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10.超絶ぼっちな僕、生徒会長を知る


 今日も僕は佐々木さんと昼ごはんを一緒に食べているわけだけど。


「ねえ九条君。私たちって何組だったかしら」

「え? そりゃ一組でしょ」

「じゃあこの教室は?」

「一組だね」

「そうよね。じゃあなんであなたがいるのかしら」


 佐々木さんは視線を僕から少しずらした。


「何? 私がどうかした?」


 そこには有里香がいた。

 もぐもぐと購買のパンを食べている。


「あなたは二組でしょう。何故一組にいるのよ」

「別にいいじゃない。何か問題あった?」

「あるわ。私の吸う酸素が減る」

「私一人でそんなに変わるわけないでしょ!」


 二人でなんだかいがみ合っている。正直ますます教室での僕の居心地が悪くなった。男子からの突き刺すような視線を感じる。どうやら有里香も男子人気があるらしい。


「どうせ自分のクラスじゃぼっち飯かましていたんでしょ。私たちと一緒にお昼食べたいならそう言いなさいな」

「そ、そんなわけないでしょ! 私はあんた達が私と食べたがってるだろうなぁ、と思って来てあげたのよ!」

「思ってないわ、帰っていいわよ」


 有里香の発言を一蹴する佐々木さん。そんなに突き放さなくてもいいのにね。有里香が若干涙目になっていた。


「幸村ぁ、雫がいじめるぅ」

「あなたに名前呼びを許した覚えはないわよ」


 やれやれ……なんだかんだで相性がいいのかもしれないな、この二人は。

 そのまま放課後になり、僕と佐々木さんは部室へ向かった訳だが、部室前にはいつもと違う光景が広がっていた。男子生徒が群がっているはずが一人もいなかった。

 変だな、と思いつつ部室に入ってみると中には小鳥部長と有里香の他に、四人組の生徒が入っていた。男二人と女二人だ。


「おっと、ちょうど残りの部員も来たみてえだな。よぉお前ら文芸部の部員だろ? 今から話があるからこっち来い」


 発言した男は筋肉質で顔はまあまあ整っているが、一番偉そうな態度を取っていた。それと身長が小さい。見たところ150センチ台だろう。誰だろう、そう思って他の人も見てみると一人見知った顔の人がいた。


 立つ姿からして綺麗な女子生徒、この前本屋でも会った美雲さんだ。僕と目が会うと、彼女は少し微笑んで手を軽く振った。

 美雲さんがいるという事は、彼はもしかして生徒会だろうか。


 僕たちが彼ら四人の元へ近づくと、先ほどの偉そうな人が話し始めた。


「さて、もちろん知っていると思うが俺は生徒会長の織田だ」

「あなたなんて知らないわ」

「な、なななな何ぃ!??」


 開幕の生徒会長織田によるジャブを佐々木さんはいきなりのデンプシーロールからのクロスカウンターで沈めた。

 生徒会長は石像のように動かなくなったかと思えば部屋の方の隅の方で体育座りになり、


「やっぱりな……俺なんて駄目なんだよ……チビだしな……死のうかな」


 そんな感じのことをぶつぶつと言っている。

 めちゃめちゃメンタル弱い人だな。

 すると背の高い女の人が生徒会長に寄り添って励まし始めた。


「大丈夫ですよ、あなたは素晴らしい人です。誰もが知ってる人気者ですよ」


 そんな感じのことを言っている。

 僕が少し引いていると、眼鏡をかけた男子生徒が、


「駄目っすよ。生徒会長メンタル激弱なんすから。基本的に否定する言葉は言わない感じでよろしくお願いします」


 そう言ってきた。


「めんどくさい生徒会長ねぇ、小鳥よりもメンタル弱いんじゃない?」

「私はメンタル弱くないのじゃ!」


 有里香があきれた様子で反応して、小鳥部長はプンスカ怒っていた。

 その間にも生徒会長は励ましの言葉を言われており、どんどん元気を取り戻して立ち上がって戻ってきた。


「だよな! 俺って人気者だよな! よーし頑張るぞ! やいお前ら文芸部、生徒会長の言葉を聞け」


 腕を組んで自信げに彼はそう言った。


「ふぅ、どうやら口を出さない方が穏便にすみそうね」

「君に限っては今回に限った話じゃないと思うよ」

「どういうことかしら」


 佐々木さんに睨まれてしまった。

 まぁ素直に生徒会長の話を聞くとしよう。


「今日俺たちがここに来たのは通告のためだ」

「通告じゃと?」

「ああ、文芸部は今四人しかいない。部活は五人以上いないと認められないからな。あと二週間以内に集められないなら廃部だということを通告しに来たんだ」

「なんじゃい、そんな事わかっとるわい」

「ならいい、言いたい事はそれだけだ。お前たちが廃部になったら部活に繰り上げになる候補の同好会が何個かあるからな」


 そうか、部室の数は限られてるから部活にしたくてもできない同好会とかもあるのか。まぁでも同好会は実績とかもなきゃいけないだろうから単純に繰り上げって事にもならないだろうけどね。


「ちなみにその同好会ってなんなの?」


 有里香がそう尋ねた。


「えーと、なんだっけか? 美雲」

「一番勢力が大きいのが『二次元美少女にクンクンペロペロしたいの会』で、続いて『スーパークソゲー愛好会』と『秘密結社バナナの会』です」


 この国終わったな。


「ぜ、絶対に負けたくないわね、そんな意味わかんない奴らに」


 有里香は少し引き気味にそう言った。


「とにかくそういう事だ。では俺たちは失礼する。人気者の生徒会長織田の言葉を忘れるなよ」


 そう言って人気者の生徒会長織田さんは部室から出て行った。それに続いて生徒会メンバーも出て行ったが、最後に美雲さんが僕の前で立ち止まって話しかけてきた。


「九条君、どうしても困ったら私に相談してくれ。力になれるかわからないが、協力するよ」

「ありがとう、美雲さん。そうするよ」

「では、またね」


 手を振りながら彼女も出て行った。優しいなぁ、美雲さん。この部活に入ってからつくづくそう思うよ。


「九条君、女の子の知り合いなんて存在していたのね」


 ほら、佐々木さんの槍が飛んできたぞ。突き刺さると痛いから頑張って避けよう。


「まぁね、この前偶然知り会って話しただけさ」

「偶然知り会ったのにやけに親しそうじゃない」

「別にそんな事ないさ。まぁ確かに話しやすい人だとは思うけれど」

「ふぅん」


 なんだかよくわからないが、あまり納得いってなさそうだ。

 けど本当にこんな感じなのだから仕方ない。


「それよりどうすんの? もう一人の部員は」

「そうじゃなぁ。もう心当たりはおらんし……地道に勧誘するしかないんじゃないかの」

「ならポスターでも作りましょうよ!」


 というわけで、ポスターを作る事になった。




織田信虎会長、身長154センチ


沢山のポイントありがとうございます

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