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インスタントフィクション 一期一会

作者: 宇山一博

「またね」

 奈央なおがそう言ってから今日で三年が経った。

 奈央の地元の霊園。夕暮れの射光に照らされた墓石の武田家を見た。やはりいつ見ても堅苦しく奈央には似合わないと感じる。しゃがんで手を合わせて黙祷もくとうする。

 別れ際、奈央はいつも恥ずかしげもなく無邪気な笑顔で「またね」と、大きな声で、大げさに手を振っていた。駅であろうが街中であろうが、関係なくいつも「またね」と大きく手を振る。今日の僕と出会えたことに、もう会えない今日の僕に感謝するように、手を振っていた。そんな彼女に僕は周りの目が恥ずかしく「わかったから」と大きな声で返していた。

 病室での「またね」が甦る。元気に「またね」と言っていた。最期まで今日の僕に手を振ってくれていた。

 墓石に踵を返す。遠くから子どもの「またね」が聞こえた。僕はやっぱり恥ずかしながら「わかったから」と大きな声で返した。

  

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