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エピローグ 飛行機雲

ついに、この物語が完結します!

これまで応援してくださった皆様方、本当にありがとうございました!

 桑折飛行場改め零戦ミュージアムが見えてきた時だった。

 安達太良山を背にして、一機の飛行機が飛んでくるのが見えた。僕らと同じ零戦だ。

 どこから来たのかわからないほど、気配はしなかった。

 しばらくの間、僕らと並んで飛ぶ。

 その零戦は、塗装がところどころ剥げて、長い間前線に出ていたような姿だった。翼には、機銃が搭載されている。

 風防越しに、操縦してる人の横顔が見えたけど、酸素マスクとゴーグルでよくわからなかった。

[ヤス・・・・]

 無線機越しに、ハルの小さな声が聞こえてきた。

[なんだろう。あれ・・・]

「うー、わからない、敵意があるわけでもないようだし。」

 僕の声も、ついつい弱気になってしまう。

 謎の零戦の風防が開いた。こっちも同じように風防を開ける。

 中の男の人が僕らのほうを向いて敬礼をした。僕とハルも敬礼を返す。

 男の人が酸素マスクをとった。何かを言おうとするように口を動かす。



「あ!り!が!と!う!」





 風の音にかき消されて、声は聞こえなかったけれど、僕にはそう言ってるように見えた。

 最後に大きく翼を振ると、零戦は機首を元来たほうに向けた。

 機体が反転したとき、尾翼番号がはっきり見えた。「コオ―102」・・・・・。僕の零戦と同じ番号だ。

『え?』

 僕とハルの口から、同時に声が出る。

 遠ざかって行った零戦は、ふっとかき消されるように消えた。一筋の飛行機雲だけを残して。

 あれは、なんなんだ?

 




 疑問を頭の中で反芻しながら飛ぶうちに、桑折飛行場の上空についていたらしい。

 滑走路の着陸許可合図が出ていた。

 コックを操作して、脚を出す。

 操縦桿を奥に押し込む。スロットルも、最小位置に置いた。

 ガタッ、ゴトゴトゴト・・・・・・

 タイヤからの振動が、地面についたことを知らせてくれた。

 ハルの零戦も後ろに並ぶようにして着陸する。

 スイッチを切って、エンジンを止めた。風防の真ん中に手をかける。

 風防を開けて、機体の外に体を出した途端、僕らは大きな拍手に包まれた。

 隼人さんと信さんが近づいてきた。

「よくやった。すごいぞ。」

 信さんが僕の肩をたたきながら言った。ハルのほうに目を向ける。

「春音ちゃんもよくやったな。きっと二人とも零戦を操縦した世界最年少の人間だぞ。」

「飯ならあるぞ。」

 隼人さんが、弁当の包みを取り出した。

「ヤスさん、ハルさん、羊羹作ってきたので、よかったら食べてください。」

 みやびは、竹皮の包みを取り出す。

「みんな、ありがとう。」

 そういうと、僕とハルは零戦ミュージアムの本館に向かった。





 館内のスタッフルームに入った僕とハルは、椅子に座り飛行眼鏡と手袋、飛行帽を取ると、お互いの顔を見た。

「うまくいったね。」

 最初に口を開いたのは、ハルだった。

「そうだな。うまくいったな。」

 これまでのすべてが夢のようだった。僕らが零戦を見つけたのも、その零戦が僕らの手によって飛んだことも。

「あの謎の零戦は何だったんだろうね?」

 隼人さんも、信さんも、そんなものは見ていないといった。でも、僕たちは、はっきりと見ている。

「もしかすると・・・・」 

 あの零戦に乗っていたのは、僕の零戦の前の持ち主、坂井二郎さんだったのかもしれない。僕らに感謝を伝えるために、幽霊となって出てきたのではないのだろうか。

 この考えをハルに言った。

「そうだね・・・そうかもしれないね。」

 ハルはそう言うと、窓から見ある青い空を見上げた。

 坂井さんが戦死した日は、よく晴れた暑い日だったそうだ。まるで、今日のように。

 その後すぐに、日本は降伏し、その過程で桑折飛行場に関する資料は失われた。ここの存在は忘れられ、ここはそのまま残された。まるで、タイムカプセルのように。

 今日はお盆だ。お盆の間は、死んだ人がこの世に帰ってくるという。坂井さんの霊も、帰って来たんだ。自分の零戦を見るために。僕は、そう信じている。

「おーい、テレビ局がインタビューするってよ。」 

 隼人さんの声が聞こえてきた。

『はい、今行きます。』

 二人で同時に言って、席を立つ。

 外に出ると、夏の日差しが僕らを照らした。

 青い空に、まっ白な入道雲が浮かんでいる。

 その中を飛んでいく零戦が、僕の目には見えた。

 乗っているのは、もちろん坂井さんだ。

 零戦は、大きく旋回すると、雲間に消えた。

 零戦プロジェクト初期のころ、夢に坂井さんが出てきたことがある。その時坂井さんは、僕らに自分の零戦を託したんだ。

「これから先も、がんばらないとね。」

 ハルが言った。 

 滑走路の二機の零戦は、日の光を浴びて美しく輝いていた。

 その上には、昔からずっと変わらない大空が、どこまでも広がっている。

保信「保信とぉ!」

春音「春音とぉ!」

みやび「みやびのぉ!」

三人『完結記念次回予告~!!』

―♪守るもせむるも黒金の 浮かべる城ぞ頼みなる・・・・・

保信「今回は、横須賀に停泊中の空母翔鶴艦内からお送りします!」

春音「あれ?なんでいつも通り『次回』予告なの?これで完結するんじゃないの?」

作者「うん、実は、この物語の続編構想は結構あるんだ。」

三人の後ろに作者が立っている。

三人『さっ、作者さん!?いつの間に?』

作者「前日から乗ってた。は〇ふりの聖地巡礼と三笠見学も兼ねてね。」

みやび「さっきちょこっと危ない言葉が出てきたような気もしますが・・・・・・・・・」

作者「気にしないで。」

春音「ところで、続編構想とは?」

作者「まずは、第二部となる『真珠湾ヲ訪問セヨ』。これは、真珠湾攻撃九十周年記念式典とそれに伴う記念映画の撮影でみんなが空母翔鶴と一緒に真珠湾に向かう話。その次が・・・・・・・」

バーン!(扉が開いた。)

翔鶴「『飛べ!僕らの零戦!』完結おめでとーーーーーーっ!!」

ロナルドレーガン(以下レーガン)「皆さん、おめでとうございます。」

???「お兄ちゃん、お疲れさま」

???その二「ヤス兄、お疲れ」

翔鶴とレーガンの後ろに保信によく似た少年とツインテールの美少女が・・・・

保信「永信っ!?実っ!?」

春音「誰?」

みやび「どなたですか?」

保信「僕の弟の永信と、その親友の初霜実。」

永信「初めまして。僕は広島県呉市在住の神崎永信です。隣にいるツンデレ少女は初霜・・・・・ごふっ」

実のこぶしが永信のみぞおちにヒット。

実「誰がツンデレじゃぁっ!」

永信、腹を抑えて倒れる。

永信「ほんとのこと言って何が悪・・・・・ぐえ」

実、永信の背中を踏んづける。

実「大和の主砲砲身の中に詰め込むわよ?」

永信「すいませんすいません」

保信(永信、完全に実の尻に敷かれてるな・・・・・・・・)

作者「この二人は、真珠湾篇でも登場してもらいます。ほかにも、結構新キャラを出すつもりです。」

みやび「わたしたちの仲間が増えますね。楽しみです。」

実「ところで、わたしと永信のこと、レギュラーキャラにしてもらえるんでしょうね?一発キャラにしたら承知しないわよ?」

作者「レギュラーキャラにしますよ!ちゃんと!」

翔鶴「ところで、真珠湾篇の次は何を予定してるの?」

レーガン「あ、わたしもそれ聞きたいです。」

作者「ああ、えーっとね。第三部にあたるのは『世界一周飛行ヲ命ズ』だね。零戦と一式陸攻で世界一周する物語。って、なんか翔鶴とレーガンの後ろから黒っぽい靄が立ち上ってるんだけど!?」

翔鶴「なんでわたしのことを出さないの?」

レーガン「ひょっとして、わたしはもう出番なしですか?もういらないんですか!?」

作者「ちょっ、この空母二人怖っ!」

翔鶴「わたしの出番をなくすな!九九艦爆ちゃん!爆撃開始!目標、七日町糸!」

レーガン「ううっ、わたしなんて、わたしなんて・・・・・・・・・」

作者「うわっ、爆撃はやめろぉぉぉぉ!せめて完全に遺体が残るように死なせてくれぇ!後、レーガンなんかすごい落ち込んでるーー!」

ドッカーーーーーーーーンッ!(七日町糸、九九艦爆の急降下爆撃により爆発四散)

翔鶴「悪は滅びた!」

レーガン「ううっ、ううっ・・・・・」

信さん「それじゃあ、全員カメラの前に整列!それではヤス君。頼むよ」

保信「これまでこの物語を読んでくださった皆様。」

この場にいる全員+この物語の登場人物全員『本当に、ありがとうございました!!』

春音「それでは、次回の『飛べ!僕らの零戦!第二部~真珠湾ヲ訪問セヨ~』でお会いしましょう!」

みやび「それでは皆さん!」

全員『これからも七日町糸と『飛べ!僕らの零戦!』をよろしくお願いします!』





どうも、七日町糸です。

無事「飛べ!僕らの零戦!」完結いたしました。

これまで読んでくださった皆様には、感謝です。また


伊藤椋先生

流水郎先生

など僕にインスピレーションを与えてくださった先生方。僕がこのような軍事物の小説を書き始めたのはあなた方のおかげです。

ブログ「筆塗り航空隊」のまろやかよーぐると様などの飛行機モデラーの方々。スランプの時はひたすら皆さんの作品をTwitterやネットで見てアイディアを作ってました。

そして、この作品を読んでくださった読者の皆様。あなた方がつけてくださるポイントやブックマークが制作の支えになっていました。

心より御礼を申し上げます。

本当に、この作品を読んでくださってありがとうございました。

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