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嗅覚探偵マッシュ

作者: 丸鳩

 今日はいつもと何も変わらない日だと思っていた。干していた洗濯物を取り込もうとしたときに気づいてしまったのだ。


「いやぁぁぁぁ!!!」




 私メアリーはとある場所に向かっていた。


「ここが嗅覚探偵事務所ね」


 ここの探偵はどんな事件でも嗅覚の力で解決てくれるらしい。私はとある事件を解決してもらいたくここを訪ねた。


「すみません! 依頼をお願いしたいのですが」


 ドアをコンコンと叩くとドアが開く。ドアから現れたのは綺麗なタキシードを着ている、太っていて頭頂部が禿げているおじさんだった。


「私に用があるのですね? とりあえず中に入ってください」


 そのまま中に入りこんだ。中はキンキンに冷えている。部屋の中はゴミや衣服で散らかっていて探偵事務所とは思えなかった。


「さてと今回は何の要件でしょうか?」

「実は私の下着が盗まれてしまったんです。朝、洗濯物を取り込んでいると全ての下着がないことに気づいて」

「ふむふむ……」


 探偵らしくメモをとるおじさん。


「分かりました。この事件、私マッシュが必ず解決いたしましょう」


 見た目はとても探偵とは思えないが、腕は本物と言われている。


「ところでお嬢さん。盗まれた下着についてですが色とか形とか詳しく教えて欲しいのですが」

「えっと、紫とかピンクとかで色はバラバラです。形は全てローライズで……」

「想像がつかないので実際に見せてもらっていいですか?」


 え?


「いや、それは……」

「ああ手元にないのですね。それなら参考に今履いている下着を見せてもらっても……」

「マッシュさんは冗談が上手ですね」


 そういって適当にはぐらかした。こいつはただの変態なんじゃ? と疑問に思ったけど実力はしっかりあるらしいし、少しは我慢しよう。


「私は嗅覚を頼りに事件を解決しているのはご存知ですよね? その下着を探すためにも下着の匂いをかがせて欲しいのですが……」


 いつの間にか私はマッシュさんの頬を引っぱたいていた。


「あの……下着嗅がせて欲しいって言ってすみませんでした……」


 本当にこの人についていって大丈夫なのだろうか……




 捜索に出かけるとのことで外で待てと指示されたので待機していた。


「待たせてすまなかったね」

「いやその……それはどうでもいいんです」


 ただひとつだけ気になる点が……


「何で半裸なんですか?」

「これが仕事着だからね」


 さっきのタキシードではなく、パンツ1枚のただのおじさんになっていた。


「もう下着諦めて帰りたいんですけど……」

「まあそう言わず、下着を盗まれて心地悪いでしょう。遠慮せず私を頼ってください」


 別に遠慮なんかしてない。この人と一緒にいると私が風評被害を得ることになるかもしれないと思ったのだ。


「それとメアリーさん。これを私の首につけて欲しいのですが」


 そういって渡されたのは首輪。犬とかペットにつける用のやつだった。


「しばかれたいんですか?」

「喜んで」


 ただの変態だった。


「私、首輪をつけると嗅覚がよくなると言うか、決してふざけているわけではないんですよ?」

「その性質が既にふざけとるがな」


 しぶしぶ首輪をつける。


「その鎖をもってください。私が先導します」


 マッシュさんは4足歩行で歩き始めた。


『なにあれ』

『どういう趣味かしら』


 この人が本当に凄腕の探偵なのか怪しくなってきた。だけどここまで来たらもう引けないよね……

 マッシュさんに引っ張られるまま私は道を進んだ。




「ん? 強い匂いを感じますぞ! おそらく近くにあります!」


 マッシュさんが加速して進み出す。私は急いでついて行った。

 やがてマッシュは止まりある場所に目線を向けていた。そこにあったのは……


「マッシュさん」

「はい」

「これうんこですね」

「はい」

「ねえマッシュさん」

「はい」

「どう考えても私の下着じゃないですね」

「はい」

「ねえマッシュさん」

「はい」

「私の下着にどんなイメージを持ってるんですかね」

「すみませんでした」


 やっぱこの人ダメだ。もう帰ろう。


「待ってください! この香り! メアリーさんの下着と一致している! 近くにありますよ!」

「ねえちょっと待って! いつの間に私の下着の匂い把握してるんですか!」


 正直怒りでいっぱいだったが事件が解決したら全て水に流そうとするか。そう思った途端マッシュさんが急に止まる。


「マッシュさん?」

「引き返そう」

「え?」

「この先は危ない匂いがする。命の保証はない」

「それなら心配ありませんよ。私護衛術なら習ってますし。それに人1人程度なら簡単に倒せますよ」


 そう言うとマッシュさんは冷や汗をだらだら流し始めた。この先に一体何があるというのだろうか。気になり先に進む。


「ちょメアリーさん!? これ以上は……」

「これって……」


 そこには小さな1つの家があった。その家にはマッシュと書かれている。そしてその庭にあったのは……


「マッシュさん」


 変態野郎は黙っている。


「よかったですね。これで事件解決です」


 変態野郎は逃げの姿勢に入ろうとしていた。すかさずマッシュの動きを止める。


「生きて帰れると思うなよ」




 この日以降マッシュさんを見た者はいないらしい。マッシュさんは今まで依頼されてきた事件は全て解決し、名声と共に消えていったとさおしまい。

最後まで読んでくださりありがとうございました!

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