第三章 搬出
はい、やっと、零戦復活プロジェクトが動き出します。(おまたせして、申し訳ございませんでした。)
七月二十三日、桑折飛行場跡地。
桑折町教育委員会は、見つかった零戦の引き取り先を探した。条件は、輸送費は自分たちで用意すること。
いくつかの団体が引き取り先に名乗りを上げていたが、高額な輸送費で断念していた。
僕らは知り合いの運送会社に頼んで、格安で輸送してもらうことになった。行先は、玉川村にある福島空港。
狭い道を苦労しながらやってきた大型トレーラーが止まる。側面には、「(株)白木城運送」と書かれていた。
あらかじめ引き出されていた零戦に、作業員が取り付いて、機体の分解にかかった。弾薬、ガソリンはあらかじめ抜いてある。
分解された部品ごとにトレーラーに積んで、福島空港に向かって出発したのは、午前十一時過ぎだった。
福島空港の飛行機格納庫に安置されたゼロは、修理ののち、再び飛ばすことになっている。所有者も、「関東大学戦闘機研究会」になった。
零戦が福島空港に着いた翌日、点検担当をする釆女隼人さんがやって来た。隼人さんは、元大日本帝国海軍の整備兵だ。
主翼に搭載されていた機関銃は、取り外して警察に預けてある。代わりに、同じ重さのレプリカを取り付けた。胴体の機銃はそのままだけど。
隼人さんの検分が終わったようだ。
「機体もエンジンも、傷みはないから大丈夫だろう。問題は資金だ。知り合いの会社の社長が飛行機好きだから、紹介してやる。」
隼人さんが言った。
え、社長?
保信「保信と」
春音「春音のぉ!」
保信・春音『次回予告~!』
♪国を出てから幾月ぞ ともに死ぬ気でこの馬と 攻めて進んだ山や川 とった手綱に血が通う・・・・(愛馬進軍歌が流れる)
春音「とうとう、バックの音楽が飛行機とも海軍とも関係ないものになったよ。」(ため息)
保信「それは置いといて、今回は、この物語の作者、七日町糸さんをお呼びしておりま~す!」
作者、スタジオの扉を開けて入ってくる。
パパチパチパチ!(二人の拍手)
作者「どうも、七日町糸です!この『飛べ!僕らの零戦!』を読んでくださりありがとうございます。」
保信「そういえば、前にちょっと話題に出たんですけど、『ご先祖様が陸軍軍人』だったんだって?」
春音「わたしも気になってたの!早く教えて!」
作者「はい、まず、僕の家は、父方のご先祖様が会津武士、母方のご先祖が平安時代前期の征夷大将軍、坂上田村麻呂という『武士の家』です。」
保信「にわかには信じがたいけど、すごいな」
春音「・・・・・・・・・」(絶句)
作者「陸軍軍人だった人は、僕の曽祖父にあたります。福島県は会津若松の連隊(詳しい部隊名は不明)にいたそうで、父は『コックさんだった』、祖母は『会計係だった』と言っているので、おそらく主計兵だったと思われます。祖母曰く『職業軍人で、軍馬もいい馬が与えられていた』そうです。」
保信「かなりの好待遇だね。」
春音「馬かぁ。わたしも乗馬、してみたいな~」
春音、自分の動物愛について語り始める。
-----三十分後
春音「それでね、チェコスロバキアンウルフドッグは・・・・・・・・・」
保信・作者「ちょっとハル!ストップ!尺が足りなくなる!」
作者「ゲフン!では、続きを・・・僕の曽祖父は、曾祖母と結婚し、幸せな生活を送ります。」
春音「いいですねぇ。ラブラブの結婚生活」
作者「ところが、戦局の悪化に伴い、曽祖父は部隊の一員としてシベリアに進出します。」
保信・春音「えーーー!」
作者「そこから先はわからないのですが、おそらくソ連軍と戦ったものとみられます。そして、戦後になって復員船で帰って来たそうです。」
保信「よかったです。ちゃんと帰ってこれて。」
作者「曽祖父は、僕が生まれる前に亡くなっているので、直接話を聞くことは叶いませんでした。さらに、戦地での体験は、自分の心のなかだけにしまい、父や祖母にも話さなかたそうです。」
保信・春音『・・・・・・・・・』(涙をこらえている。)
作者「二人はこの状態なので、わたしが次回予告をします!次の会では、相当本格的に作業が始まります!お楽しみに!」