表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

4.夢分析されたら何と言われることやら

※本文の体裁を修正しました(2030.2.9)

 コボルト&ワイバーンの団体様ご退場の後。


 児童様たちの遊具 (になっている)なう。


「ねーねーおじちゃん、次はぼくの番!」

「だからおじちゃんじゃない! おにーさんと呼びなさいってば!」


 そう言いながらも、頭の上に乗っけてた子を降ろして、せがんでた子を代わりに乗せる。


「ねー、次はあたしー!」

「あ、ずるい! 次はおれだぞっ!」


「はいはい、慌てないの。順番だから、ね?」


 胸元の下(俺的には足下)でもめ始める子供たちを、アイリさんがあやしてくれていた。


 遊具と化していると、何故かアイリさんの機嫌がいいんだよなー。


「ケンタさん、次の子、いいですか?」

「いいっすよ!」


 ええ、いいですともっ! アナタのそんな笑顔が見れるなら! 遊具にでもオモチャにでも何でもなりますとも、ハイ!


「ふふふ、人気者ですね、ケンタさん」

「そうっすかねー?」


 子供を入れ替えながら、ほくほく顔のアイリさんに返す俺。


 人気者といえば、そうかも。ここのところ、討伐後に子供に囲まれ続けてる。


 魔物に襲われてるのを助けてるのと、見た目が厳つくない(どうやら、本来のゴーレムはもっとゴツいらしい。俺はその方が良かったっ)らしく、妙に懐かれているのだ。


 んで、そのころからアイリさんの機嫌も妙にいい。


 子供好きなのかな?


「……ケンタさんが優しい人で良かった」


 ……はイ?


 今の何? ナンデスカ? もしかして、俺の好感度上がってたりするんデスカ?


「ア、アイリさん、今――って、あ!」

「危ないっ!」


 しまった、キョドって手から子供が落ち――。

 と思ったら、宙に浮いた!?

 そのままゆっくりと降下。


「ちょっと、気をつけてくださいよ。子供が怪我したらどうするんですか?」


 魔法でフォローしてくれたエリカがため息を吐いた。


「お、おう。すまね」

「全く……。ちょっとモテたぐらいで調子に乗らないでくださいよ」

「う、うっせー! 乗ってねーっつの! 大体、子供にモテても嬉しくねーわ!」

「子供だけじゃないみたいですが?」

「へ?」

「隠れてないで、出てきなさい」


 エリカの声に合わせて、鳩が豆鉄砲食らった顔の俺の横に、すっと現れる姿。


「うおっ!?」


 びびったあっ! 誰か居たの!? いつから!?


「隠蔽術式ですね。魔法使い……でしょうか?」


 エリカの語尾が曖昧になる。


 珍しいな?


「ん? オマエでも分かんねーの?」


「いわゆる魔法使いの使う術式とは違うような……。もしかして理法使いでしょうか?」


「理法使い?」


「あなたの世界融合の際に生まれた、元々の魔法とは別の系統のものです」


「そんなの出来たの!?」


「世界自体が改変されたようなものでしたからね。しかも、唐突に発生したのではなく『元からあった』ことになっています」


「マジで!?」


「ですので、この世界の常識となっていますが……あの世界召喚で当事者でもあった私は『書き換えられてない』ので、知識だけ追加されたような感じですね。正直、今一つピンとこないのです」


「マジか……」


 ややこしいなぁ。


 つか、あの世界召喚→融合の副作用にそんなのがあったんだ。


「で、良かったですね? ちゃんと女性にもモテてるみたいですよ」


「はい?」


 言われて、改めて新登場キャラに注目。


 見た目は占い師っぽい。フード付きのマントまとってるけど、隙間から覗く服は、なんかアラビアンナイトっぽいっつーか、踊り子っぽいっつーか。


 あ、ちょっと、つか結構エロくね?


 スリットから見える足、色っぽいッス!

 胸もアイリさんに引けを取らないッスね!

 そしてウエスト細っ!


「フードを脱ぎなさい。失礼でしょう」


 エリカに言われて、おずおずとフードを外す。


 そこから現れた顔、いや、お顔。


 美人じゃーん!!


 キレイなおねーさまキタ―――(゜∀゜)―――!!!


 おねーさまなのにおずおずとした困り顔、ギャップもイイッス!


「で、わざわざ隠蔽術式まで使って近づいて、何をするつもりだったのですか?」


 あれ? エリカの言葉にトゲがある?


 あ、そうか。警戒してるんだ。

 そりゃそうか。姿隠して近づいてるんだもんなー。


「私の近衛兵に危害を加えるおつもりなら、最悪、国家反逆罪もあり得ますよ?」

「重いな!? っつか、『私の近衛兵』って何だよ!?」

「あ、間違えました。『私の魔導具』です」

「って格下げかよ!」

「だって『動く石像』ですから。ゴーレムは王国の兵器で、つまるところ備品ですね」

「まさかの物扱い!?」

「ええ。登録上は『私の所有物』です」

「人権もない!?」


「あ、あの、そんなつもりはないんですっ」


 さんざん脱線しているところを、おねーさまが軌道修正してくれた。


 単に返答が遅かっただけ、とも言うが。


「た、ただ、サインを……」


 もじもじと恥じらうおねーさま。


 え、ナニ、ホントに俺のファン的な意味なの?


 ……ぬふっ(゜ω゜)


「ふっ、いいっすよ」


「あ、ありがとうございます。それじゃ……」


 エリカが「あ、ちょっと!」と口を挟むのを、片手で制する。


 すすすっと近寄るおねーさま。


 ……って、俺の差し出したもう片手をすり抜けて?


 俺にサインした?


「って、そっちかよ!?」


 俺がサインするんじゃないんだ!?


 ツッコミはガン無視で、俺の体をおねーさまが頬ずりしながらなで回わす。


「ああ……この冷たい体……固い、固いわぁ…この曲面から平面へ繋ぐ角の美しさ……うふふふふふふふ……」


 は、はいい?

 ナニこの人?

 何にすんごいウットリしてんの?


「あー、ソッチの方でしたか」


 エリカが拍子抜けした声を出した。


「え? 何、ソッチってどゆこと?」


「あなたの世界にもいたでしょう? 特定の対象に興奮する性癖の人」


「……あ。それって、もしかして……」


「『フェティシズム』でしたっけ?」


「ちょーっと待て、んじゃこの人って」


「ゴーレムフェチですね」


 おおいっ!?


「そんなんアリかよ!?」

「あら? あなたの世界でも色々なフェチの方がいるのでしょう?」

「特殊すぎるわ!!」


 いねーよそんな人っ!

 ゴーレム自体いなかったけどなっ!


 こっちの会話など耳に入ってないみたいで、ひたすらウットリとなで回すおねーさま。


「ああ……この無駄のない平面と曲面の組み合わせ……ミニマムで構成された造形美……素敵、貴方のようなゴーレムは見たことないわ……」


 ……ダメだ、分っかんねー。


 しかし、ドン引きなはずなのに、何故か嫌悪感がちっっっとも湧かないんだよなぁ。


 何でだろ?


「分かりますか? 見る目がありますね、貴女」

「もちろんですとも……うふふふ」


 意気投合してやがる!?

 あかん、こいつらダメな人同士だ。


 と、エリカが咳払いを一つした。


「それはそうとして……先ほどのサインは何です?」


 あ、そういやサインされたんだったっけ。


「ああ、あれは好感度アップの確率を高める理法です……」


 オイ待て、何つった今?


「ちょ、エリカ、何ソレ?」

「理法は、簡単に言うと『確率を操る』魔法なんですよ」


「確率を操る?」


「例えば、油に火をつけるとします。魔法なら、火の精霊に力を借りて火をつけますが、理法では、『油が発火する』確率を上げて火をつけるんです」


「何だそりゃ?」


「精霊などの力に頼らず、対象を直接操る。魔法とは全く別物なんですよ。だから属性とか関係なく万物に働きかけられますが、必ず成功するとは限りません」


 凄いんだか凄くないんだか、よー分からんなぁ。


「それに、魔力の消費も激しいですし。ただ、相応の力量と魔力量があれば、100%まで高めること、確実に成功させることも可能です」

「んじゃ、凄いのか……な?」


「もしあなたが使えば、都市一つの住民を突然死させることも、昼を夜にすることも100%成功するでしょうね」

「凄いなっ!?」


 つかヒドいなソレ!? 何でもアリになるじゃん!


 ……あれ? そうすると、今の俺って?


「……さっき『好感度アップの確率を上げる』って……」


「はい。あなたは今、彼女への好感度がとても上がりやすくされているわけです」

「おおいっ!?」


 心を操られてるのかよ!


「いいじゃないですか、ちょっと洗脳されるぐらい」

「よくねーよ!!」


 洗脳ダメ、ぜったい!!


「知りませんよ。あなたがサインさせたんですから」


 いやいや、そんな意味とは知らなかったから!

 知っててさせたわけじゃないですから!


 って、待てよ? サインが問題なんだったら。


「じゃあ、コレを消しちまえばよくね?」

「まあ、そういうことですね」

「ちょ、ちょっと待って! それは許してください!」


 会話の流れに危機感を感じたおねーさまが慌てる。


 ……色っぽいおねーさまが、俺にすがりついて懇願している。


 あ、何かイイ。イイわ、コレ。


 ゾクゾクする……ぬふふっ(゜ω゜)


 じゃなーーーい! 違うから、洗脳されてるなうだから!!


「いや、洗脳されてるとか言われるとさー、嬉しくないじゃん?」

「そ、そんな……何でもしますからっ!」


 おねーさん涙目。


 ……何でも? 何でもっ? 何でもおおおっ!?


 ぬふふふふふっ(゜ω゜)


 って、ちっっっがーーーう!! 消えろ煩悩ぉっ!!


 無言で頭を抱える俺を見上げていたおねーさまが、ポツリとつぶやいた。


「……わ、分かりました。それがお望みなら……」


 へ? 何も口走ってなかったハズだけど……。


 と、急に景色が歪んで? 遠ざかってくぅぅぅ!?

 じょ、上下左右全部がベージュ色の空間になった?

 その中に俺浮いてる?

 薄いピンク色の霧みたいなのが辺り一面に……何か、甘ったるい匂いがする……。


「よぉこそ、夢の世界へ。ご主人様♪」


 すんごい艶っぽい声がっ!?


 振り向くと、おねーさまがあおおっ!

 布地少ねぇぇぇ!

 肌色率高ぇぇぇ!

 タトゥーみたいなのがエロかっけー!

 悪魔みたいな羽もかっけ……え?


「あ、あれ? おねーさん……です?」


「ああ、申し遅れましたわね。わたくし、ルクルファルナと申しますの。ファルとでもお呼び下さいませ、ご主人様」


 しっとりとお辞儀するファルさん。


 何か、さっきと雰囲気がまるで違うんですけど?


「あのー、ファルさん?ってさっきまでとは、何か……」


「ファルとお呼び下さいな♪ わたくしは貴方様のド・レ・イなのですから♪」


「はいいいっ!?」


 超色っぽく言われて声が裏返っちまったっ。

 何ソレどゆこと!?

 お、俺の唯一の取り柄のスキャン実行っ!


  名前:ルクルファルナ・アシュリアム

  種族:半魔族 (ハーフサキュバス)

  職業:理法使い Lv61

  階級:無し

    (中略)

  アビリティ

   ・魅了(対象への軽い精神干渉)

   ・夢魔の加護(特定領域内でのステータス・アビリティ上昇)

 New!・魔神王の奴隷

   (全ステータス・アビリティ上昇)

   (魔神王のHPとMPを限定的に流用可)

   (魔神王のアビリティを限定的に借用可)

    ※上記全て魔神王が許可する限りにおいて有効


 ホントだ!?∑(゜□゜;)


 つか、ハーフサキュバス!?


「人間じゃなかったの!?」


「半分は、ですわ。でも、貴方様のおかげで能力は純粋なサキュバス並、いえそれ以上になれましたわぁ♪」


「俺の……って、確かに新アビリティがついてる」


「わたくしとしては“性”の文字が足りませんけれど♪」

「それはヤメて!?」


 公開できないアビリティ名称になっちゃうじゃん!

 違うから! 俺そんな人間じゃないから!


「あら? そういうことをイメージされたでしょう?」

「頭の中覗いてたの!?」


「す・こ・し・だ・け♪」


 いやああああああぁぁぁ!!!

 恥ずか死ぬぅぅぅ!!!


「それじゃあご主人様、ご奉仕いたしますねぇ♪」


 つつつーと寄って、つつつーと指を這わされるぅ。


 ……けど、だからどうとも感じない。


 モアイ(形のゴーレム)だもんなぁ。で、金属製だもん。

 意味ねー(T_T)


「ふむ。では、これでいかがかしら?」


 また頭の中を読まれた?と思ったら、俺の姿が――。


「戻ったぁぁぁあああっ!?」


 真っ裸かよ!


「ここは夢の中ですから、姿も自由ですのよ♪」

「何故に真っ裸!?」

「あら、わたくしサキュバスですもの♪ でも、そのお姿だと、わたくしの方が興奮できませんわね……」


 股間を押さえる俺を前に、首を傾げるファルさん。


「……よし、では、こうしましょう」


 何かを思いついたファルさんが、指をパチンと鳴らした。


「きゃあっ!?」

「な、何ですか!?」


 唐突にアイリさんとエリカが登場。


「アイリさんにエリカ?」

「その声は、まさかケンタさ――って、きゃあ!」

「アナタ何で裸なんですか!?」


 声で俺と分かってもらえたのは嬉しい。

 しかし真っ裸を見られるのは嬉しくねえっ!


「お二人にご奉仕していただきましょう♪」

「何を!?」

「奉仕って何です!?」


 パニクる二人に、ファルさんがにやりと笑う。


「ちょ、何、そんなんアリなの?」


「だ・か・ら、夢の中なのですよぉご主人様♪ 全てはお望みのままですよ?」


 サキュバスのウインク。


 ……マジでか。

 ……そっかー、夢だもんなー。

 ……リアル並みの再現度の夢で、好き放題かー。

 ……ぬふっ、ぬふふふっ(゜ω゜)


「あらぁ、そういうのがお好みですの?」


 にやにやしながら、ファルさんがまた指を鳴らした。


「きゃあ!?」

「ええっ!?」


 アイリさん体操服姿! 何故かおへそが見える半袖!

 エリカ制服姿! 不自然に短いスカート丈!


 ぬっふぅおぅ!\(゜∀゜)/


「コスはいくらでも選べますわよ♪」


 アイリさん→ナース

      →チャイナ服

      →裾短い浴衣

      →ビキニ!


 エリカ→ミニスカポリス

    →ゴスロリメイド服

    →巫女さん

    →スクール水着!


 二人の衣装が次々切り替わるぅっ。


 イイっ、イイねっ!

 ぬぅっふぅおおおぅぅぅ!!

 \(゜∀゜\)(/゜∀゜)/


「ほらほら、お好きなのをどうぞ♪」


 アイリさん→踊り子

 →童貞を殺すセーターのみ(胸元開いてるやつ)

 →下着にガーターベルト&ストッキング!

 

 エリカ→彼シャツ

 →童貞を殺すセーターのみ(背中全開のやつ)

 →ニーソックスのみ!


 けしからんっ! 大変けしからんですぞっ!!

 ぬぅふあっほおおおぉぉおぅっ!!!

 \(゜∀゜\)(/゜∀゜/)\(゜∀゜\)


 ……って、あれ?


 アイリさんが顔真っ赤の涙目でにらんでますけど?

 エリカがゴミを見る目で冷たく見下してますケド?

 スゴい迫力で、マジリアリティ感じるんデスケド?


 ドユコトデショウカ?


「あら? ご主人様の正妻に愛人でしょう? だから喚んだんですけれど?」


「喚んだ? じゃあ、も、もしかして……」


「はい。お二人とも、本物の精神ですけれど……まずかったのかしら?」


 ア―――(。△。)―――!!!


 アイリさんがぷるぷる震えながら、ゲンコツを握りしめる。


「ケ、ケンタさんの……」

「ち、違うんです! これはその……おっ!?」


 う、動けねぇっ?

 夢の中まで正妻アビリティ発動するのっ!?


「バカぁーーーーーー!!!」


 横っ面にめり込む鉄拳!

 吹き飛ぶ俺!


 アイリさんの俺への好感度、暴落なう……(T△T)

読んでいただき、ありがとうございます!(^人^)

よろしければ、続きもどうぞ~!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ