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少年と宇宙  作者: 津本ジオ


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55/79

太陽光レーザー変換施設《フェイルノート》にて

太陽―水星系L5、フェイルノートに到着。

艇首には、白いマニピュレータに(いだ)かれた白い球体。

「その子、大丈夫なの?」

壁に映しだされた、柔らかい光を放つ球体を眺めながらノワールさんに聞く。

「そうですね。気絶しているだけです」

「分かるの?」

「ノワールは、尊き御方(とうときおんかた)のサブユニットだったからね。何か通じるものでもあるんだろうさ」


「それにしても、どうして太陽系に来たのでしょうか? 御子(みこ)は自分がここで孵化したことを知らないはずですが……」

「そうだね。アライアンスの使者は()()事件につながることは伝えないと言っていたよ」

「あの事件とは?」アルが目ざとく質問する。

「地球人が太陽系事変と呼ぶ、その真相さ」

「ヒュージロンバスっていう小マゼラン雲からの侵略者が、太陽を暴走させようとしたのを、小惑星連合軍が止めたんだよね?」

「まあ、大雑把にいえばそうなるね。でも、他にもたくさんの者が関わっていたんだよ」


「アステルも?」

「アステルね……。アライアンスが名前も与えないんじゃ、そう呼んだ方がいいかもしれないね」

「ライラが付けた名前というのが引っ掛かりますが、アステルと呼びましょうか」

「ねえ、さっきから出てくるライラって誰なの?」

「俺も聞いた覚えがない。察するに三七小隊の関係者か?」

「本当に勘のいいワンちゃんだよ。ライラのことも太陽系事変の真相に関わる話なのさ。聞く気はあるかい?」

アルがこちらを見る。僕はうなずく。

「聞かせてもらおう」


「ライラはね……」

コハクさんの話を要約するとこんな感じだ。

―― ライラは、遺跡から発掘された古代上位種族の思考機械だった。

遺跡は、白色矮星近傍の惑星にあった。

命知らずの発掘屋がその惑星から二つの遺物を持ち帰った。

一つは、ヴェリテ。後にプロトタイプと判明。もう一つはヴェリテ専用と思われる思考機械。


地球圏に潜伏中のシミラ人科学者ラザードが、遺跡から発掘されたプロトタイプヴェリテを密輸業者から購入。発掘された思考機械も同時に入手。

思考機械を解析したラザードは、あまりにも高度な技術で製作されていたそれを、複製不可能だと結論づけた。

超越計画のために量産性を考慮して、機械知性で代用することを着想。

機械知性の入手も難易度が高いが方法(伝手)はある。


思考機械との意思疎通は困難を極めたが、違法に改造した人格オーバーレイを介してアクセスに成功。

機械知性封入用のコアユニットに内蔵してライラと命名される。

そして、将来的にヴェリテに接続される実験体三名の教育係を任される。

ヒロの説得により、ライラは三名の味方になり、共にトランサンデの実験施設から脱出。

以後、小惑星連合の預りとなる。 ――


「つまり、ライラはエトナさんみたいな存在だったの?」

「そうだね。違いといえば、ライラはヴェリテ専用に設計された特殊な思考機械だったことだよ」

「実験施設から脱出して小惑星連合の預り。その後はどうなったの?」

「三七小隊に配属されたのさ。連合軍規すれすれのアクロバット人事だったそうだよ」

コハクさんが笑いながら語る。


そのとき、壁に映る白い球体が突然輝きだした。

「アステルが目覚めるようです」

ノワールさんが告げた。


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激動への序章 ~来訪者~

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