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黒曜石の瞳 Ⅱ
仕事から帰ったら、真っ直ぐ君の家へ行く
いつも君は本に埋もれて、本を読んでいる
僕は、ときどき話しかけるけど、一言でも答えが返ってきたらいいほうで
ほとんど答えなんて返ってこない
君は、海岸近くの壁に寄りかかって、本を読んでいる
汚れた白いワイシャツに黒いスラックス
ところどころ破けていて、しわだらけ。
この地で、新しい物など手に入らない。
ポケットに手をつっこんで、前を歩く君の姿が見える
君は日に日に、美しさを増していく
摘んできた花を君に差し出す
不思議そうな顔をして
花を手にとる
君はぼんやり僕の顔を見る
少し笑ったような気がした。
僕はおかしくて笑いが止まらない
うれしくて胸の鼓動が止まらない
ずっと、君といられるだけで他には何もいらない
僕は、君のことを何一つ知らなかった
名前すら 知らなかった
ただ隣に温かい君がいるだけで、充分だった




