最終理事会
「……では、理事の皆様、これでよろしいですね」
理事長が、残念そうに円形の机を取り囲む理事と呼ばれた男女を見回す。
最終理事会、と呼ばれたこの会合で、とうとうこの会社の解散が正式に決議されることとなった。
とはいうものの、すでに実務派残されておらず、残務整理を細々としていたにすぎない。
それでもしっかりと終わりを迎えたい、という理事長の考えでこの度の理事会が開催されることとなった。
「……では、異議がなかったとして議事録に記載します。皆様、ご苦労様でした」
誰かが拍手をする。
創業数年程度の短い会社であったが、思ったことはここに居れてよかった、という気持ちだけだ。
「理事長も、お疲れの出ませんように」
立ち上がり、お辞儀を深々とする。
拍手の中、理事長も涙をこらえつつお辞儀を返してくれた。