セレスの惨劇、再演 1
『巡航出力で約七日。私はセレスに到着しました。セレスは、金属を蒸着した合成樹脂の膜で覆われた金色の準惑星です。私が初めて太陽系に来たときはすでにこの姿でした。しかし、完成までには長い歳月が必要だったそうです』
再びイメージ投影が始まった。
セレスが視界にはいったところから映像が始まった。
後方まで見える視覚にはなかなか慣れないな。
ヴェリテはレーダーを欺瞞しながらセレスに接近していった。
最終減速中、セレスから百キロ圏内に到達しようとした時点で誰何が来た。
『接近する宇宙機へ。こちらは統括知性 《セレス》。貴機は準惑星セレスの絶対防衛圏に接近している。認証データを送信せよ』
さすがに、そのまま見逃してはもらえなかったみたい。
LiDARアレイシステムに捉えられたのかな。
ヴェリテは誰何を無視。
ヴェリテは認証データなど持っていないし、そももそ通信への応答が命令で禁じられているんだ。
ヴェリテが背部嚢から二基の荷電粒子ガンを取り出した。
セレス各部に設けられているメンテナンスハブを狙っているみたい。
セレスの構造は、表面の合成樹脂層、焼成レゴリス層、氷層、炭素繊維に守られた分厚い放射線防護層、その下層にやっと与圧された居住施設がある。
荷電粒子ガンの最大出力放射でも貫くことは不可能だと思う。
でも、セレス表面に露出したエアロックの外部ハッチは別だ。
荷電粒子ガンの出力で十分破壊できる。
ヴェリテが右補助腕の荷電粒子ガンを発射。
外部ハッチが吹き飛ぶ。
左手の荷電粒子ガンで内部ハッチも破壊。
宇宙空間に空気が漏出する。
でも、すぐに空気の漏出が止まった。
突入予定の資材デポとの間にエアロック予備室があるからだ。
セレスに限らず、大規模な宇宙施設には、気圧を担保するための冗長施設が多重に設置されているんだ。
ヴェリテは、急制動をかけながら破壊したエアロックに突入。
この速攻にセレス側は対応できないみたい。
そのままエアロック予備室に到達。
内部扉を二本の太い腕で貫き、強引にこじ開け、広大な資材デポ空間に突入した。
デポ内には減圧警報が鳴り響いている。
ヴェリテがデポの端末に取りついた。
セレスの指揮権をもつ統括知性の設置場所の捜索を始めたみたい。
ヴェリテは、輸配送システムの制御中枢にクラッキングをしかけて命令系統を遡る。
物流管理システムを経由して、基幹システムに到達。
基幹システムは統括知性へ供給されるエネルギーラインも管理している上位システムなんだね。
補完機能が教えてくれた。
ヴェリテは、統括知性が中央制御室に設置されていると知った。
資材デポからはセレス各部に搬送路が走っている。
ヴェリテはシャッターを破壊して搬送路に突入。
ようやく防衛機構が対応を始めたみたい。
搬送路にレーザーが飛び交う。
数発ヴェリテに命中して、僕は思わずのけぞってしまう。
でも、被弾した瞬間に皮膚がまばゆく発光してレーザーを拡散させた。
レーザーが効かないなんて……。
攻撃を無視してヴェリテは中央制御室に向かう。
搬送路を抜けると中央制御室に隣接するストレージルームに到着した。
ここは消耗品などを備蓄する部屋なんだね。
その奥には物々しい大扉。
中央制御室を守る分厚い防爆扉だ。
ヴェリテが荷電粒子を最大出力で放射。あっけなく扉が爆散する。
『警告。中央制御室への入室は……』
統括知性セレスの警告の途中、ヴェリテはコアユニットを撃ち抜いた。
ヴェリテが制御室の端末にアクセス。
地球に非常事態を伝えて罠を張る計画だったね。
『エマージェンシー・プロシージャに従い、地球との通信を遮断』
あ、通信システムから拒否された。
でも、通信が遮断されたら地球も異常に気づくだろう。
事実、ノーザンエンド調査課から僕の両親とアルが派遣された。
『統括知性セレスとは何度か話したことがあります。抵抗できなかったとはいえ、同胞を手に掛けたことを悔やんでいます』
エトナさんがぽつんとつぶやいた。





