表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少年と宇宙  作者: 津本ジオ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/78

射撃訓練

四番サブポートから訓練施設までは近いらしい。徒歩で向かう。

広い通路、高い天井、何とも贅沢な作りだ。

「広すぎる通路を不思議に思ったか。四番サブポートから訓練施設への直通通路だ。小惑星連合軍の車両も使う」

きょろきょろと見回している僕に気づいたアルが言う。

「小惑星連合軍が車両を持っているの?」

僕の感覚からすれば、無重力の宇宙空間で車両は使わないと思うんだ。

「大規模な宇宙施設はどこも重力制御をしていたからな。ここセレスも一G環境だったそうだ」

あっ、そうだった。地上と変わらない生活だったんだ。

「そんな時代があったんだね……」


(せつ)はセレスに足を踏み入れたことが無かったねえ。太陽系に戻って初めて入ったよ」

コハクさんは気密服を着ていない。僕もインナー姿で歩いている。

理由は、セレスには減圧時の対策設備が整っているから。

この通路にも五十メートルごとに赤い破線で囲われた扉が設置されている。

大人四人で一杯の小型シェルターだ。警報が鳴ったらすぐに飛び込めとアルから指示されている。

ちなみに、ノワールさんからスラスターの調整をしてもらい、地上と同じように歩けるようになった。今はインナーにスラスターを取り付けている。

アステルは自分で何とかできるみたい。普通に歩いている。


「私はエクソダス(大脱出)のあと、ちょくちょく遊びに来ていましたよ。機械知性 《セレス》とは友人でしたので」

「そうかい。エトナに言わなかったのは気を使ってのことかい?」

「まあ、それもありますが、セレスの死を認めたくない気持ちもあって……仲のよい友人でした」

「そうだったのかい……」

コハクさんが優しい目をしている。

「ということでセレスの案内はお任せください」


ノワールさんを先頭に、通路を進んでいくと巨大な扉に迎えられた。

「ここはエアロックになっています」

ノワールさんが言うと静かに扉が開きだす。中は広いエアロック。内扉を抜けると、通路の両側にロビーのような広々とした空間が広がっていた。

「うわっ、広いね」

「閉鎖環境はストレスになるからな。ノーザンエンドも広い空間が多かっただろう?」

「気にしたことないかも。そういえば公園がたくさんあるね」

そのまま通路を歩いていくと円形の広場に出た。


「ここから各訓練場に行けますよ。ジーンは射撃訓練ですか」

「そうだな。ジーンの訓練は俺がつける。皆は重力下訓練施設に行ってシガ・シェルターのシミュレーション空間を用意してくれ」

「分かりました。皆さん、私について来てください」

ノワールさん、ノーザンエンドの案内人みたいだ。


アルに連れられて射撃訓練場に到着。ここもエアロックを通って中に入る。

ずらりと並んだ射撃レーン、高い天井、奥行きは……百メートル以上はありそう。

「そこのブースに入れ」アルが鼻づらで指示する。

左右と天井が囲われたブースだ。これ防弾板だよね、きっと。

左右の壁にはテーブルが固定されている。そこに持ってきたバックパックを置いていると、アルがぽつりと言った。


「ジーン、勝手に決めてしまったが本当にいいのか? ハブ・ジャッカーを倒すのとはわけが違う。地表に出る限り奴らとの殺しあいは避けられんが、シガ・シェルターでも戦闘になる可能性がある」

「ハブ・ジャッカーを殺しちゃったことは忘れないよ……たぶん一生。それでも、僕は自分ができることをやる。お父さんとお母さんもきっと許してくれると思う」

「そうか。では一つアドバイスだ。トリガーを引くときはためらうな」

そうか……。アルは侵略者の中に地球人がいると思っているんだ。


銃口管理、指の管理、装填の確認と続き、射撃姿勢の訓練が始まった。

「銃は両手で保持しろ」

「ターゲットとその周辺に何があるかを常に把握しろ」

「空撃ちでも引き金はゆっくりと押しきれ。慌てて引くな。銃口がぶれている」

結構スパルタだ。セレス流柔術の基礎訓練を始めたころを思い出す。

「よし、それでは実弾射撃だ」

アルがテーブルに飛び乗ってコンソールを操作する。

床からターゲットが立ち上がる。人の形をしている。


「マガジンに弾丸を詰めろ。一発だ」

指示どおりマガジンに一発弾丸を入れる。

「狙うのは胴体の真ん中だ。照準を合わせろ。注視点はフロントサイトだ」

リアサイトとターゲットがぼやける。フロントサイトのピンだけが鮮明だ。

「撃て」

トリガーをゆっくりと絞る。甲高い発射音、少し遅れて銃口が上がる。命中。胴体の真ん中だ。

「よし。正確に狙って正しくトリガーを引けば当たる銃だ。次はフルに二十発、弾を込めろ。重量バランスの変化に注意だ」


二時間にわたる最初の射撃訓練が終わった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
激動への序章 ~来訪者~

激動への序章 ~来訪者~

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ