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大体は嘘にならない 03

「御趣味は」

「加藤さん、お見合いなら僕は帰りますけど」

「お見合いではない」

 思っていた以上に国枝との再会は早かった。いやそもそも再開と表現していいか微妙なところだけど、同じクラスメイトという理由を盾にして自分を納得させる。

 というか翌週の月曜日に速攻で加藤さんから呼び出されてしまった。案外時間がかかると思っていただけに、拍子抜けというか何だか不思議な気分になってしまった。

 朝の授業から抜け出している当たり、僕の悪い噂はさらに延長戦へと向かうだろう。

 手元には先週と同じように紅茶の入った紙コップが今度は三つ。加藤さんと、国枝と僕の分だ。

「噂に違わぬ電波具合でむしろ安心してる自分が怖い」

 朱華はねずの話は本当だった。いや、あまり嘘は言わないタイプだったので八割方は信じていたのだけど。

「で、国枝。取り敢えず僕はお前とお見合いするつもりもなくて、ただ単純にこの間の事を正直を話してほしいだけなんだけど」

 そこでちらりと加藤さんに視線をくべる。ここら辺の説明は僕が保健室に到着したときに国枝はいたので済んでいるものかと思い込んでいた。

「清水君、一応その目線の意味は痛いほど分かるけど、説明済みだからね」

「で、あれば国枝の電波具合がひどいだけか」

「電波が混線しているだけよ」

「そこは否定しろよ」

 加藤さんは大きなため息をついた。これ事情聴取できないパターンではないのか。

「冗談ですよ。ただ清水君の反応を見て答えを変えようと思っているので」

「加藤さん聞きましたか。この発言をしている時点で僕は無実ではないでしょうか」

「うーん、微妙ね。というかこれ私が裁判長なのかな」

「そうじゃないんですか」

「いや、なんか面倒なこと押し付けられたなと思って。保健室は児童相談所じゃないんだけど」

「進路指導室に行った方がいいんですかね」

「ある意味進路じゃないかしら。前科あるかどうかで就職にも左右するでしょうし。私も転職しようかしら」

 これ、僕の無罪は信じられてない状態だと確信する。

「そもそも私としては判断したくないから、示談で終わるのがベストなんだけど」

 僕としても話し合いで終わるのがベストなんだけど、確か示談って争っているというか事故を起こした前提での話だった気がするけど。

「もはや示談でもなんでもいいんですけど、あの日国枝は何をしていたんだ」

「何をしていたのかと聞かれると、日光浴をしていたと答えるしかないね」

「断定的な答えなんだけど、特に説明できるような答えがないということだな」

「そうね。ただ何となく屋上に向かっただけよ」

 何となく。その答えは一番欲しくない答えだった。これじゃあ何の説明にもならない。

「で、気が付いたら病院だった」

「ということは、屋上からの記憶がないと」

「そういうことになるのかしら。ただ状況から考えると清水君に突き飛ばされたという線が濃厚ということは聞いているわ」

「それは誰に」

 無言で国枝は加藤さんの顔を見る。

「私は何も言ってないわよ」

 すまし顔で紅茶を啜る姿がいっそ清々しい。

 ただこの場合はどうやったら決着がつくのだろうか。

「頭は問題ないんだよな」

「それはどっちの」

「医師の診察の結果を聞いているんだ。いや、こっちの聞き方が悪かったのもあるけどさ」

 どうして僕が謝っているのだろう。

「そうね、異常なし。極めて平常運航」

「平常運航しているには見えないのだが」

 むしろ脱線しまくってるような気がするけど。

「ま、ここは保留ね。永遠に」

「そうなりますか」

 答えが見つからないのであれば、どうやっても締めることはできない。この結末は妥当なところだろう。

「つまり私が思い出せばいいのね。清水君に突き飛ばされたということを」

「そうね」

「加藤さん、その肯定は前者に対してですよね」

 もうそこは仕方ないのか。疑わしき者は罰せられないが、疑われることは永遠に続く。むしろ罰を受けて償った方が楽なのではないだろうか。それこそ何を償うのかという話になるのだけども。

 ただまぁ、冤罪だろうが本当の罪だろうが、今の日本の法律だと決められた期間反省している振りをする必要があるだけで、本当に贖罪しているのかはあまり意味をなさない。それは心―――気持ちの問題で、呵責の大小は些事たるものだ。それこそ推し量れるものではないのだから。

「永遠になるかどうかは私次第ということね」

「それか、清水君が無罪となる決定的な証拠を提出するかね。例えば屋上の状況が映った映像なんかがあれば言うことなしね」

 それは一番最初に考えた作戦だったけど、そもそも人の出入りしない屋上なんかにカメラがあるはずもなく直ぐに却下となった。今となっては終わった話かもしれないが、国枝の制服の指紋を調べてもらうとか。ただこれについては保健室に国枝を担いだときに触れている可能性が高いので却下だ。

 どれも無実の決め手にはならない。

「ま、いいんじゃない、こんなところで。シャンシャン会っぽい気がするけど」

「というかシャンシャン会なのでは」

「シャンシャン会って何」

 一人言葉の理解をしていない人間がいるが、そこは無視して僕は席を立つ。これ以上ここに座っていても何も進展しないだろう。むしろ後退というか別の方向に進みそうな気がしているくらいだ。

「そういえば、清水君」

「なんですか」

「ラブレターどうだった」

「いや、ある程度予告されていたので、あまりドキドキしなかったですね」

「次は矢文ね」

「殺す気ですか」


「ラブレターって何。告白でもされたの」

 敢えて目立たないように一人で教室に戻ろうとしたのだけども、何故か国枝はそのまま後ろについてきた。紅茶も残っていたはずなのによかったのだろうか。

「いや、保健室に来いって書かれてた」

「それ屋上に来てくださいと同意よね」

「同意じゃないだろ。保健室の先生がいるのに、告白はしないだろ」

「でも今回呼び出したのは加藤さんなわけでしょ」

「そうなんだけどね」

 時々妙に鋭いところがあるので困る。

「でも屋上って言ったらさ、告白もそうなんだけど喧嘩だってそうよね」

 確かにどちらのイメージもある。ただ喧嘩に関しては手紙の質が変わってくるだろう。

「今回のは殺人予告だったけどな」

「どういうこと」

 僕は無言で胸ポケットから加藤さんのラブレターを取り出す。

「わ、可愛い封筒」

「封筒は、な」

 今時の女性も使わないようなピンクの花柄があしらわれた封筒だ。細かいことに封を留めるシールはピンクのハートだ。その中には水色の便箋が入っているのだが。

「わお、これは、強烈だね、愛が。いや愛憎かな」

「憎しみしか感じられないのだけど」

 果たして便箋に記載されていたものは―――というか記載されているのではなく、新聞紙の言葉を切り取って貼られている。保健室に来いと。

「うーん、こういうの初めて見た。ドラマとかでは偶に見るけど」

「いや、最近のドラマでも見ないけど」

 演出なのか、所々文字が斜めに貼ってあって、怖いくらいにリアリティがある。

「あの人週末暇してるのかな。この文字集めるの大変だったろうに」

「隅から隅まで新聞読んで探したんじゃない?」

どちらにせよ、この殺人予告的な呼び出しは先週僕がクレームを入れたのが原因だろう。楽しんでこのラブレターを作っているに違いない。

「でも、あれって犯人が筆跡がばれないように作ってるんだよね。今の時代パソコンで数秒できるよね」

「ま、演出的なところはあるんじゃないか。ただメモ帳で書いて印刷しても味気ないし」

「そこに塩加減必要かな」

 塩加減かどうかは分からないけど、確かに味気なさは全く関係ない。むしろその作成手順で指紋等が残る可能性が強い気がする。

「ただ目的が違うのであれば意味はあると思うけど」

「というと」

 例えばその手紙に記載されたメッセージが目的ではないとしたら。その行為自体に意味があるとしたらこんな無駄な作業も納得できるのではないだろうか。

「怖がらせることとか」

 ある意味新聞紙で切り取られた文字で構成された手紙なんて不気味だ。というか国枝が言っていたようにパソコンで印刷すれば数秒で終わる作業を今回敢えて手作りしている。それだけで記載されているメッセージ以上の何かを付加されているように感じる。

「ま、大方加藤さんの場合は僕の反応を楽しんでいるような気がするけど」

「気に入られているんだね」

「どうだろう。先週初対面なはずなんだけど」

「ということは、私がきっかけってことかな。恋のキューピマヨネーズだね」

「カロリー高そうだな。しかもそれ自分のことだろ」

「そうね。でも、この手紙の文字ってよく見ると新聞紙じゃないね」

 国枝が一枚剥がすと、その用紙の裏を見せる。そこは新聞紙のような材質ではなくただのコピー用紙だ。

「ハリボテじゃないか。わざわざこんな手の込んだことしなくても。いや、逆に手が込んでるのか」

「そうね、脅迫状みたいなレイアウトで印刷すればいいのに、わざわざ印刷して糊で貼り付けてるしね」

「というか、これなら保健室で作れるな。仕事ないのかあの人」

「さぁ、保険医なんだから多少はあるんじゃない。多少は」

 国枝のフォローは分かるが、何となく仕事がなさそうなイメージだ。

「ただ仕事があるかは別として、居場所があるのなら幸せなんじゃないかな」

「清水君の台詞はやけにリアリティあるね。それは経験から、もしくは夢や理想かな」

「どっちとも違う。ただの憶測だ」

「ふぅん」

 何か意味深な嘆息だったけども、敢えて深く聞くのはやめておいた。なんというか国枝の性格は未だにつかめないけど、ただの馬鹿ではないような気がする。うまく要点を押さえているというか、物事の核心を感覚的に掴んでいる。無自覚なのか、無自覚を装っているのか。

「けどまぁ、加藤さんが清水君を気にする理由は分かる気がするなぁ」

「気にされてるのだろうか。いじれるなら誰でもよかったわけでは」

「分かってるじゃん、清水君」

「どういうこと」

「いじれるから、清水君を気に入ってるんだよ。いじれない生徒ばっかりでしょ、普通」

「どっちが多勢かは判断つかないけど。ただそれが理由だったとしたら偶然でしかないな」

「運命だよね」

「偶然と運命って何が違うんだっけ」

「漢字が違うのよ。あと感じ。そう、フィーリングよ」


 予想通り国枝と共に教室に戻ると、やはりというべきか空気がやや重いものとなった。あくまで僕の感覚だけど。そう、フィーリング。とは言え、国枝は先ほどの会話は嘘のように澄ました顔で自分の席に戻る。その光景を眺めながら、自分の席とは一番遠い場所にあることを知る。席が遠かったからといった理由を口に出せば反感を買うことは分かっていたので、胸の奥にしまっておく。

 午前中最後の授業は恙無く終了した。板書された数式をノートに書いてはいるけれども、頭の中は不思議と空っぽのままだった。思考停止、ただの板書を写すロボットと変わりはない。

 そういえばクラスに入った時に、白河とは視線が一度交差した感覚があったが、朱華に関しては遠目では判断つかない手帳か、小説を読んでいてこちらを意に介してないようだった。ことの顛末についてはあまり興味はなしといったところか。ただそちらの方がありがたいのも事実。教室の中で質問されてもこの空気の中で答えられる気はしない。

 ただ一つ理解というか、言い訳を思いついたのだけど、国枝の席は教室入ってすぐの場所にあって、教室を抜け出したとしても、後ろの席に座る僕は全く気付かない。逆に言うと、教室入ってすぐの席にいるのだから認識していてもおかしくはないはずなのだ。

「くだらない、な」

 誰にも聞こえないような声で僕はため息をつく。なんだってこういう世間体を気にしなければならないだろうか――――と、考えてしまう自分が嫌になる。この重い気持ちはいったいどこからくるものなんだろうか。


 昼休みに入り僕は屋上を目指すけども、やっぱり諦める。理由はいろいろとあるのだろうけど、あんなことがあったのだから見回りは居るだろうし、また国枝に会いそうな気がしたからだ。

 だとしたら、どうだ。僕の居場所はどこにあるのだろうか。というか存在しているのだろうか。

「ま、自業自得だろうけど」

 そういった世界に住んでいるのだから、自分で居場所を作らなければ居場所がないのは決まっていることだ。

「まるで浮浪者だね」

「ストーカーとは思わなかった」

 果たしてその独り言が聞きとられたかは不明だけども、僕は平然を装って振り返る。国枝はコンビニの袋を片手に立っている。

「愛のあるストーキングはセーフだよ」

「愛があればな」

「愛はあるよ。信愛だったり愛憎だったり」

「やっぱり、愛があってもアウトだ」

「愛をとったら他人です」

「それはマザーだ。それに取るのはエムだ」

 というかこの話分かる人がいるのだろうか。そもそも愛を取らなくても他人は他人だ。

「逆説的に聞くけど、清水君は何を取ったら他人になると思う」

「そもそも何もなくても、皆他人だ」

「家族も他人になるのかな」

「他人になるんじゃないか」

 ここで他人の定義について語るのも奇妙な話だ。行き場を失くした僕がいるのは、昼休みに生徒が使うことはない特別教室の集まる校舎だ。なんか変な会話で逸れてしまったけど、明らかに国枝がストーキングしているのには間違いはない。

「で、国枝は何の用でここに」

「んー、まぁ一つは清水君の居場所を奪ってしまったので謝罪と、後は昼食のお誘いに」

「謝罪は不要だし、そもそも謝罪の理由も不明だろ」

 だったら例の屋上の問題は片付いているはずだし。奪ったということに関しては違うとしても、居場所がないということに関しては国枝の発言は間違えてはいない。その洞察力があるのであれば、もっとクラスで浮くことはないだろうに。これが白河が言っていた浮遊病ってやつだろうか。こじつけもいいところだ。

 あれ、なんだか似たような会話をこの間も誰かとしたような気がするけど、気のせいということにしておく。

「謝罪は自己満足。だって清水君に謝罪したところで何もならないし」

「その発言の内容は理解できるけど、僕の前で発言することは理解できない」

 ただ別に怒りもしないし、嫌な気持ちにもならない。むしろ僕の中で国枝の評価は上がった。

「ま、そこは聞き流してもらうとして、多少なりともディベートしようと思って」

「ちなみに議題は決まってるのか」

「うーん、まずは趣味についてかな」

「それ討論することか」

「違うかも。清水君趣味なさそうだし」

「そこを指摘しているわけじゃないんですけど」

 とりあえず廊下に立って会話するのも目立つので、一度裏口から出て花壇の淵に座る。丁度学校の裏手に位置するところで正面には焼却炉とゴミ捨て場しかない。辺りには数人バレーをやったりしているが、こちらを気にする様子はない。

「あの焼却炉って使われてるのかな」

「さぁ、煙上がったところを見たことないから使われてないんじゃないか」

 見た感じ錆びついているし、どう見たってゴミ捨て場の袋を消化できるような大きさじゃないわけだし。昔は使っていたのだろうか。

「でも火遊びしたいお年頃だし、ああやって存在していると燃やしたくなるよね」

「分からなくもないけど、たぶんばれたら退学だろうな」

「ばれなければいいんだよ」

 簡単に言ってくれるけど、それこそ周囲には沢山の人がいるし、ここは二階や三階からも見下ろすことができる。そうそう学校の中で一人になれる空間なんてないのだ。

「そもそも燃やす意義が分からないし。やる意味がない」

「むしろ意味を見出す方が少ないんじゃない。感覚だよね、そこら辺」

「国枝の性格がなんとなく分かった気がする」

 だとしてもあの読みの鋭さだけは感覚じゃないような気がするけど。

「そういえば、国枝。意味―――って言葉に近いかもしれないんだが、あの日屋上で何をしていたんだ」

 以前も聞いた理由。返ってくる答えは前回と同じかもしれないけれども。

「うーん、正直言うと本当に分からないんだよねぇ。ただ足が向いたというか」

「意味もなく」

「そう、意味もなく。気分転換だったと思うんだけど。唯一あそこが誰からも見つからない場所だったから。寝てたんだよね、確か」

「ま、屋上から更に上の給水塔に気づく人間はいないと思うけど」

「ただ清水君が言うには私は立ってたんだよね。UFOでも呼び寄せてたのかな」

「自分の事だろ」

「自分の事だから分からないことってないかな。他人の方が理解できるけどなぁ」

 それは客観的に相手を見ることができるからだろう。自分自身を客観的に見ることは不可能だ。あくまで客観的に見られている自分を想像するだけだ。だけどその客観性が正しいなんて誰も証明することはできない。

「ま、それは人それぞれだと思うけど」

「たぶん清水君も同じだと思うけど、他人を理解はしているけど、同調しようとは思わないタイプだよね」

「どうだろう、他人に対して答えあわせをしたことないからな」

「うーん、その逃げ方も理解できてしまう自分が怖い」

「何が怖いのか分からないけど、他人に合わせるってかなり体力使うと思うんだよな」

 簡単に自分の思っているベクトルを曲げるということなので、曲げるという行為に力がかかる。それに元に戻ろうとする力を押さえつけないといけないわけだし。だったら他人と違うベクトルに進んでいった方が楽だ。

「合わせないのも、それはそれで体力使うと思うけど」

「同調圧力ってやつか、それも気づかない振りをすればいいんじゃないか」

「その果てが、共同絶交よ。みんなそれが怖いから奉加帳方式にお金を出したりするのよ」

「お前は政治家か」

 ただその言葉は痛いほど分かる。周りの友達が共通のおもちゃを持っているからといって親に強請るやつだ。そういった共通の持ち物、つまるところ共通点が必要なのだ。

「ある意味みんな政治家よ。発言一つ一つで支持者が増えたり減ったりするのだから」

「その支持者って暗に友達って言いたいのか」

「そうね、友達って言った方がいいかしら。でもそういったことってないかしら。この友人と付き合っていた方が学校生活が平和に暮らせるとか。政治と一緒よ」

「ただそれを無意識にやっているかどうか」

「むしろ意識的に、その政治を無視している人もいるけどね」

 だったら無意識は罪なのか。意識的に避けて通っていることも罪となるのだろうか。いや、罪ではなく悪という表現の方が適切かもしれない。昔でいうところのシマ社会やムラ社会に似た攘夷論が無意識に働いている。

「その無視をしている誰かは知らないけど、そっとしておくという考えはないのだろうか」

「あるんじゃない。一部の人間は」

「言いたいことは分かった」

 大多数が同じ意見を持っていたとしても、強い人間の意見に耳を傾けるケースはもちろん分かる。だったらそれは誰なんだろうか。

「地球に住む以上、その縛りにはとらわれるのよ」

 別に一人で居たいというわけじゃない。ただ単純にそのしがらみから逃れたいだけなのだ。

「そっか」

 国枝は閃いた様子で、手を叩いた。

「だからUFOを呼び寄せてたのかも」

「洒落になってないだろ、それ」

「うん、本気だし」


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