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2 格差社会

「おいたはいけませんよ?」


「はい……」


 人間を働きアリと同じ価値だと認識しているタイプの女神様のような、研ぎ澄まされた笑顔をしたミリアーナさんに脅されて鉄格子のある部屋に連れ戻された。



 ☆ ☆ ☆



 コンコン


「どうぞ」


 ドアをノックされたので返事を返す。


 入ってきたのは機嫌が良さそうなミリアーナさんだった。

 普通に笑ったら美人だなこの人、これまでに見たどの表情も迫力がありすぎて美人だとか考える余裕がなかったよ。

 何かいいことでもあったか?と思ったが。

 胸がでかくなってる!?

 つい1時間ほど前に見たミリアーナさんの胸はぺたんこだったはずだ。


「初めまして、わたくしデシアーナと申します、お食事をお持ちしました」


「デシアーナさん? ミリアーナさんじゃなくて?」

「はい、ミリアーナは私の妹になります」


 双子か。

 にしては胸囲格差が酷すぎる。

 顔が同じなら一卵性だろうけど、胸だけ差が出るとか聞いたことが無い。

 つまりこれはにせも……いかんいかん見えてる地雷を踏みに行くところだった。

 女性の感の鋭さはなめてはいけない、こちらの考えをいとも容易く読んでくるのだ。

 俺も何度も痛い目に……いや具体的なエピソードは思い出せないけど、痛い目にあったような気がする。


「胸はスキルの影響ですよ、私のは偽物なんかじゃないんですからね」


「あっ、はい」


 地雷じゃなかった、良かった。

 しかしその言い方では、スキルの影響でデシアーナさんの胸が大きくなっているのか、ミリアーナさんの胸が小さくなっているのかわからない、気になるじゃないか……。


「見ましたよミリアの家、散々自慢されていたのでスカッとしました」


「ええっ?」


 姉妹仲悪いのか?初対面から妹の愚痴を聞かされても反応に困る。

 家に関しては俺も少し罪悪感を感じているのでスカッと報告をされてもこれまた困る。


「コンテナさんも酷い目にあったんじゃないですか? 手も口も乱暴者の妹でごめんなさいね」


「いや、まあ、ちょっと」


 ん?今なんて言った?

 コンテナさん?変なあだ名がついてる!


「それよりコンテナさんって僕のことですか?」


「名前思い出せないんですよね? ……すでにみんなコンテナさんと呼んでるようですが嫌でしたか?」


 嫌です!めっちゃ嫌です!

 そんな荷物置き場的なあだ名は嫌です!


「嫌じゃ……ないですよ」


 心の中とは真逆のセリフが口から出てきた。

 胸の大きな美人に悲しそうな顔で言われると否定できない、悲しき男のサガである。


 バンッ!


「ちょっと、家のドアが中から閉めれないんですけどどうなってるんですか!」


 ドアを勢いよく開けて部屋に飛び込んできたのはペタンコアーナさん……じゃなくてミリアーナさんだった。

 今思い当たったけど、多分生き物が中に入ってる状態では入り口閉めれないわ……ついでに窓なんてないから昼も灯りつけないと真っ暗だろうし湿気とかヤバそうだわ……見た目もアレだったけど住宅としても欠陥ありありだわ……


 気になりだすと次々と欠陥に思い当たる、今日手に入れたばかりの意味不明な能力を検証もせずに使うんじゃなかった……どうしよう?

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