地球へ
発着場を格納庫に修正(2026/04/02)
アステルはスペースプレーンに残って通信の中継を続けている。
アルがヨーゼフに簡単な尋問をするようだ。
僕は一人部屋に残されて、今はベッドの中。傷ついた体が睡眠を求めているみたいだ。
僕の意識がまどろみに溶けていく……。
翌朝、目を覚ますと視界が黒い何かで埋め尽くされていた。
「おはよう、ジーンよく眠れましたか?」
「……おはよう、ノワール。なんでベッドにいるの?」
「添い寝していました。ペットと眠ると安眠できるそうです。効果はありましたか?」
「うーん、変な夢を見た気がする。猫にだまされる夢」
「それはそれは。猫にだまされたいという願望の現れですね」
「それはないよ。みんなは?」
「ジーンが起きるのを待っていますよ。すぐに来ます」
ノワールの言葉が終わらないうちに皆が入ってくる。
「おはよう、ベイブ。調子はどう?」
「おはよう、ベイブ。もう大丈夫だよ」
皆ともあいさつを交わし、ヨーゼフが投降したあとどうなったかを聞いた。
「スペースプレーンは自律巡航でシガ・シェルターに送り返すことにしたよ。ノワールのシャトルでエスコートさ」
「あとはヨーゼフをどうするかですね。彼も、ノワールブートキャンプ第一期生の有力候補です」
「ジーン、アステル。ベイブ呼びも板についてきたじゃないか。シガ・シェルターへの潜入作戦を開始するけどいいかい?」
「うん、いよいよだね」
「分かった。ベイブについてく。地球の都市を見るのが楽しみ」
『ササナミには事件解決の報告をしておきました。皆の活躍も』
「ありがとう、エトナさん。ササナミさんは何か言ってた?」
『心からの謝辞を。また、終末の審問官と、その背後にいる侵略者の探索には全面的に協力するそうです』
「それは心強いね。シガ・シェルターにはどうやって入るの?」
『スペースプレーンの格納庫には大きなパイプラインが通っています。そこから雛琵琶に行けるそうです』
「仮想空間の雛琵琶は綺麗だったよ。あそこに行けるんだ」
『そうですね。雛琵琶を拠点に活動すれば目立たないでしょう』
「雛琵琶といえば、ノーザンエンド調査課課長の古巣、比良水庵がありましたね」
「比良水庵に里帰りしていた課長とばったり、とかは勘弁しろよ。あんたならやりかねない」
「それは思いつきませんでした、さすがアルですね。ふむふむ……」
「ノワール、妙なサプライズを考えるな。それでなくても二人の負担は大きい」
「そうですか、残念です。それではまた別の機会に」
ノワールさんが、また変なことを考えている。比良水庵には近づかないでおこう……。
そんな他愛もない話を続けている間も、跳躍艇は地球に近づいていく。
「そういえば、ヨハンの治療は順調なの?」
「ええ、ええ。多少、記憶を失うでしょうが、順調に回復していますよ」
ノワールさんの言葉と共に壁の表示が変わる。真俯瞰で映し出された小さな部屋に六体のウルフパックが横一列に詰まっていた。アルが眠っている姿にそっくりのうつ伏せ姿勢。バックパックは取り外してある。
「ウルフパックの指揮権は完全に掌握しているので安心してください」
「ヨハンは機械狼のまま生きて行くんだね……」
「ところが、ヨーゼフによると、ヨハンの体は無事なようです」
「本当!?」
「本当です、本当です。停滞カプセルに入れて終末の審問官の隠れ家に保管中です」
「停滞カプセルを長期間稼働させるには莫大なエネルギーが必要なのだがな」
「どこから供給しているのかねえ。豪勢なことだよ」
『ササナミに確認しましたが、シガ・シェルターのエネルギー需給に異常は無いそうです』
「というわけで、ジーンとアステルに追加の依頼です。ヨハンの体を回収してくれませんか?」





