配信を始めます。
「「「「美味ぁ」」」」
『クソっ、美味そう』
『あのかき揚げ、絶対美味いやつ』
『炊き込みご飯食べたい』
『俺はコンビニ飯なのに(´;ω;`)』
視聴者が阿鼻叫喚しているのを横目に、僕も炊き込みご飯に手をつけた。
うん!美味い。
普通に炊飯器で作るんじゃなく、土鍋で炊いてるから、更に美味しさが増してると思う。
出汁とか、調味料は適当にぶっ込んだだけだけど、濃くもないし、薄くもない。
フワッと出汁の香りと、タケノコの食感が春らしさを連れてきた感じがする。
「ちょっとぉ、雑談配信しなきゃ」
『やべぇ、にんまり顔のレオナちゃんはガチでレア』
『いやいや、それを言ったらユイちゃんもだし、男性陣もだろ!!』
『どんだけ美味いんだよ!!!海外ニキ達も発狂してるし!!』
にんまりしたレオナがいつもとは違って、ゆったりした口調で僕らに注意するが、食事が美味しすぎて全く手につかない。
「あー、美味ぇ……」
タケルもバクバクと片っ端からおかずに手をつけている。
『これ全部シオンの手作りなん?』
「あ、そうですよ。自分の生配信でも言ってたんですけど、僕は一般人です。探索者資格はこの通りあるんですけど」
そう言って、探索者カードを画面に映した。
黄色と緑で装飾された探索者カードだ。
『マジで一般人じゃん』
『弱っ』
『ネタかと思ったけど、マジやんけ』
「だから僕はリーダーって言うほどの人物じゃないんですよ。ただみんなに喜んで貰えると嬉しいなって思って料理作ってるだけですし、音楽も趣味で始めましたし」
「って言ってるけど、実際めっちゃ感謝してるんだよね」
ナツが手を止めて僕の方を見る。
「だって僕ら料理出来ないし」
『確かに』
『ダンジョンで料理しようとして、みんな真っ黒焦げ作ってたよな』
『みんなダークマターになってた。ああ、懐かしいな』
『焼くって行為が出来ない不思議』
「なに、ダークマターって」
気になったコメントを僕が拾うと、いっせいに4人の顔がそっぽを向いた。
「視聴者」
『レベル4ダンジョンで、魚モンスターがいたんだけど、それを焼こうってなって、焼いたら消し炭に』
『ナツとユイは頑張ってたけど焦げた』
『タケルは焼きすぎて焦げた』
『レオナちゃんに至っては魔法で消し炭にした』
なにやってんの!?!?
レオナって、そんな野蛮なの???
「てへぺろ(´>ω∂`)」
『可愛い』
『可愛い』
『可愛い』
「そんな感じだから、たまにこうして集まって食べるシオンの料理が1番なんだ」
「「「うんうん」」」
なんかそう言われると照れるな。
「ダンジョンの話が出てきたんですけど、やっぱりダンジョンって凄いです?レベル1ダンジョンしか見た事ないから、他のダンジョンを知らないんですよね」
『あー、そうか』
『なんでなん?配信とか見れば1発よ?』
『シオンは探索者の動画見たことないぞ』
『なんなら【白夜】《みうち》ですら見ないぞ』
「そうなんですよね。だからダンジョンっていうのが分からないんですよね」
『一般人の俺らからしても分からんしな』
「ご飯も食べたし、私達が説明しましょうか」
今までご飯を食べてたレオナとユイが箸を置いて、目配せした。
ユイもレオナの方を見てコクリと頷いた。
「まずはダンジョンについてのおさらいね。シオン、ダンジョンはいくつあるか分かる?」
「たしか8つだったよね。レベル8が最高難易度だって。」
「そうです。探索者カードはどこまでダンジョンを攻略できたかを知ることもできるので、すごく便利なんです!」
「僕は黄色と緑のカードだから、形式上は『レベル1ダンジョン攻略中』になるんだよね」
探索者カードを再び取り出して、カメラに映るようにする。
「そう。でもそれは個人の場合。パーティーを組んでる場合は……そこの名前の横の丸印を見て。色が違う部分があるでしょう?」
「あ、ほんとだ。この部分だけ色が赤いね」
探索者カードなんて、ダンジョンに潜らなくなってから1度も見てないから、変わってることなんて知らなかった。
「その部分が、パーティーでどのレベルまで攻略しているかが分かるようになっているんです」
「ほえぇ、なるほど」
『はえー、初めて知ったわ』
『確かに。俺らみたいな一般人は無縁だもんな』
『マジでレベル6ダンジョン攻略してるのか……デマかと思ったわ』
『テレビに出ててデマはないでしょwww』
「ちなみに、探索者カードの色はソロで攻略した場合に色が変わる仕組みになってるわ。それによってその人の実力がわかる仕組みね。いくらパーティーで高いレベルのダンジョンに挑めてるからと言って、1人で挑む人もいるみたいだけど、最悪死んでしまうこともあるし」
確かにそうだ。
そういう無謀な探索者を防止するためにも、探索者カードって大事なんだな。
「それじゃあ4人の中で誰か一人でもレベル6ダンジョンをソロでクリアした場合は、パーティ攻略したことになるの?」
「いいえ。名前横の印は、パーティ登録したメンバーの一定数以上でクリアした場合に色が変わる仕組みなんです」
「へえー」
『なるほど』
『初めて知った』
「ちなみにだけど、一般的にレベル〇ダンジョンって言ってるけど、ちゃんとそれぞれダンジョンにも名前があるのよ。例えばレベル1ダンジョンは『初祓の窟』って呼ばれているわ」
「かっこいい!!」
『まじかっけぇ』
『厨二心が!!すごい揺さぶられる!!!』
「ま、その辺はおいおいね」
「ありがとう。2人とも」
丁度ご飯も食べ終わったし、今度は本格的に質問コーナーといこう。




