表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

1章:2丁目の煙page4

エッグベネディクトをすっかりたいらげてしまった美波は母有希子にロンドンでの生活について忙しなく質問したがあまり語ってはくれなかった。

分かったことは母有希子はロンドン北西部に位置するカムデンという区間に住んで居たらしく、よく大英図書館にこもり読書に明け暮れていたらしい。次にロンドン証券取引所という場所でなんらかの仕事をしていたらしいという事。このらしいとは、本当に事実か私には分からないからだ。実の所、母が何をしていて、私達家族の家計はどうやって支えられているのかさっぱり分からないのであった。

「お父さんはママが何してるのか知ってるの?」エッグベネディクトを食べ終え新聞を読みながら左手にコーヒの入ったマグカップを持つ父に聞いてみた。

「ん?どうだろうね。知ってもいるし知らないでもいるよ。」

といつも通り要領を得ない回答する父に少し腹がたち、言い返そうとする私を遮り有希子が

「みなみ、久しぶりに二人で買い物でも行きましょうか」

と、私が願っていた事を唐突に言われたので、父にいい返す機会を逃し、私は発しかけたセリフを呑む込む他なかった。

「なら晩ご飯は僕が作っておくよ」

「ありがとう、よろしくね。じゃあみなみ久しぶりに一緒にお風呂でも入って支度しましょ?」母の有希子と会うのは、中学1年生の時以来なので丁度丸4年会っていない事になる。だからと言って私の成長具合を事細かに知ろうとする母親を素直に受け入れる気にはなれなかった。

父に目線で助け舟を求めると父は、少し口角を上げ首を振ったのでいよいよ助けてくれるものはいなくなった。

かくして、松村家の浴槽に二人の美しい乙女の楽園が出来上がったのである。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ