第9話
この回は本当に無茶苦茶ですので、あまり間に受けずさらっと流してください
「さて、魔法の修行を始めようか」
俺は唾を呑んだ
ここから先は未知の領域だ
教えるのは初めてだから、期待するなよ。と前置きをしたあと、カナリアの魔法修行のコーナーが始まった
「マナというものは、現実を捻じ曲げるほどの力をもっている。それを使いこなせるかは使用者の想像力、集中力。それと才能次第だな」
才能、か。どんな世界でも、結局そいつが大事なんだろうなぁ
「魔法というのは、マナを媒介に様々な現象を起こすことだ。例えばこのように──」
カナリアが人差し指を立てると、指先に火が灯った
「──火を燃やしたりすることができるわけだ」
「どうやって燃えているんだ?芯(炭素)がないのに、なんで火がつくんだ?」
当然な疑問、だよな?
「前にも言ったと思うのだが、魔法は、マナと想像力と集中力、才能があれば誰だって使うことができる。少年の言いたいことは、少年が言いたいのは、芯の無いろうそくがなぜ燃えているのかと受け取ってみていいか?」
「まあ、意味合い的にはあってると思うぞ」
「その芯のないロウソク、実はマナでできている芯があるとしたら?」
んんん?んーんん?
すると、カナリアは手頃なサイズの石を拾って、余った切り株の上にのせた
すると、石が突然浮き始めた
「今私はこの石を、空気を使って持ち上げている。空気を圧縮してつくった手をイメージしてね。私が頭の中に描いた空気の手を作り出すのがマナの役割なんだ」
わけがわからん
そんな俺の顔を見て、カナリアは少し考え込んだ
「結局、想像をマナが実体化するわけなんだが。あ、そうか。まずはマナを想像するところから始めよう」
「いいか、少年。目を閉じて心を落ち着かせるんだ。君の胸には金に輝く魂がある。はい想像して」
胸に金魂っと
「次だ。その魂から、マナを体の外へ出すんだ。マナののイメージとしては、そうだな、夜中に見ることのできる蛍の光を想像してみるといい。見たことはあるだろう?蛍」
あの幻想的な輝きを見てから、自慢じゃないが、落ちているゴミを拾うようになった。たしか中2くらいの時だ
「そのマナの1つを、自分の人差し指の上に持って来てみろ。──そうだ、できるじゃないか」
指先に蛍が止まる光景を何度も妄想したことがある。いや、本当に蛍綺麗なんだって
カナリア、というか、エルフにはマナが見えるんだったな
「そのマナを、芯だと思え。さあ、マナが燃える様をイメージしろ」
ポン、と音がして指先に小さな火の玉が出現する
「で、できた」
しかし、少しずつ火が弱まっていく
もしかしたら、以外と俺は魔法の才能があるのかもしれない
指先の火の玉に、マナを使って酸素を送り込む。すると、火の勢いがもどった
カナリアはそれを満足そうに見て言った
「理解できたようだな。魔法は、本当にマナと想像力、集中力さえあれば誰だって使うことができるものだ。マナの役割は、過程を肩代わりする、とでも言うべきか」
カナリアが少し言葉を選ぶように考え込む
「私がやってみせた石を空気で浮かばせること、あれはマナが空気を圧縮するという過程のもと、石を浮かばせるという結果がでている。少年の場合、火がつくという過程をマナが行い、その結果が火が燃えることだ。わかるか?」
「まあなんとか」
「すまないな。人に魔法を教えるのは初めてなんだ。私たちエルフは森で成長する中で、自然とマナに触れ合い、魔法を扱えるようになるものなのでな」
「結局、想像力さえあればいいってことだろ?」
「そういうことだ」
俺は右手に酸素を集め(ることを想像し)、左手にわずかに空気中にある水素を集めた(ことを想像する)
もし、俺の想像力が強ければ、右手に酸素、左手に水素が集まっているはずだ
これを合わせれば、水ができる。多分。
水ができることを想像し、両手を合わせる
パシュッという音とともに、手の中にピンポン玉程度の水球ができる
空気中の水素はごく僅かなので、とても小さかったが
「おお、こいつはすごい」
カナリアも、これには感心したようで
「修行の初日から、空気中から水を出すことを想像できる人間は中々いないと聞いている」と俺を褒めてくれた。とても嬉しかった
「水そのものをイメージしたわけじゃなくて、化学変化を元にしてみたんだ」
「かがくへんか?」
「俺が以前いた世界の知識だよ」
「少年には少年なりの想像の仕方があるんだな」
「なあカナリア、マナとかいうやつに慣れていったら、火を想像しただけで火を出せるようになるのか?」
「もちろん。魔法を受け入れていくにつれて、想像もより現実的にできるようになるだろうからな」
ニコリと微笑み、カナリアは続ける
「では、今日のまとめを。考えるな、感じろ。わかったな?」
理論なんか無いに等しい魔法。想像力が全て
想像力なら俺は人並み以上にあると思う。実験の仮説とかね、結果を想像したりしてたしね
なんだかんだで、非現実と言われた反重力も、たった1欠片の隕石とそれを拾った天才によって、現実となった
非現実と現実は、紙一重なのではないのだろうか……
それから1時間ほどカナリアと修行をしていたが、急な頭痛に見舞われ修行は一旦休憩になった
すこし休憩をしたあと、また日が暮れるまでカナリアと修行した
自分でも書いていてよくわからなくなりました
読んでくださりありがとうございます
誤字脱字等々の意見がありましたら是非