↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/20

第13話 美味しいお肉

13話目投稿しました!


 14話は明日になるかも……

 もし出せたら20時頃に出します!

 

 薬品の匂い、人の死の残香、様々な匂いが重なり合うこの部屋。


 当の昔にまともな人間など居なくなっていた。

 ある者は机の下に自分がダストボックスまで運んだ人間が居ると喚き散らし、ある者は隣に誰か見えるのか、隣にある壁に向かって談笑し、ある者は赤ん坊かのように四つん這いで笑いながら部屋中を駆け回っている。


 皆狂っている、それはそうだろう。

 日光を浴びれず、辺りの光景は研究室と薄暗い自室のみ。

 決まった時間に自室で味気の無いご飯を食べ、決まった時間にシャワーを浴びる。

 薬の実験の為に何処からか連れてきた実験体に試作品を使用する。

 

 腕が腫れ上がり爆発した実験体もあれば、体がドロドロに溶け出した実験体もあった。


 断末魔がガラス張りの部屋から微かに聞こえる。


 実験体達は薬を打たれる前に決まってこう叫ぶ。


 「許してください」


 許すも何も、こちらが許して欲しい。

 私達が生き残る為に犠牲になってもらって本当にごめんなさい。



 何日経ったのだろうか? 二週間? 一ヶ月? それとも4ヶ月?


 一週間までは記録していたがそこから先はそんな余裕は無くなっていた。


 私はまだ何とか彼等の様にはなっていない。


 私を今も支え続けてくれるのはチカから送られてくる手紙があるからだ。


 体は壊してないか? お仕事は順調か? いつまでも待っている等と、内容は様々だ。


 送られてくる毎に字は綺麗になり、多彩な文章になっていく。


 そしていつも決まって最後の文にこう書いてある。


 「きみたけ大好き」


 私も好きだ、大好きだ、この気持ちを伝えたい。好きだ、好きなんだ!

  

 だから狂う訳にはいかない。


 今は自室、そろそろ晩御飯の時間だろう。


 防弾着を着た組織の一員であろう男が皿を目の前に置く。


 私は皿の上に乗っているモノを鷲掴むとソレに勢い良くかぶりつこうとする。


 「おい! 紀見塚! まて!!」


 皿を持ってきた男は叫ぶ。


 何だコイツは、もしやご飯も無しにする気か? 本当に死んでしまうぞ?


 彼は私が手に持つコレを何とか取り上げようと手を伸ばしてくる。


 私はその男を突き飛ばし、ソレにかぶりついた。








 まるでタイヤを噛んでいるかの様に噛みちぎる事が出来ない。


 噛みちぎろうと、回したり引っ張ったりしていると何とか噛みちぎる事が出来た。


 口いっぱいに土の香りと腐った肉の味が広がる。


 噛めば噛むほど味に深みが出る。 




 美味しい




 もう一度かぶりつく。

 先ほどと同じ要領で噛みちぎる。


 

 美味しい




 「きみたけ」


 もう一度、かぶりつこうとした時、

 チカの声が聞こえた。


 「チカ!!」


 声は聞こえるのに辺りにはチカがいない。


 「どこなんだ!? 姿をみせてくれ!!」


 そう言うと彼女は目の前に現れる


 「チカ!」


 「きみたけ、オイしい?」


 私の食べているコレの事を言っているのだろうか。


 私は答える、


 「あぁ、美味しいよ」


 「ナらヨカッた!」


 彼女は可愛らしく返答する。


 良く見ると彼女は血に濡れていた。


 ふと、彼女手の方に目をやる。


 二の腕から下が千切れたかの様に無くなっていた。


 


 辺りを見渡すと自室などではなく研究室にいた。


 幻覚でも見ていたのか……


 ……職員達が私の方をずっと心配そうな顔で見ているのに気が付いた。


 防弾着を着た男まで心配そうな顔で見ている。


 一体何があった? と、口を開こうとした時、口の中に何かが有るのが分かる。


 噛んで見ると先ほどと同じ味がしている。


 私は恐る恐る今右手で握っているものを確認した。


 私が握っていたのは見覚えのあるゴム質の何か。


 チカの腕だった。


 私はそれを理解した瞬間、目の前が暗転した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。