プロローグ
起きたら鎧を着た兵士のコスプレをしたおっさんに囲まれていた。
フルフェイスの兜をかぶっていて顔は見れないが声はおっさんだ。
周囲は草原で川が見える。
こんな景色知らない。
何だこの状況。
こんなイタズラをする知り合いに心当たりは無い。
「おーい、起きたか? 起きたな、よしよし」
「自分の名前はわかるか? 年齢は?」
「名前は・・・・・・」
あれ? 名前なんだっけ?
人の名前を覚えるのは苦手だが、さすがに自分の名前を忘れたことはない…… 忘れたことはなかった……
「そうか、そうか思い出せないなら構わない、今から詰め所にいくからな、ついてこい」
状況は全くもって不明だがおとなしくついていくことにした。
☆ ☆ ☆
徒歩30分ぐらいだろうか、詰め所に行くと広い道場のようなところに連れ込まれた。
兜を外したコスプレおっさんずの中から出現したのは厳つい外国人達だった。
喋ってたのが日本語だったから日本人だと思ったのに・・・・・・
冷や汗が頬をつたう、貞操の危機が危なくて危険な予感。
「今からお前のスキルチェックをするからな、この腕輪を右腕にはめたら右手を前に出して『チェック』と言ってみろ」
両手を壁につけろ、じゃなくて少し安心した。
俺に何をさせたいんだろうか?
逆らっても仕方ないから素直に従っておこう。
木と鉄が絡み合った腕輪をはめて右手を前に出す。
「・・・・・・チェック」
あれ? なんだこれ?
視界の真ん中? 頭の中? どちらともいえない場所に『コンテナ』という文字列が浮かび上がる。
「どうだ、スキル名はわかったか?」
「えーっと、コンテナ・・・・・・ですか?」
「コンテナか、収納スキルの中では一番の外れスキルだな、まあいい、もう一度右手を前に出して今度は『スキルスタート・コンテナ』と言ってみろ」
収納スキル?
命令されたままに右手を前に出して言ってみた。
「スキルスタート・コンテナ」
ズガーーーーン!! バキバキバキ!! ドーン!
右手の前、何も無いところから飛び出した軽自動車サイズのコンテナが壁を壊し、外の樹木をなぎ倒し、隣の民家らしき建物に突き刺さった。
大惨事である。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
あまりな出来事に口をポカーンと開けていることしかできなかった。
コスプレおっさんずの皆さんも口をポカーンと開けて放心していた。
こうして俺の異世界生活は幕を開けたのだった。