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地球の少年、星の遺児  作者: 津本ジオ


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30/33

生みの親と育ての親 3

うん、僕は遺伝上の両親から捨てられていなかった。

そして、百年も生きたら死んでいく、ごく普通の地球人だった。

でも、なぜ二人は僕を生もうと思ったのだろう。


今の地球では、人口のコントロールは最重要課題なんだ。

人口が増えれば、それに必要な資源もエネルギーも増加する。それが許容量を超えたら社会は崩壊だ。

基本的に、僕たち住民は不妊状態で生まれ、子どもを希望する成人男女は抽選で不妊状態を解除される。

抽選には周囲への貢献度も加味されるとか何とか。

それって抽選じゃなくない?


機械知性たちが、人口動向、資源、エネルギー、食糧供給、酸素濃度、熱交換率などを集計して、現在の地球のキャパシティをホメオスタシス・スフィアにリアルタイムで表示する。

ホメオスタシス・スフィアは、世界中のシェルターや大規模セツルメントに必ず設置されている。

ノーザンエンドの中央広場にも直径十メートルの巨大な球体が置かれているよ。

みんなは地球モニュメントと呼んでいるけれどね。


僕たち地球に住む者は、スフィアを見上げるだけで今の地球の状況が一目で分かる。

植林が進むと、余剰酸素や植物資源のキャパシティを示す、青と緑の割合が増えるとかね。

同時に、リンや窒素などの化学資源、余剰エネルギーのキャパシティを表す茶と白が減っている。

僕たちはそれを見て、現在の状況だけではなく、この閉じた世界を維持することの大切さを知るんだ。


あ、変な方向に考えがそれちゃった。


「なぜ、二人は僕を生もうと思ったのかな?」アルに問いかける。

「さあな。本人たちに聞くしか本当のことは分からないだろう」

「それでしたら、以前、マルに聞いたことがありますよ」とノワールさん。

「僕も聞きたい」

「いいでしょう。ロキもマルも造られた存在です。工場でオーブンを製造するように」と部屋の隅のキッチンを示す。

すごく立派なキッチンだ。僕とアルが住んでいるコンドミニアムの設備とは比較にならない。

料理店で使っているような本格的なものだ。

「ロキは、自分が本当に知的生命といえるのか疑問をいだいていました。所詮は便利に使うために造られた道具ではないかと」

自分が、パン屋さんのオーブンになった姿を想像をして、少しもやっとした不安を感じた。

毎日パンを焼くだけの生活に、オーブンは何を思うのだろうか。


「そんなロキを見て、マルは考えたそうです。生きている実感を与えたいと」

「それが僕を生んだ理由?」

「そうですね。私のような、ただ可愛いだけの猫には分かりませんが」

ノワールさん、頑なに自分のことを猫だというけれど、絶対に猫じゃないよね?

「そんなの自分勝手だと思う……」

「ジーンという未来を見たかったのかもな」アルが言った。

「どのみち 《エッジ》が閉じている今、その遺伝上の両親に会うことは無いんでしょ? 僕は数百年も生きられないし」


「はい。 《エッジ》が再び開くのは、正確には四百三十二年後です」ノワールさんが教えてくれた。

「ずいぶん正確に分かるんだな。(ちまた)では、三百年から六百年の間だと言われている」アルが突っ込む。

「ぼかして伝えているのですよ。ある日突然開く方が驚くでしょう?」

ノワールさんの言うことは、本気なのか冗談なのか全然分からないや。


「もし会えたとしても、僕の気持ちは決まっている。僕は、お父さんとお母さんの息子、ジーン・タキザワだよ」

「そうかい。生みの親より育ての親って言葉もあるしねえ」とコハク。

「そうだな。うちの子猫たちも、親猫より俺に懐いていた」とアルまでも。

僕を猫の赤ちゃんと一緒にしないでよ!


でも、僕を生んだ両親のことが聞けて、少し気分がすっきりした。

投稿時間を毎日変えて反応を見ていますが、各話の内容のバラつきのせいか、そもそもn数が足りていないのか、統計的有意性が感じられません。

ここは、何も考えずに時間を固定した方がいいのかもしれないと思っています。

毎日午前1時とか変な時間に投稿しようかな。

予約投稿なので本人は眠っていますが。

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激動への序章 ~来訪者~

激動への序章 ~来訪者~

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