ファンタジー小説に関する考察
「なあ、考えてもみろ」
「何を?」
「ファンタジーものの小説ってさ、大体舞台は地球じゃないだろ」
「そりゃあねえ。魔法やらモンスターやら出てきたら地球じゃなくなるし」
「それなのに、月があるっておかしくね?」
「…うん?」
「月っていうのは地球にくっついてる衛星でしかないだろ?」
「うん、そうだね」
「地球じゃない他の星に何で月があるんだよ。全ての星に衛星があるわけじゃないんだぞ?人が住める星に衛星がくっついてる確率ってかなり低いと思うぞ」
「あー…確かに」
「だろ。なのにファンタジー作品には必ずと言っていいほどに月が出てくる。変な話だよな」
「…あれ、でもそれなら太陽も必ずあるってわけじゃないんじゃない?」
「太陽は確かにないだろうが、それに類する恒星が近くにないとそもそもその星に人が住めない。昼と夜の区別もない、氷の星になるだろうよ」
「あぁ、本当だ…そもそも物語としての舞台にならないんだな…」
「だから太陽はあっても構わないんだ。だが、月があるのはどうなのよっていう話だ」
「ふうん」