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少年と宇宙  作者: 津本ジオ


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フェイルノート、修理作業開始

コハクさんとノワールさんが聞きたかったのは、現在のエッジの状態だったらしい。

太陽系のエッジは完全に復活したわけではなく、一時的に開いただけみたいだ。

「ありがとう、アステル。状況は分かったよ」

「それでは、私たちの現状についてお話ししましょう」

ノワールさんが説明を始める。


過去から現れた怪物、ヴェリテ。

九年間囚われていた僕の両親とエトナさん。

ヴェリテを止めて、お父さんとお母さん、エトナさんを救い出したこと。

僕の両親は現在再生中で、それには半年ほどかかること。

そして、木星から土星圏を巡り、軌道維持制御中枢システムの修理のためにフェイルノートに来たこと。


「そういうわけさ。アステル、地球行きはしばらく待ってもらえるかい?」

(われ)に急ぐ理由は無い。待つ」

「それでは、フェイルノートの修理を開始しましょう」

「俺とノワールはEVA(船外活動)担当だったな」

『水星にある、小惑星連合軍の資材備蓄庫の制御は私の担当ですね』

「僕は、指令衛星に行って被害状況のチェックだね」

(せつ)は跳躍艇で全行程の進捗管理をするよ。アステルも残るかい?」


あらかじめ決めてあった役割をそれぞれが確認する。

アステルへの説明も兼ねているんだと思う。

「我はジーンと行動したい」

アステルが意外なことを言い出した。

「そうかい。行動中はジーンの指示に従うんだよ」

「分かった。ジーンに従う」

指令衛星でアステルと二人っきりなのか……。ちょっと緊張する。


コハクさんが跳躍艇を進めて指令衛星に横づけする。

右舷前方にリニアコライダー(線形衝突型加速器)の姿が見える。

全長二百キロと聞いていたけれど、僕の身長くらいに感じる。

距離が相当離れているんだろうな。

跳躍艇から伸びた白い触手が指令衛星のエアロックに接続される。

この触手を通って乗り込むんだ。まだ慣れないな。


ちなみに僕は今、簡易装甲服を身に着けている。

インナーを着たまま、ラックに掛けられた装甲服に体をすべり込ませると自動的に体にぴったりフィットする。

あとは、左腕のコンソールを操作すると、バックパックから複雑に折りたたまれたヘルメットが現れて、僕の頭部を包み込む。

過去の小惑星連合軍モデルのレプリカだそうだ。

現代のものと名前は同じだが、こちらの方が圧倒的に機能的だ。

何より動きやすい。


「じゃあ、アステル。行こうか」

「分かった。指示に従う」

アステルを連れて指令衛星に乗り込んだ。

あ、ここは重力が無いんだった。

慌てて磁気ブーツのスイッチを入れる。

ノワールさんに事前に注意されていたのに忘れていた。

そう、跳躍艇には重力が働いていたんだ。


瞬かない満天の星々や、亜光速航行の光景に圧倒されて忘れかけていたけれど、エッジが使えない現代でこの技術は貴重かも。

「跳躍艇の推進機構はストラクチャと現実空間の物質を相互作用させている」

地球から出発するときにコハクさんが言っていた。

それで重力を生んでいたんだ。


内心で反省しながら指令衛星の通路を進む。

アステルは後ろからついてきている。星空のワンピース姿のままだ。

無重力でも自由に動けるようで、ちょっとうらやましい。

狭い通路を進み、監視制御室に到着。ここがダメージコントロールの中枢だ。

「アステル、被害状況のチェックを始めるよ」

「了解。何をすればいい?」

「そうだね。ログをダンプするからコメントが付いている部分を読み上げてくれる?」

そう言って携帯端末を渡そうとしたが、アステルは「必要ない」と受け取らなかった。


直接ログが読めるらしい。

アステル、すごいな。

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激動への序章 ~来訪者~

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