表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
復讐の協奏曲  作者: 咲野
1/3

序章「始まり」

それは雨がひどい夜だった。


地面を忙しなく叩く雨音に混じって別の音が鳴り響く。

乾いた発砲音が二発。一軒の家から聴こえてくる。

しかし、その音は誰にも知られることはない。


雨がその音をかき消してしまったから。



「ごめんね。でも、君が悪いんだよ?」


静かな闇の中で声だけが聴こえる。

声の主はそっと冷たくなっていくそれをまるで大切な宝物に触れるように撫でる。

そして、子供に聞かせるように呟いた。


「君が…―――」


「おかあさまぁ…?」


物音ともに現れたのは5歳くらいの女の子。

まだ眠いのか、眠たそうに目元を擦っている。


「…ああ。ごめんね、お嬢さん。起こしてしまったかな。」


声の主はゆっくりと女の子に近づく。


「おにいさん、だぁれ?おかあさまはねむっているの?」

「そうだよ。だから起こさないであげてね。」

「うん。」

「よし、君は偉い子だ。特別にお兄さんが君がぐっすり眠るまでそばにいてあげるよ。」

「ありがとう。おかあさま、おやすみなさい。」


女の子は自分のベッドに入り、しばらくして規則正しい寝息を立てる。

男はそっと女の子の頭を撫でると、


「おやすみ、可愛いお嬢さん。目が覚めた時、君は悲しみ、殺したいほど僕を恨むだろう。でも、それまでは幸せな夢を。」


そう言って静かにその場を去った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ