事前説明
再び動画を再生させる前に、視聴者に問いかけてみた。
「ちなみになんですけど、レベル7ダンジョンの攻略動画って、他にもあるんですか?」
『あんまりない』
『あるにはある。でもそれは、大型ギルドやクランが多いから、【白夜】みたいにソロ攻略する動画をあげるのはない』
『そもそも、【白夜】自体がおかしい。一人一人が強すぎるから、4人のパーティとして、既に完成されている。それに加えて年齢の若さ。はっきり言ってやばい』
「あ、そうなんですね……本当にダンジョンの動画自体見ることがなかったので、改めて【白夜】の規格外さが現れてますね」
『いや、お前も規格外』
『その化け物達のリーダーだからなお前』
『くそっ、当の本人が他人事みたいに言ってやがる!!!』
なんでコメント欄怒ってんの???
「じゃ、じゃあ今回彼らが挑戦するレベル7ダンジョンなんですけど、確か名称があるんですよね」
レオナが前に言っていた、レベル1ダンジョンが、【初祓の窟】って名称らしい。
他にもあるのかな?って思ったので、せっかくだから探索者の視聴者さんもいると思うから、聞いてみよう。
『【白夜】の連中に聞けばええやん』
『レオナちゃんとか教えてくれないの?』
「まぁそうなんですけどね(*´罒`*)」
さすが視聴者。
当たり前のことをちゃんと突っ込んでくれた。
「確かにそう言われたらそうなんですけど、どうせなら視聴者さんに聞こうかなって思って。これ言ったらみんな拗ねちゃうかもしれないけど、多分みんなに聞いてたら、ネタバレになるくらい色々喋ってくると思うんだよね。某タケルとかが」
『タケル笑笑』
『タケル「え、おれ??」』
『まあ、無くはない。現に口が滑った一番の要因だし』
「でしょ?だったら視聴者に先に聞こうと思いました。もちろん、訂正箇所があったら後でみんなに聞くので」
『りょ』
『おーけ』
『ちなみに、レベル7ダンジョンは【溶けゆく月の迷宮】って言われてるぞ』
『うおー、情報ありがとう』
『めっちゃかっこいい名前やん』
「うっ、厨二心が疼く……めっちゃかっこいい名前ですね!」
『やめろ、俺にも響く』
『否定できねぇ。カッコよすぎやん』
「【溶けゆく月の迷宮】……ですか。ギミックみたいなのは大雑把に、どんなのがあるんです?」
『ボク、【識の書架】のメンバーで、レベル7ダンジョン実際に潜ったんだけど、マジでキツかった』
『ふぁ???』
『は???やっば!!』
『レイって……本物やんけ!!!なんでここいるんや!!』
おっと、コメントの流れが早くなった。
どうやら、コメントをしてくれたレイさんって人は、有名なクランの主要人物らしい。
さっき視聴者が言ってたように、【識の書架】は、レベル7ダンジョンの攻略動画を上げているクランのうちの一つらしい。
「凄い人が現れた……ちなみに、どんな風にキツかったんです?」
『うーん……コメントするのが大変だから、1度キミと話をしてみたいんだけど、良いかい?』
「えっ」
『おお!!激アツ!』
『やってくれ!!声聞きたい。ていうか、声を聞いた方がいいぞ。超イケボ』
『きゃーーー(野太い声)』
「あ、僕は全然構いませんよ。ちょっと緊張しますけど」
良い機会だから、話してみたい!
『ちょっと準備するから待ってね』
Twitterの方で、相互フォローを行い、discordを交換した。
そして2分程待つと、電話がかかってきた。
「はい。SHIONです」
『初めましてSHION。僕は【識の書架】のメンバー、レイ=アステル。よろしく』
「あ、よろしくお願いします」
めっちゃイケボだ……低い聞き取りやすい声は、某呪いアニメの『労働はクソだ』とか言ってたあの人みたいな声にそっくりだ。
『ふぁあーー!!耳が孕む』
『ゾクゾクするぅ』
視聴者さんも僕と同じ反応だ。
『それにしても驚いたよ。キミが【白夜】のリーダーなんてね』
「あ、あはは。なんかそうなんです。不本意ながらって感じですけど」
『いやいや、謙遜しなくて良いよ。ボクからするとキミが【白夜】のリーダーで納得したよ。キミが居なかったら、彼らはここまで有名にはならなかっただろうってボクは思うよ』
……そうなんだろうか?
レイさんはそう言ったが、僕の心にはモヤモヤした感情が、浮かんだ。
『おっと、話が逸れてしまって申し訳ないね。ボクも彼らのソロ攻略動画は参考にしたいから、簡潔にダンジョンについて教えておくよ』
はっ、そうだった。
レイさんの発言で、生配信していることを忘れそうになっていた。
『レベル7ダンジョン、【溶けゆく月の迷宮】は、大きくわけて3階層。記憶に干渉してきて、探索者によって、トラウマになった出来事を再現してくる、厄介なダンジョンなんだ』
『うわぁ』
『トラウマとか、嫌だな……』
『ブラック企業やめてニートになったから、その時の会社がトラウマなんだよな…アレ再現されたら死ねる』
「それは……嫌ですね……」
『だろう?ボクの場合家族の幻想が出てきて、夢であっても倒せないって思うくらいなんだ……思い出すだけでもホントに大変だったよ』
「それは……辛かったですね」
『ああ。だから彼らがどうやって突破したのかが気になるんだ。良ければ一緒にこのまま動画を見てはダメかな?』
「いや、凄くありがたいです!!レイさんさえ良ければ是非一緒に見ましょう!」
『ホントかい??ありがとう。ボクはレイって呼び捨てで構わないよ』
「ありがとうございます!!」
ということで、今度はレイさん……レイと動画を見ることにした。




