表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/42

7-2

「おはようございます」

 そう控えめに言う彼に挨拶を返す。

 ちょっと肩に手を回すと、顔を赤らめ、少し体を引いた。

 表情は変わらないが、わかりやすいものだ。

「どうだい?ベースの調子は」

 彼の手元を見るふりをして、少し体をよせる。

 彼は恥ずかしがり屋な所がある。

 これは解消しないと、ライブの時大変だと思うのだが。

 正直、私もどきっとしない訳ではない。

 流石は男の子。といった所か。

 すこし角張った体のラインが服越しに伝わる。

 それを見るアヤとミヤの目が別々に冷たい。

「レイン。セクハラ禁止」

 カイリ、困ってるよ。

 と言ったのはミヤ。

「嫉妬かい?君だってカイリと二人きりでスタジオ入っている癖に」

 狼狽するカイリ。

 アヤは驚いたように、珍しく目を見開いた。

「知ってるくせに」

 ミヤが呟いて膨れる。

 そう、どちらかと言えばそれはカイリに対する嫉妬なのだろう。

 最近はそうでもなくなってきたけど。

 裾をそっと引っ張るアヤに分かったよ、と頷いてカイリから体を離す。

 矢張り私はカイリにあいつを重ねているのだろうか。

 いや、それだけではないと言える。

 カイリのベースは決してうまくはないけれど矢張りこの音でなければ、今のフェイスレスは無いだろう。

 私達のベーシストでないと。

 カイリの奏でる、トーンを全て切った暖かい音が響く。

 目立たないけれど、心地いい。

 カイリに良くあった音だった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ