最終話 その先に待っているのは
最終話投稿しました!
20時頃に10日間投稿してみての感想、反省を投稿します!
関係ないので読まなくても大丈夫と言いたいんですが是非読んで下さい!
体を揺さぶられる感覚と共に意識が覚醒する。
「きみたけ、大丈夫?」
暗くてよく見えないが声で目の間に居るのがチカだとわかる。
「あぁ、大丈夫だ」
体を動かしてみても背中が少々痛いくらいで怪我はしていなかった。
よくあの高さから落ちて怪我をしなかったものだ。
私はスマホを取り出して電灯をつける。
チカの心配そうな顔が見えた。
「きみたけ、ここは? 何でこんな所に?」
「私が逃した」
「なんで? きみたけが良いなら私は構わなかったのに」
私は拳を握り締める。
違う、違う、そうじゃないんだ
「チカはどうなんだ? チカが言っているのは本心じゃ無いだろう?」
懐から手紙の封筒を見せる。
「この中に書いてある助けてという言葉、これは何だ?」
「それは……」
「私が君を逃したのは私が嫌だったからだ。君が他の誰かに触れられるのが、想像するだけで吐き気がするんだ」
「きみたけ……」
「チカ、君が好きだ。こんな所で言う事では無いかもしれない、だけど言わせてくれ」
彼女は涙を流し始めた。
「きみたけぇ、私も……私も好き」
彼女の頬に手を当て、指先で涙を拭う。
「本当は嫌だった……嫌だった。でも、駄々をこねてもきみたけに迷惑をかけると思って……」
「迷惑なんかじゃないよ」
彼女を胸に引き寄せ頭を撫でる。
「きみたけ、大好き」
私の方を向き、微笑みかけてくる。
今後、彼女を危険な目に晒してしまうという事は理解している。大人しくしていれば組織から狙われる事もなかったと理解している。
でも、もしそちらの選択をしていたら、今私に向けている笑顔はもう二度と見る事が出来なかっただろう。
「さぁ、いこうか」
私達は立ち上がり歩き始める。
暗く、深い闇が眼前に広がっている。
まるで私達の未来を暗示しているかの様な闇が。
彼女の手を握ると握り返してくれる。
私はスマホの光で足元を照らす。
前は見なくて良い。
一歩一歩、彼女と共に進めるのなら。
「とんでもない事をしてくれたな。監視はどうした?」
「すみません、うとうとしてたらいつの間にか逃げちゃってました」
「はぁ……処罰は追って下す。自室で、待機しておけ」
「分かりました」
彼等が逃げてから数時間経った、先程上司からの電話がかかってきた。
お怒りの電話だ、今回は、許されないだろう。
窓の外を見ると徐々に太陽が昇り始めていた。
ここに居たら殺されるだろう。
私は荷物を纏め始める。
必要な物はかばんに詰め込み終わった。
あとは机に置かれる一冊の日記帳と書かれたノート。
私はそのノートを引き出しの中にしまう。
紀見塚さんが起こしてくれた騒ぎのお陰で、難無く外に出る事が出来た。
私は病院の駐車場を歩いていると、目の前に中学生か高校生位の女の子が立っているのが見えた。
「すみません、病院の方ですか?」
少女は話し掛けてくる。
「まぁ、一応そうですけど」
「私の父、佐江之里友次について話を聞かせて下さい」
少女は明らかな敵意を持った目で私を睨みつけていた。