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24.超絶ぼっちな僕、驚く【挿絵有】


 告白を受けた次の日。僕は部室に向かったが、皆僕を見て何かそわそわしていた。

 というか佐々木さんと有里香に関しては昼ごはんを食べているときからそわそわしていた。何も聞いてこなかったけれど。


「き、今日はいい天気じゃなぁ」

 と小鳥部長は雑に呟いた。


「ほ、本当ね。あーいい天気いい天気! 幸村もそう思うでしょ?」

「そ、そうかな。普通だと思うけど」

「そうよねー! 普通よね! 普通の1日よ! そうそう、普通!」


 有里香も随分と普通を連呼している。

 まぁそりゃ気になるよね。

 さっきから佐々木さんと美雲さんは僕に突き刺すような視線を送ってきているし。これが無言の圧力っていうやつか。

 僕は意を決して報告することにした。


「あ、あー……ええと。昨日の告白の件なんだけど」

「え? な、何!? 告白? あっ、そっかーそんなのあったわねそういえば。全然忘れてたわよ私は、気になって見に行ったりなんてしてないわよ。ね、小鳥!?」

「うむ、もも、勿論すぐさま帰ったのじゃ。幸村が女子の胸を触っているところなど見ておらんぞ!??」


 こ、こいつら……見てやがったのか。

 まぁ、そりゃ場所まで教えちゃった僕が悪いか……。素直に引き下がるメンバーじゃないのはわかってたんだ。

 それにしても僕が胸を触ったところ見てたのか。あれ無理やりやらされたみたいなものだけど、言っても通じないよね……。


「ていうことは佐々木さんや美雲さんも見てたの?」

「ふふ、悪いね九条君。やっぱり好奇心には勝てなかったよ。まぁ見に行ったはいいが、会話は聴こえなかったがね。とはいえまさか君がか弱き乙女の胸を鷲掴みにするような男だとは。もしかすると、いつぞや私の胸を揉んだのもわざとかな?」


 美雲さんは、笑ってはいるが笑っていない。恐ろしい、今僕の信用が地に堕ちている。まさか柳生さんはここまで計算していたのか?


「九条君が華凛の胸を揉んでいたのなんて初めて聞いたのだけれど」


 佐々木さんの鋭い眼光が僕を射抜く。僕は何も言うことができずゴクリと唾を飲み込んだ。


「まぁ」佐々木さんは一呼吸置いた。

「いいわ、今は。それよりもあなたは昨日何を話していたの? 教えてくれるとありがたいわ。会話の内容によってはあなたの部活での立場も考えないとね」


 僕が柳生さんに何を言ったかによって立場が変わるのか。理不尽な気がするんだけど……。

 とはいえメンバー全員に逆らってもいいことなどないので素直に大雑把な流れを話して、デートをすることを言った。


「じ、じゃあ告白は保留ってことなのね! へぇー、でもデートするんだ! デートねー」


 有里香はワクワクした顔でそう言っている。意外にも彼女には普通の女子のように色恋沙汰に興味がある面があったらしい。


「ふぅん、結局相手に押し切られてデートすることになったって事じゃない。情けないわ、それでも文芸部部員なのかしら」


 佐々木さんは呆れた様子でため息をついた。

 いや、文芸部部員にはそんな素晴らしい精神は無かったと思うんだけれど。


「それよりも九条君。その柳生さんっていう人は何者なんだい? 君のクラスなんだろう?」

「いや、そうなんだけど今日も学校来てなかったし、よくわからないんだよね。今日クラスの名簿を見たら確かに存在はしていたんだけど」


 もともとクラスメイトの顔をあまり覚えてないと言うのに、それに加えてあまり学校に来ていないなら全くわからない。

 でも、僕の姿を見ていることからもたまには来ているみたいだ。


「それで、九条君はその柳生さんとデートなんかして、どうするつもりなのかしら。デートが楽しかったらお付き合いするということ?」


 佐々木さんがそう言った。

 あまりその事は考えていなかった……。


「いや、まぁ深く考えてないけどとりあえずデートはして、その後の事はその後考えようと……」

「ふぅこれだから優柔不断ナメクジ九条は……」


 佐々木さんはやれやれといった様子だ。

 とんでもないニックネームをつけられた気がするんだけど。


「ま! とにかくでーとを楽しんでくるのじゃ幸村よ! できればハプニングとかあればいいのう!」


 小鳥部長はいつも楽しそうだな。僕も見習おう。

 そんな感じで部活メンバーから色々と言われた僕だったが、すぐに目的の日になってしまった。


 そう、土曜日である。


 一応集合場所は言われていて、僕の最寄の駅から少し離れた栄えた駅だ。

 集合の目印として駅の近くにはなんだかよくわからないペンギンのオブジェが立っている。

 集合時間より20分ほど早く到着した僕は、そこでじっくりと待っていた。

 そして10分後、


「お待たせしました」


 声をかけられたのでいじっていたスマホから顔を上げて見てみると、そこには見知らぬ女性が立っていた。

 髪を下ろし、前髪は分けていて眼鏡もしていない。そして、物凄く可愛い。


「ええと……人違いじゃ?」

「あれ? もしかして九条君、私に気づいていません? 私は柳生ですよ?」


挿絵(By みてみん)


「ええ!?」


 や、柳生さん? 嘘だ……でも、確かに顔をよく見たら面影はあるけど、髪型も違うし前髪と眼鏡で顔を隠してないから全然わからなかった。

 顔は整っていると思っていたけど、柳生さんってこんなに可愛かったのか。


「うふふ。さぁ行きましょうか」

「え、あ、はい……柳生さん、いつもと雰囲気違うね」

「まぁデートですから。それと、今日は名前で呼んで欲しいな、幸村君」


 柳生さんの名前って確か……クラス名簿で見たけど。


「れ、麗奈さん?」

「うふふ、照れちゃいますね」


 あまりにも意外なことが起こりすぎて、僕は目の前に起きていることが把握しきれていなかった。

 こうして僕の、デートが始まった。


柳生麗奈:小説好き


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