぶり!ってタケルとは1番顔合わせてるじゃないか!」
「ダンジョンに居たらシオンのご飯が恋しくて恋しくてたまらなかったわ」
「あはは、たしかに。シオンさんの料理が恋しくなりますよ」
「確かにだな!シオンの料理が食べたくて攻略を終わらせて来たぜ!」
「えっ、それは流石に嘘だよね」
「「「「いや、ほんとだけど?」」」」
えぇっ……!?
みんなの表情がマジなんだけど。
「と、とりあえず冷めないうちに食べようか」
ナツが手伝ってくれて、次々とリビングに作った料理が並べられる。
レオナやユイも、取り皿やジュースの準備を手伝ってくれた。
「よし、みんなコップは持った?」
「飲み物は注いでおいたぜ!」
「タケルさん、既に1本飲んでしまってたますね!」
「我慢できなくってよう……」
「とりあえず乾杯しよう。シオン、よろしく」
タケルはコーラ、ユイとレオナはオレンジジュース、ナツはりんごジュース、僕は烏龍茶を注いだコップをそれぞれ手にした。
「え、えっと、【白夜】のレベル6ダンジョン攻略を祝って……乾杯!」
「「「「かんぱーーーーい!!!」」」」
食事が始まった。