遺跡の中にて 3
来て下さった方、ありがとうございます。
ここはマイペースで亀で拙い文章で、更新が1週間ずつだったりそれ以上開いたり、1回だったり2回だったりとバラバラですが、時間つぶしにでも見ていって下さるとありがたいです。
「あ゛ーーー。疲れた」
低い声でぼやく。およそ少女らしからぬ声を出したと自分でも思う。オッサンか。
何かの影を見てから必死に出口を求めて歩き続けたけど、今のところあの時の様な影には遭遇していない。
この遺跡、ゴチャゴチャとまではいかないけども、割と分かれ道があって迷いそうになる。そうならない様に分かれ道があったら、最初の分かれ道で右に曲がったので必ず右に進む事にしている。どこかで“迷路で迷った時はどちらかの壁伝いに歩けばいつかはゴールにたどり着く”というのを聞いた気がして。……違ってたらどうしよう。
流石に足が疲れてきたので、周りに気をつけながら壁にもたれて床に座り込み足を前に放りだす。床のひんやり具合が気持ちいい。本当なら靴を脱ぎたいところだけど流石に今それは止めておいた方が良さそう。
はぁ、横になりたい。足を高く上げてフカフカお布団に横になって疲れをとりたい。あぁお風呂も良いな。入浴剤入れてさ、湯船に浸かってゆっくりしたい…。どんな香りが良いかなと思わず想像して口元が緩む。
あれこれって傍から見たら、何も無い所でニヤついてる変な奴に見えない?
気を取り直して辺りをぐるりと見渡す。相も変わらず石と松明だけの場所。変化が分からないからちゃんと出口に向かっているのか不安になってくる。とはいえ歩き続けるしかない。
「さっきから堂々巡りだな。これ…」
……なら、考えるのはもう止めて他の事考えよう。他の事…他の事…。
………。
外の世界ってどんなんだろうな。どんな人たちが住んでるんだろう。共通してるとこがあるって少年神様言ってたけど、どの辺りがそうなんだろ。そもそも言葉とか私分かるのかな?
色々と外の世界の事に思いを巡らせているうちに、疲れが取れてきた。おしりに根っこが生えてくる前に歩くことにしましょうかね。
「よっこいしょっとぉ」
そう言いながら立ちあがって、苦笑する。つい言っちゃったけど、おばちゃん通り越して婆さまになってるじゃん。
そう思っていると、私の頬を何かが微かに撫でた。一瞬の事だったから勘違いだったのかと思ってしまったけど、今度は髪の毛を揺らしたので間違いない。
風が、吹いてる?
集中して全身で風が吹いてきた方向を探す。弱々しすぎて気が抜けないけど吹いて来ている方にゆっくりと進む。途中また分かれ道があるので、慎重に風を探す。すると道を進むにつれて少しずつ感じる風がハッキリとしてきた。
やった!出口が近いって事だよねコレ!
思わずガッツポーズをした後両手のこぶしを頭上に突き上げる。俺はやったぜ!よっしゃ~元気出てきた!とりあえず目標達成間近だよ~。
ゴールが目の前まで迫っていると思えばさっきまでの疲れなんてなんのその。スキップしそうな軽やかな気分で歩みを進める。そしてついに先が明るくなっている角までやって来た。
松明の暖色系の明りじゃない白っぽい明り。それに風がこの先から吹いてくる。うおーやっと変わり映えの無いこの空間からオサラバ出来るのね。とはいえ安全確認をしなくては。
ソロリと顔を出し先の様子を確認する。覗いた先にも道が続いていたけど、中程から明るい光が差し込んでいた。おそらくあそこが出口。
よく見ると扉が開いている状態という事に気が付いた。走って行こうか、と思ったと同時にそこから1人の人間が入ってきて目が合ってしまった。
相手は男性で一瞬身体をビクッと跳ねらせた後、軽く目を見開いた。おそらく私も同じ顔をしていると思う。目はフードと前髪で見えないかもだけど…。
固まる2人。
と、男の人の片手がピクリと動いた。それを見て私は金縛りが解けた様に踵を返し、来た道を駆け戻る。足音なんて気にしちゃいられない。相手は今の自分より大人だ。さっさと逃げなければ!
…いや、何も悪い事してないから逃げる必要もないんだけど、ここがどういった場所なのか分からないし私の様なガキンチョが居て良いのかが分からない。不審者としてとっ捕まりたくないし何より私は人見知りするんだよ!!そんなんでよく仕事できたなって思うけど、仕事だからと頑張って割り切って乗り切ってたんだよ!そんな必要が無くなったんだから避けられるなら避けるに決まってるでしょ!
後ろから走ってくる足音が聞こえてきてますます焦る。上手く逃げ切れるだろうか。もし捕まったら何て言えばいいんだろ。それにどうなるんだろ。そう思いながらも走る事は止めない。
でも中程まで進んだ所で絶望した。道の先の曲がり角からこれまた男の人が数人現れたのだから。思わず足を止める。
これは…、もう少し近くて相手が気付いて無かったら、ちょっくらゴメンよ!って横を走り抜ける事が出来たかもしれないけどこの感じじゃ難しそうだ。どうしよう。どうしよう!変な汗が出る。
後ろの人は私が止まったのが分かったからか離れた位置で足を止めた模様。前方の人達からは「え、子ども?」とか「何でこんな所に」とか聞こえてきたけど今はどうでもいい。
見た感じ身なりはきちんとしていて、盗賊といった類のものではなさそう。服装も皆同じ物を着ているから制服なのかもしれない。ということは何かの隊に関係する何かなのかな?ならまだ酷い事にはならないかな?ここは丁度横道が無いし、進む事も戻る事も出来ないから…これ、詰んだ?
でもまだ諦めきれない。
キョロキョロと前後に居る人達との距離を気にしながら一生懸命考える。どうせ捕まるかもしれないけどそれでも爪の先ほどの可能性があるかもしれない。だったらまだ可能性に賭けて捕まる方が良い。
前方の数人の方に突っ込んで逃げるか、後ろの人1人を相手に避けて逃げるか、なんて考えていると前方の人達の中から1人の男性が前に出てきた。
「おいお前、こんな所で何してんだ。子供が来るような所じゃないんだぞ」
ひー!諭す様な話し方じゃ無く完全に不審に思われてますがな!ヤバイ怖いヤバイ!
思わず後ずさる。でもそれが気に食わなかったのか再び声をかけてきた。
「答えられないのか?」
先ほどと変わらず不審感がこもった声色。他の仲間から「おい」と諌められているけど引く様子は感じられない。
だったらもう後ろの人に向かった方がいいよね。まだこの人より怖い人じゃない事を祈るぞ!
再び踵を返して今度は1人だけでいる男性、もとい出口に向かって走り出す。すぐさま声をかけてきた男性が反応し、
「おい!」
と言って追いかけてこようとしたけど、すぐに「わっと!」と驚きの声を上げた後たたらを踏んだ様な足音がしてその後に、ガゴンという音が辺りに響いた。
ガ ゴ ン だ と?
嫌な予感が頭をよぎる。そして内容を予想するよりも早く嫌な現象が起こってしまった。
突然襲ってきた浮遊感。そして直後に身体が落ちていく感覚。自分が走っていたはずの通路があと一歩先、目の前で途切れて目線よりも上に上がっていく。一瞬の出来事なのにまるでスローモーションの様にすべてがゆっくりと見える。
あぁ、私落ちるのか。下はどうなてるんだろう。痛いのは嫌だな。怖いな。どうにかしてダメージを減らせないかな。
また死んでしまうのは嫌だ。
読んで下さってありがとうございました!
名前…名前…。………(汗)。「お前まだ迷ってんのかよー」という幻聴が聞こえてきました。
早い物でもう11月。私は来月あたりにインフルの予防注射をしようと思っていますが、アレ、なんであんなに痛いんでしょうね。しかも小さい子、小学生は2回に分けて注射するとか。シッブイ顔してぼやいてるチビッ子を見て同情してしまいました。えらいよ君達。