1章:2丁目の煙page2
毎朝彼女のルーティーンは決まっている。
まず目が覚めてベットの頭上にあるその時々に読んでいる小説を手に取り10分程度読む。
それから2階に降りて顔を洗い、キッチンに行く。
冷凍してあるほうれん草と常温バナナと豆乳とマヌカハニーでスムージを作りその間にコーヒを淹れる。
そしてまた読書といったルーティンがあるのだが、
今日の朝は違った。
目が覚めてみるとそこには顔の白い昔から慣れ親しんだ顔があった。
「おはよう、あなたって本当昔から顔が変わらないわね。身長ばっかしデカくなって可愛いったらあらしないわ!」
彼女と瓜二つ、雪を連想させるほど真っ白で美しい肌に漆黒で潤沢な黒い髪の女性。
「お、お母さん!?!? なんでここにいるの!?
今は確か、、、、、、、、そう!ロンドンのはずじゃないの!?」
「あら?お父さんに聞かなかったの?仕事が早く終わったから。これでも愛しい夫と愛しい娘に早く会いたくて一番早い便の飛行機に乗ったのよ?」と美波の母有希子が妖艶な微笑みを浮かべながら美波の髪を優しく撫でた。
「さあ、久しぶりに家族皆んなで朝食をいただきましょ?」
頭が冴えてきて五感が鋭くなったからか下からすごく懐かしい美波の大好物の匂いがした。
「お母さんもしかして!?!?」
「ええ、そうよ。冷めないうちに早く来てちょうだいね」
キッチンまで駆け足で向かうとやはりそこには美波の大好きな母特製オランデーズソースをたっぷりかけたエッグベネディクトが人数分食卓に並んでいた。そして何より嬉しいのは家族三人で久しぶりに一緒に居られる事であった。