白い場所にて 3
あれ?しんみり回になってしまったっ(汗)。ここまでしんみりさせるつもりは無かったのに!
見に来て下さった方、ありがとうございます。つたない文章ですがちょっとした暇つぶしで寄って頂けるだけでも幸いです。
*追記:御礼が大変遅くなりましたが、ブックマークをしてくださった方、ありがとうございます!まさか付いてないだろうと思っていたので、何の気なしに見てビックリしました。それはもう、驚きと嬉しさと緊張で手汗をかくほどに(汗)。本当に感謝です。
一度生まれてしまった不安はなかなか消えてくれない。
子供の頃、昼間誰も居ないはずの襖を隔てた隣の部屋から『カタッ』『カタタ』っと物音がして、怖くなって、そうだ、前にも同じような事があって勇気を出して見に行ったら風に揺れるカーテンが近くの物に当たってたじゃないか。きっとそれ!と思おうとしたのに、カーテンから離れた場所から聞こえてくるその音にますます恐怖が膨らんで半ベソかいた事があった。…いや、これは不安の話じゃなくて恐怖心の話になるのか。動揺してるのかな、私。死んじゃったのかも、なんて思っちゃったから。
どうでもいい事を思い出したのに気持ちが切り替わってくれない。
「あの、大丈夫ですか?いえ、大丈夫な訳無いですよね、死んでしまったなんて聞かされて」
女神(?)様の声が聞こえて、いつの間にか下がっていた視線を上にあげる。と――
「?」
すぐ近くには女神(?)様。その女神(?)様のすぐ後ろ。私からは半分見切れてる感じで見えているのは、女神(?)様と同じように光る人型の姿。身長は160㎝ぐらいだろうか。顔や髪型はやっぱり光っていて分からない。が、こちらを見ている様だった。
女神(?)様は私の視線…て自分がどんな状態か分からないけど、気付いたのか気配を察知したのか身体を捻じった。おそらく振り向いたんだろう。いかんせん顔が見えないから想像するしかない。
「あ、あなた!」
もう1人の人型発光体に向き直ったであろう女神(?)様。
「うん。2人共ごめんね」
相手の人型発光体は少年の様な声で言った。
もしかして、この少年の様な声の発光体も神様と呼ばれる存在なんだろうか。
「特に君。彼女が手元を狂わせたのは僕がちょ~っと悪戯心で脅かしちゃったのが原因なんだ。ホントにごめんね」
「そうなんです。でも結果的には私死なせた訳ですし」
「結果論で言えばね。でも今回の事は僕にも非があるから1人で抱えないで」
2人が会話を続けている傍で私は……
「ぉおぃ…」
「「?」」
「な…に…してんですかぁ!!」
私は怒っていた。
だってそうでしょ。何がちょ~っとした悪戯心じゃい!そのせいでこちとら御臨終してるんだぞ!
いや認めて無い。まだ認めてないぞ御臨終したなんて。けど、神様ってんならそんな事やってる場合じゃないでしょって話。
いきなり怒り始めた私に、女神様(で、もういいや)はオロオロした風に見え、少年神様(で、いいや面倒くさい)は何故か笑い始めた。心なしか楽しそうに聞こえる。この元凶神様がぁ!
「いや、ホントそうなるよねぇ勝手に人生終わらされたら。こんな感じだけれどこれでも反省してるんだよ。まさかこっそり遊びに来た時に「わっ!」って脅かしたら慎重にしなきゃいけない作業中だったなんて。軽率だったなって。まあ僕ならチョイチョイって済ませちゃうけど」
「あなたの場合はもう少し慎重に物事を―」
「あぁうん。気を付けまーす」
「そんなつもり、全然無さそうに聞こえる」
「そうなんですよねぇ」
気持ちはジト目のつもりで少年神様を見ながら指摘すると、女神様がため息をつきながら答える。もしかしたら、これまでにも何度かこういう会話をしていたのかもしれない。
まぁ私的な神様のイメージにもはまって無いし、個性的な神様だって事は分かる。いやもしかしたらほとんどの人が持っている神様のイメージは、人間が勝手に作り出したものなのかもしれないな、なんてちょっと思ってしまった。不謹慎だろうか。
少年神様はそんな私達の様子を気にするでもなく私に訪ねてきた。
「ところで君は…、今話を聞いて死んでしまったという実感はわいた?」
「え?」
深刻そうにでもなく、かといってふざけた感じでもなく。ふざけて言われたらこのモヤモヤをぶつけられるのに、さっきのやり取りで勢いが削がれてしまった。
「…正直、よく分かりません。もしかしたら、本当は…認めたくないだけ…なのかもしれませんが。どうしてもこれは夢なんじゃないかという思いを捨てきれません」
「うん。なかなか受け入れられないのも無理は無い。けど、本当なんだよ」
「………」
薄々もしかして…なんて思っていた。見えない身体。地に足が着いていないフワフワした感じ。周りから伝わってくる雰囲気、空気感。上手く言葉に出来ないけど、そういったモノがやけにリアルで。今まで内容は覚えていなくても楽しい夢も、悲しい夢も、怖い夢も、好奇心がくすぐられる様な夢も色々見てきたけど、どの夢とも感覚が違う。
だからたぶん、そうなんだ。
……そう、なんだ。
最後まで読んで下さってありがとうございました!
実は今回のお話の中にあった、『人が居ないはずの隣の部屋から~』の話は実話です(笑)。
結末は、その部屋にはお供え物を置く場所があったんですが、他の物は覚えていないですが大きなスルメイカが供えてあって、そこに開いていた窓から入った野良子猫が引き寄せられていた。というものです。いや驚きましたよホント。でもそこ2階だったんですけどね。どうやって上がって来たんでしょう(笑)。
触りたい気持ちをググッと堪えて猫の体に触れないように窓へ誘導し、帰って頂きました。ミーミー鳴く程の子猫ではなかったので自力で帰ってくれました。触らなかったのは人間の匂いが付いたらいけないって聞いてたんで。でも撫でたかったなぁ。