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白い場所にて 4

来て下さった方、ありがとうございます。つたない文章ですが気が向いたら暇つぶしにでも見ていって下さい。


こんな普通っぽい神様なんていない、というツッコミは勘弁して下さい(汗)。

たぶん今の私の体は人の形をとっていないんだと思う。手や足が見えなかったのがその証拠。きっと体があったら涙を零していると思う。それぐらい悲しかった。


ふと、私を包む手の感触に気がついた。触っていたのは少年神様。


「ごめんね。今悲しんでいるよね。君は体が無くなって丸い形、精神・魂の状態になっているから表情は分からないけど気配で分かる」

「…」


そっと撫でてくれながら労わる様な優しい声で語りかけてくれる。悪戯好きな神様みたいだけどこういうことも出来る神様なんだな。悲しい事には変わりないけど、少しだけ気持ちが落ち着く。


「君の世界では人の力で化学という物が発達しているけど、人自身の力で隕石をどうこう出来る程の力は発達して無いって事を僕は失念していた」




………ん?


「よく考えると僕の世界の住人ですら、大きさにもよるけど人1人の力で隕石レベルの威力の物に対処できる者はそんなに大勢いない。戦う力も魔法を操る力も持っていない君が、自分の上に降って来た隕石をどうにか出来るはずもない。こうなってしまうのは当たり前だ」


…んん?ちょっと待って。

優しく撫でてくれながら話す少年神様。慰めてくれているんだと思う。思うんだが…。


話の内容が何かおかしくないか?


「ん?どうしたんだい?」


私の戸惑った気配を感じ取ったのか、私を撫でる手を止めて少年神様が小首を傾げる様な仕草で聞く。

思い切って質問してみようか…。


「あの…、人自身の力で隕石をどうこうって出来るんですか?そもそも」

「あぁ、僕の世界では、だけどね。物理でパッカーンとか魔法でドッカーンとか」


顔は見えないけどこの感じ、おそらく微笑んでいらっしゃるぞ。

マジか。なにそのまるでパンチ1つで隕石をかち割った主人公みたいな聞いたことある感満載の話。普通一般人はそんなこと出来ないよ!そりゃそんなことが出来るお宅様の世界を基準にされたら私なんてアリンコじゃん。いや最弱じゃん?


「あ、そうなんですね。ヘーナルホド…」


質問に答えてもらったんだからとりあえず返事を返したけど、私の知っている常識とはスケールが違いすぎるのでこれが精一杯。

しかし魔法かぁ。物語やゲームの中でしか存在しないと思っていたけど、他の世界では普通にあるんだな。ちょっと羨ましい。というか今この現状私が経験している今が、まさに物語の様じゃないか。

そんな風に考えていると、クスリと笑う声がした。少年神様だ。


「少し落ち着いたのかな?」

「そう…ですね。ありがとうございます」


思わず苦笑いする。いつの間にか涙も引っ込んだ気分になった。…出て無いんだけど。怒ったり悲しんだり、この事態を作った悪戯神様だけど、自分でも不思議なくらい今は何故か落ち着いている。

すぐ横には女神様が居る。じっと静かにこちらを見ている。少し話しただけだけどたぶん真面目で優しい神様なんだと思う。


「女神様もありがとうございます」

「え!そ、そんな女神様だなんて。それにお礼を言われる様な事はしていません」


慌てた様子で返事を返してくれた。私が勝手に心配してくれていたんじゃないかと思って、お礼を言いたかっただけ。


私が昇天してしまった事は事実な様だ。腹を括るしかない。


「あの、だめもとですが聞いてみても良いでしょうか?」

「何かしら?」

「やっぱり生き返る事って、出来ないんでしょうか?」


ここまで話をしていて1度もこの話に関係した内容は出なかった。もし出来たなら私は今頃部屋に居てゴロゴロしていると思う。だからおそらく…。


「ごめんなさい。それは出来ないの」

「そうですよねぇ」


やっぱりか。

うん、まあ世の中そんなに甘くない。よくある物語では例えば神様から凄い力をもらって生き返って俺様無双、とか異世界に転生して俺TUEEE系生活送ったりするんだろうけど。私はどうなるんだろう…。このままここに居させてもらえるなんて出来ないだろうし。…消えてしまうのは怖いし…。


「その事なんだけど、僕の世界に来ない?」

「まぁ!実は私の方からお願いしようと思っていました。良かった。うふふ」


少年神様の提案に、女神様が嬉しそうに笑う。

おっと?これはまさか。


「君達の言うところの『異世界転生』というやつになるのかな。どう?」


まさかの異世界転生!マジか!


「僕ね、実はここの世界のモノに興味があって時々忍び込んでいたんだよね」

「え!?」


無邪気そうに話す少年神様の言葉に驚きを隠せない女神様。もしかしなくても気が付かなかったのかな…。


「バレない様に入り込むの大変だったけど、それもまた楽しかったんだよね~」

「エェ…。やけによく私の所へ来られると思っていましたが、まさかそんな事をなさっていたなんて」


…女神様、ドンマイ。


「本当は他の神の領域に入ってはダメなんでけど、それは相手の世界を脅かす力の介入であって、遊びに行くぐらいなら問題ないはずだよ。それにこの世界は気になるものが沢山あるから興味が尽きなくて。人間って呆れるほど愚かな事をするけど、こういった楽しむものを創る事も出来る。本当に面白いよ」

「まぁそれは私も思いますが」

「それでさ、気に入った物は沢山あるけどあの『テレビゲーム』ってやつは気楽に遊べて楽しいね」

「え、ゲームで遊んだ事あるんですか?」


思わず聞いてしまった。私も好きでよく遊ぶ。ハマると睡眠時間が激減するほどに好きだ。仕事を始めてからは徹夜は厳しいのでなるべく気を付けていたけど。…ってあれ?私って年いくつだったっけ?


「あるよ~。多少失敗してもゲームによっては押し通せるし、ダメでもやり直せる。現実世界にリセットはないでしょ?僕たちは失敗してもセーブした所からやり直し、なんて出来ないからね」

「神様であってもそれは出来ないんですか?」


神様って何でも出来ると思っていたけど、出来ない事ってあるんだなと思った事を口にする。すると女神様が答えてくれた。


「出来ない事はないのです。ただとても大変なだけで。時間や人々の意識を無理矢理変えてしまうので、やりすぎてしまうとどこかで歪みの様なものが生まれてしまいます。そうなると今度はその歪みを修復するのに大変な労力を費やします」

「そうなんですね」


神様は神様で大変なんだな。世界で生きている人々が多ければ多い程色んな事が起こるだろうし。そう思っていると少年神様が再び話し始めた。


「ところで君はゲームしたことある?好き?」

「大好きです!」

「おぉ、良い返事!」


周りに居た親しい人たちはゲームに興味が無いから一緒に語るといった楽しみ方は出来なかった。もちろん出来なくたって友達の事は好きだった。趣味に対して否定的ではなかったけど、私はやっぱり楽しかった事や苦労した事は話して一緒に盛り上がってみたかった。

まさかここで、しかも神様と語る事になるなんて思ってもみなかったけど。


最後まで読んで下さってありがとうございました。


まだもうちょっとだけ続くんじゃ。もうちょっとってどのくらい?う~んと……。あれー?誰か来たみたいだなぁ。

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