第16話目 再会
16話目投稿しました!
次かその次かに完結です!
17話目は今日の20時頃か明日になるかと思います!
遂に完成した。
決意したあの日から一日後、何とか実験も成功し、組織の人間も大喜びしていた。
「約束通り、ここから出してもらいますよ」
私は目の前の私をここに送り込んだ男に詰め寄る。
「あぁ、もちろん解放しよう。ついてくるがいい」
男の後に続く。
薄暗い廊下を歩き、研究室の扉と反対側の扉の前に着く。
「ここから解放するが、研究所から出る事は禁止させてもらう。公表されたら困るからな」
「分かってます」
沢山の人間を犠牲にしてしまった。
これだけ行方不明者が出ているのにも関わらず、どうして警察は動かないのだ? 気が付いて居ないのか? 問題になっていないのか?
そんな事を考えていると扉は開いており、中は上へと向かう階段が続いていた。
階段を上がった先は研究所だった。
私はそのまま駆け出す、4階のあの部屋に向かって。
エレベーターを待つ時間すら惜しい、階段を駆け上がる。
半年間あの地下に閉じ込められていて体力や筋力は相当落ちたと実感している。
しかし今、この瞬間はそんな事を忘れたかのように動く事が出来る。
息も絶え絶えになりながら部屋の前に着いた。
息を整え、心臓を落ち着かせる。
私はドアノブを掴み、開けた。
「……きみ、たけ?」
見間違える訳が無い、そこに居たのは、始めてこの部屋であった時のようにぺたっと床に座り込むチカだ。
肌はゴム質では無く人間の肌であり、顔はあの犬や狼の様なものではなく、下手な芸能人よりも整っており美しいと感じる。
髪は背中まで伸びており、ハーフアップで纏めている。
そんな彼女は私を見て涙を流し始める。
「きみたけぇ……久しぶり」
私は彼女を抱きしめる。
チカは私に応えるかのように背中に手を回す。
「チカ……チカ、すまない、すまない、遅くなった」
「遅いよ……もっと早く逢いたかったよぉ」
最初とは違い、ひんやり冷たかった彼女の体は人間の様に体温を持っていた。
しかし、それとは別に、もっと心から温まる様な、感じたことも無い温もりを感じるのだった。
その後、チカと沢山話をした。
どんな勉強をしたのか、赤井姫乃とは仲良くやっているのか、日が落ちるまで話した。
そして、
「チカ、その姿になった理由は聞いているのか?」
「知っているよ。明日、その人がここに来るらしいんだ」
「そうか……」
何とか間に合ったか、だが計画を練っている余裕は無い。
私は立ち上がり、
「チカ、今日はもう寝なさい」
そう言うと部屋を後にしようとする。
「きみたけ!」
彼女が呼び止める
「どうした?」
「……無理しないで」
「……どうしたんだ急に?」
私は惚けた。
彼女を心配させる訳にはいかない。
私は隣の部屋に入る。
天井を見て火災警報器がある事を確認した。