単騎でやったるDAY!
次々と武者やら能力がでてくるので脳内補完お願いします!
時は戦国睦月肆刻―—。
霜の降った戦場で赤黒く染まった雪は敗残兵の具足を艶めかしく引き立てていた。
青年は妖刀を片手に血を刀へと収束させる。
左軍の毛利元就を迎え撃っていた、羽柴軍の一番槍である兵頭家久
は毛利軍の兵糧庫を落とすべく奮戦していた。
家久の左籠手に宿る魍魎の魂は白炎の鬼と呼ばれる相貌に型を成し力を分け与えていた。籠手の名は”白炎”装具者の重力を半減させる能力。
兵糧庫の門をいきり立つ馬の重量でおしあける。
中には僅かばかりの兵と騎馬が待っていたのみで、間者がもたらした左軍の情報は虚偽であった。
「計ったな!元就よ!」
声高らかに叫ぶ家久は五月雨を鞘に納め下馬する。
「猪武者とはこの事よの」
下卑た笑みをこぼす男は元就の私兵、草月元吉。
因縁を持つ二人の侍はくしくも、戦場で相まみえる事となった。
「薙刀とは女々しい得物を持参したものよな!」
元吉は矛を地に打ち付けると眉間に皺を寄せ口門を上げる。
「矛と薙刀の区別もつかぬか!まっことシシ武者よの!」
「これ以上、語る舌をもたん!」
五月雨は唾を鳴らし主の手元へと浮遊する。
家久は横一文字に薙ぎ払い、赤黒い斬撃を飛ばす。
元吉は斬撃をいなさず、矛で薙ぎ払うと、勢いのままに得物を袈裟懸けの如く振り抜いた。
白炎の小手が煌めく双眸を加速させる。
五月雨に蓄積された魍魎の血は白炎の小手の力によって剣先をより長く鋭く得物を昇華させた。
共鳴した”葬具”は意志を持ち、主に呼びかける。
「主よ、ここは恥を忍び引かれよ」
権謀術数に絡めとられている事を察した家久は元吉の一撃を掻い潜り離脱することに専念した。
「猪武者よ!背をむけもうすかァ!」
「死なば元もなし!かき捨てよ!いずれ相まみえん!」
”葬具” 馬蔵四十八を背に載せ血走った目をした馬は物理法則を無視した挙動で家久の元へ舞い戻る。
幾星霜の修羅場を越え練磨された家久の武芸は天下無双の豪傑と言えた。
敗走の道筋を辿るかのように矢が放たれ、家久は脱兎の如く走り抜けた。
元吉は好機と捉え家久を追走する兵を出したが、刹那の猶予もなく姿を見失った。
読んでもらえてすこぶる嬉しいです!