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1−1 RAIN

 そして、春。

 桜が咲く丘を歩く。

 真新しい制服がちらほらと。

 眩しく、暑い太陽を少し睨む。

 丘を登るのは少々辛い。

 こんな交通の便の悪い、しかも合格ラインちょっと上の高校を選んだのは他でもない。

 フェイスレスがこの高校に居るのだ。

 あのライブの後、フェイスレスの事を調べたのは言うまでも無い。 入学から暫くして、今日は体験入部の始まる日。

  あのようなレベルの高いバンドがしがない(というのも失礼だが)高校の一部活とは信じられないが確かに、軽音楽部とあったのだ。

 ギターのソフトケースを担いだ真新しい制服の女子を追い抜く。


 自分以外に軽音楽部に入ろうという人が居るものか、と思いつつ少しだけ横目で見る。

 黒い長髪、ハシバミ色の瞳。

 白い顔は坂を上るのに必死で淡く色づいている。

 視線に気付き顔を上げる少女。

 何となく目を逸らして坂を上る。

 桜も散った正門が見えてきた。

 放課後。

 少し、遅くなってしまったがまだ軽音楽部は活動しているだろうか。

 少し不安に思いつつドアの前に立つ。

 なんとなく先輩から申し送られた腕章に触れる。

 そう、なんだかんだしている内に(主にじゃんけん)生活委員、実質風紀委員にされてしまったのだ。

 深呼吸を一度。ようやくドアに手を伸ばした瞬間。

 ドアが開く。

 最初に見えたのは、風になびく黒髪。

 鳩尾に軽い衝撃。

 一瞬呆気にとられて、下を見る。

 白い顔があった。

 鼻先が僅か赤いのはぶつかったからか。 飛び上がって部屋の奥に走り去る女の子。

 一瞬だったから分からなかったけど朝のギターケースの女の子じゃなかったか?

 そして、部屋の奥ソファの上に足を組み、両手を翼のように背もたれに手をかけている影。

 逆光。

 けれどもあの長身は……

「まっていたよ」

 そう、彼女は言った。

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