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東野

どすこい

作者: 星野☆明美

フンフンフフーン。

鼻唄混じりで東野は学園へ登校した。

ズザッ。

強面の数人のヤンキーが東野の行く手を阻んだ。

「兄ちゃん、金貸しな」

「持ってません!」

ぴゅー。

東野は逃げ出した。

ヤンキーたちが一拍遅れて追いかけてくる。

どうしよう?

「だ、誰かー助けて!」

すると、一人の女生徒が横から現れて、ヤンキーたちを蹴散らした。

「ありがとうございます。あのう」

「たいしたことしてないから。じゃっ!」

その勇姿を目に焼き付けて、東野は彼女のことを考えた。

「彼氏は…いないだろうなぁ」

はああ、とため息をつく。

「なんだ東野?恋患いか?」

「ちがわい!」

東野から事情を聞いた友人は、絶対、お礼をするべきだと言いはった。

「彼女もお前のこと必要としてると思うぜ?」

「なんでだよ?」

「まだうら若き乙女なんだぞ。お前が恋愛を教えてこい」

「なんでだよううう!」

昼休み。ズルズル引きずられて向かった先は道場。彼女はここにいる。

「早乙女さん!」

「はい」

「東野と付き合ってやってください!」

「…。一本試合してもらえるかしら?」

「なんの試合?!!!」

悲鳴を上げる東野を道場にあげて、友人はそっと見守っていた。

「どすこい!」

一突きでふっ飛ばされる東野。

「無理。無理。絶対無理!」

「早乙女さん。東野のこと頼みます」

じゃっ!と友人は去っていった。

「大丈夫?」

「は、はひ」

「じゃあ、入部手続きしてね!」

彼女は巨体を揺らしながら、にっこりと東野に手を差し伸べた。


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