表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/16

第五章 エンジン復活!

さて、前回の次回予告でどっかに行った春音の最期も気になりますが、まずは本編をどうぞ!

春音「作者さん!『最期』って、わたしまだ死んでませんよ!」

 大学も冬休みに入ったある日、僕たち「戦闘機研究会」は、いつものように零戦の復元作業と零戦ミュージアム開館に向けた準備をしていた。

「ヤス、野口自工から電話。」 

 零戦の機体磨きに夢中になっていると、いつの間にかハルが来て、すぐ後ろに立っていた。手には電話の子機を握っている。

「『エンジンのテストをするから立ち会ってほしい』だって。」

「日時は?」

「今日。」

「え、それは無理。今忙しいし、ハルが行けばいいじゃん」

 僕がそういったとたん、ハルが泣きそうな顔になる。

「ヤスといっしょがよかったんだけど・・・・・」

 声も少し震えているような気がする。

「行ってやりゃぁいいじゃねぇか、ヤス。こっちは大丈夫だからよ。」

 隼人さんの声がした。

「そうそう、女の子を泣かせちゃだめだぞ。」

 いつのまにか信さんもいる。ちなみに、信さんは常にここに入り浸っている。「社長は何かと融通がきく。」らしい。

「じゃあ、いってきます。」

 一転して笑顔になったハルといっしょに、僕は格納庫を出た。    

 僕とハルは、猪苗代駅で列車を降りると、駅前に止めてあったタクシーに乗った。

 例の野口自工につくと、中学生くらいの子供たちが集まってるのが見えた。その輪の真ん中には、ボンネットのカバーが外された黒いディーゼル機関車がいる。

 僕らの足音の気づいたのか、その中の一人がこっちを向いた。黒いパーカーを着た現代風の男の子だ。

「あの・・・・零戦復活プロジェクトの神崎ですが・・・」

「あ!神崎さんですね!ちょっと待っててください、今取り次ぎますから。」

 僕が声をかけると、男の子は、事務所に入っていった。中から、声がかすかに聞こえる。やがて、白髪をはやした男性が出てきた。

「どうも、ここの社長の野口晴信です。零戦プロジェクトの神崎保信さんと山ノ井春音さんですね?ゼロのエンジンはこちらです。ご案内しましょう。」

 晴信さんは、かなりしっかりとした動作で歩いていく。

「そういえば、さっき外で子供たちがなんかやってましたけど・・・」

 ハルが、口を開いた。

「ああー、あれですか。昔ここらで走ってた鉄道を復活させようとしてるのですよ。なかなか面白いことやっとりますでしょ。」

 晴信さんが目を細めて言う。

「すごいですね!わたしたちと似たものを感じます。」

 ハルの目が輝いた。

 建屋の中に入る。零戦のエンジンは、建屋の真ん中に置かれていた。中島飛行機製「栄」だ。

「大変でしたよ。部品の半分くらいは新製して取り換えましたからな。」

 そう行ってる割に、晴信さんは楽しそうだ。

「なにしろ私は、古いエンジンの面倒を見ることが好きでしてな、もう生きがいと言ってもいいかもしれない。零戦と聞いたときは燃えましたよ。なにしろ、あこがれの零戦ですからな。」

 本当に、楽しそうだ。

 仮付の燃料タンクにガソリンが入れられ、エナーシャが回された。

 ドドドドド・・・・というエンジン音を立てて、栄が動き始めた。回転数調整もスムーズにいく。

「どうですか?私どもとしては合格ですが。」

 晴信さんがきいてきた。

「だいじょうぶです。明日にでも運びたいのですが、トラックの手配が難しくて・・・・。」

 晴信さんの目が輝く。

「それなら任せてください。おーい、真美ちゃん、明日トラック出せるかい?」

「出せますよー。」

 外から女の子の声がかえってきた。

「運ぶほうも、こっちに任せてください。だいじょうぶですよ。」

 晴信さんが笑って言った。

 どうやらこの人は、楽しいことなら損得勘定抜きにしてやってしまう性格のようだ。こっちとしては、そのほうが仲良くできるような気がする。

『よろしくお願いします!』

 言葉の前に「これからも」という言葉を心の中でつけて、僕とハルはお辞儀をした。

春音「春音とぉ!」

保信「保信の~!」

保信・春音『次回予告~!』

―♪守るも攻むるも黒鉄の 浮かべる城ぞ頼みなる―

保信「それにしても、この前どこ行ってたの?」

春音「大和長官といっしょにあんなことこんなこと・・・・・・具体的に言うと検閲で引っかかるから言えないけど。」

保信「検閲に引っかからないように言うと『コスプレショー』的なかんじかな?」

春音「そうだよ。信さんが二式大艇でお迎えに着てくれたの。ありがとうございます!」

 信さん、スタッフのスペースで親指を立てる。

保信「何してたのか気になるけど、早めに次回予告しちゃおう。」

春音「うん!さて、この次は、反対派の妨害活動がわたしたちに忍び寄る!?それではみなさん」

保信・春音『お楽しみに~~~!!』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ