オチのないテンプレ
『三度目の正直』
『仏の顔も三度まで』
『三年目の浮気』
『三位一体』
“3”というのはある種なんだか呪術めいた数字だ。
『三権』
『三角形』
『三段論法』
“3”は理知的で独立不羈なイメージがある。
そして『三人称』
決して“私”ではない彼岸の向こう、それは遠く冷たい・・・。
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「またかッ!?」
別に大して意味のない逃避から現実に意識を戻す。
とは言え今の自分の状況に現実なんてものが存在するのか怪しい。うすぼんやりとした粒子が手や足を象っているが、それもいつまで続くかは不明だ。
ああ見たことのある光景、もう二度と見たくはなかったが・・・。
「本当にゴメン!!」
目の前で謝るアロハシャツのクソジジイはプライドも殴り捨てたのだろう、平伏低頭、完璧な土下座をしている。
「あんたそうやって前も謝ったよな」
自分が出した声が低いことに驚いた。どうやら俺は自分でも気付かないくらい怒っているらしい。
「だからゴメンと謝っている」
顔を伏せたままのジジイはその態度とは裏腹にどこか慇懃無礼に言葉を返してきた。
流石の俺もそれにキレる。ジジイの頭を足で踏みつけるとグリグリと地面にキスさせる。
「お・・ぉ前ぇぇ・・・・ッぉえ、ワシを誰どぅわw」
「神様なんだろ、ほらほら」
年寄りを苛めて喜ぶ性向などないが、やらねばいけないときはある。
突っ伏す亀○人似の神様?を10分以上を攻め抜き、良心に痛みからようやく頭から足を離した。
ジジイは息も切れ切れでハァーハァー言っている。まったく色っぽくない。キモイ。
「で?」
端的に状況を尋ねる。この白でも黒でもだからといって灰色でもない空間と目の前にいるジジイ。
2回目なのだ。分かることは分かる。
「お前は死n『そこじゃない』」
俺は死んだのだ。2回も同じ目にあえば馬鹿でも理解する。
問題は“なぜ”ということだった。優しく明るい家族、可愛い幼馴染、剣と魔法のファンタジー、それに才能。
何も文句はなかった。けどあえて言えば魔王がいなかったことくらいだ。
「それはな・・・」
ジジイの顔に翳が差す。そんな表情のジジイを見たことがないためか、少し不安になる。
緊張の間、白でも黒でもだからといって灰色でもない空間がさらにこの場に見えない重圧を与える。
「なんだよジジイ・・・」
ついには思っていたことも口に出た。ドタバタするが本人の前では一度もジジイと言ったことはなかったのだ。
「それはだな3グハァワッ……」
嫌な予感に自然と手がでてしまっていた。
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“3”という数字は一つの区切りだ。
この次はないと冷たく言い放つ非常な数字。
3回目の転生。
この人生がどんなものになるか誰もしらない。