表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/39

温泉なんてなかった…

 山伏式神はふいに道に散乱したパイロンを思い出した。あれは目の前にいる作業員の物ではないだろうか。

 鮮度に問題があるとしたら、彼がここに来れたのはいつなのか?


(…こんなヤツ、パイロンとか作業着とか?あまり見た事ないのに。なんで連想されたのかしら。この知識、やっぱ、ぜっったい私のものじゃない!出ていってよっ!)


 イラついて奥歯を食いしばるが、脳裏にあの、ガラスの間での会話が過ぎった。このままでは童子式神に命を取られる。


(夢だとしても?──夢?人ならざる者が夢を見る?)


(童子式神に食われるのはごめんだわ。あんな腑抜けた奴に!)


 馬鹿げている。

 人の下についた魔に食われるなんぞ、恥さらしなどと言うレベルでない。


(あーあ。私も一度は人に従ったんだっけ)


 頭が勝手な思考をする、煩わしい。

 困惑しながらも人間を食べる。魔であるのなら人を食うのは造作もない、普通の生活の一部だ。お世辞でもあまり美味しい肉や血ではなかった。新鮮ではあるのにどこか混じり気がある。が、連続で食事にありつけるのはありがたかった。


 微量の毒が混じった飯を食べたみたいな。


「それにしてもたくさん食べられるってありがたいわ!」

「喜んでいただけて何よりです」

 リスが嘘くさい笑みで答えた。営業しているのだから当然だが、もう少し自然さを身につけたらどうだろうか?


「温泉ってのに入ってみたいのだけど、どこにあるのかしら?」

「申し訳ございません。温泉は人間様限定なんですよ」

「へっ??」


「人間には長咒池(ちょうじゅいけ)を天然温泉としてご提供させていだだいております」


 あの湖だろうか?

「ルシャ様のお力で湖を温泉に見せているのです」

「そうだったのね…」

 泥や血飛沫を浴びた際に沐浴なら何度かした事があるので、少し残念だった。写真や知識ではとても魅力的に思えたから。


「珍しい。人ならざる者が温泉に興味を持つとは…」

 リスが素面に戻って言う。「そう?」

「ええ、やはり、ルシャ様に似ております」

Happy Halloween!

(ここでそれを書く)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ツギクルバナー

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ