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異世界に来たと思ってたら違うみたいです。  作者: 美雨湯
第1章 異世界に来たと俺は考えている
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第1-5章 多分、風。

 ついに森が開けて、丘の上に立つ二人と肩の上の一匹。

 夕焼けの爽やかな風が頰を掠めた。

 見える景色はまるで、絵画のようである。

 タイトルをつけるなら、丘と野花かな?

 センスのないことを考えながら、フレイアの言葉に耳を傾ける。


「見える?あれがおばあのいる、私の住んでる村よ」


「ああ、あそこまであと15分くらいかな?」

 俺は少し息を切らしながら先に見える村を見つめた。


「15分?わからないわよ、私時奏計なんて高価なもの持ってないもの。

 トッポに聞いたことがあるんだけど時々掘り当てることがあるらしいわよ。」


 時奏計とはおそらく時計の事なのだろう。

 なぜ埋まってることが、あるのかはよくわからないが。


「そうなの?フレイアとの旅もあとちょっとで終わっちゃうのかあ。俺少し残念だな、もうちょっと続いてもいいかも」

「フレイアもいるしね、でも歩きづらいから森は嫌だな」

 ちょっと積極的にフレイア可愛いアピールをしてしまった俺がいた。異世界に来たせいか、少し高校デビューに失敗した俺は、高校デビューならぬ異世界デビューしようとしているのかも。

 でも本当に俺はほんと名残りおしいと思っいたんだ。

 もう二度とこんな可愛い子が隣に歩くことはないと思ったから。


「ふふっ、君って大袈裟ね。」

 フレイアは言いながら、少し照れたのを隠すように急に脇道の草花をみた。「旅って半日くらい歩いただけじゃない。

 君がひ弱で歩くの遅いから、予定より遅くなってもうすぐ夜になっちゃうけど」


「フレイアが歩くの早すぎなんだよ〜、その通り!貧弱な俺にはキツイぜ〜」

 俺は愉しげに言葉を返した。

 実際フレイアのスタミナは半端なかった。

 あのスタイル抜群の身体のどこにそんな力が、あるのだろうか。


 夕暮れの丘を下り村の入り口が近づき、入ろうとした時だった。

 傭兵?違った子供かぁ。

 子供が槍と木でできた、意味があるのか?と感じる盾をもって立っていた。


「ただいまー」

 フレイアは元気に話しかけ、俺もつられて

「どうも」と軽く笑いかけた。


「フレイアお帰り、無事薬草は集まったのか?あの薬草は取るの大変だっただろう?心配してたよ。」

 その子供は規律正しく立ちフレイアと俺の方を見つめ、きらきらした目を輝かせ話しかけた。


「しっかり取れたわよ、心配と言えばでも明日から心配だわ。

 おばあはあの薬草取れるかしら?

 木の上の方に生えるじゃない、届くかしら?

 無理して取って落ちたりしないかしら」


「ハハハっ、大丈夫だよ、キリカさんは薬草を取るプロだよ。

 きっと落ちたりしないよ、心配しょうだなあ」

「僕が子供の時、森でケガしたのを隣で見てたキリカさんが、急いで木に登ってこの薬草をとって、僕につけてくれたのを覚えてるよ」


「私聞いたことあるわよ!その時トッポも登ろうとしたんでしょ?無理して取って落ちたっておばあか聞いたことあるわ」

 フレイアは笑いながら子供を見ながら言った


「それは内緒にしておいてっておばあに言ったんだけどなあ」

 恥ずかしそうに子供は笑った


「早速おばあに渡しにいくわ」

 手を軽く振って歩きだした。

 フレイアの後ろを歩きながらきょろきょろ見渡し、感動した。

 だってこの村の様子がほんとお決まりの異世界って感じたから。

 もう日が落ちそうだから夕飯の支度かな。

 外でお母さんの手伝いをしてると思われる子供をたくさん見た。

 なんか幸せファンタジーの雰囲気だなあと感心しながら、奥を見た。

 すげえ、ロープレの世界に来たって感じだなぁ、あの建物とか。

 円柱の建物が木板とレンガで構成されている。

 横壁と地面の一部が、見慣れたコンクリートのような崩れた壁みたいなものと絡みながら作られた建物を見ながら思った。


「あの建物おしゃれだね、何をするとこなの?」

 さっきから見ていた、建物を指差しながら聞いた。


「今からあそこに行くのよ、あそこがおばあの家よ」


「へー、他の家とちょっと見た目が違うね、こだわりを感じるよ」


「でしょ?素敵でしょ!あとねおばあはね、すごいんだよ。

 この村を作った人なの、それに身寄りがない子供を育ててる、優しい人なの」

 優しく微笑えみ幸せオーラを滲ませた。

「ただね、少し激しいのがね…」


 俺は村長兼孤児院みたいな、ドラマに出てくる典型的な良いおばあさんを想像した。


「ほらついた、ただい・」


 フレイアがドアの凹みに触れた時だった。

 開けるより早く、勢いよく扉が開いた。

 もちろんお約束どおりの現象。

 丁度俺にクリーンヒットで、地面に倒れこんだ。


「フレイアー!もうまた勝手に出掛けてー、心配したんじゃぞ!!」

 出てきたのはフレイアより全然背が小さい子供。

 俺の腰より小さい背丈で金髪のボブカット?のような髪型で、可愛いらしい白いレースのワンピースを着てる。

 ハリウッド映画にでてくる子役と言われたら信じてしまう。

 そんなあどけない可愛らしさに包まれた女の子。

 見ていて自然と俺は微笑んだ。

 その必死にフレイアに抱きつく姿がさらに絵になる。

 ダブル可愛いい姉妹だな!と思った。


 フレイアは少し恥ずかしそうに、横目で俺を見る。



「フレイアお帰り、もうしばらくは休んでてって言ってたのに」

 女の子の後ろからもう1人、同じくらい幼い黒髪の女の子がかけてきた。

 手入れの行き届いた腰までの長い髪の毛と上品な笑顔。

 そして勢いよくでてきた金髪の女の子の隣にいると、やけに大人びて見える。


「おばあ、ミリア、ただいまっ。薬草が切れてたから取りに行ってたの。そしたら、途中でこの人が倒れて・て」



「おばあ〜??!この娘が!?」

 話を遮りおれが驚きの声をあげる。


「もう、急に大きな声ださないでよー。

 びっくりするじゃない。

 あのね途中でこの人倒れてて、話を聞くと名前も覚えてないし、記憶喪失かなって思ったから、おばあに見て貰おうかなって思ってつれてきたの…」


「のぉ、フレイア、わしがいろいろ忙しくさせたからかの。

 疲れてたら休んでもいいんじゃよ」


「どうしたの?おばあ?」


「いいずらいんじゃがな…これは倒れる前兆だと思うんじゃが、なあ?」


「えっ?意味わからないわよ」


「さっきから誰の話をしてるんじゃ?」


「えっ…この人よ?!」

 なんのこっちゃわからない困惑顔の俺をフレイアが俺のうでを強引に引き寄せる。


「いや見えないぞ、ほらな、わしには1人芝居をしてるように見えてな…見てる側としては切ないぞ」


「ほら君なんかしゃべって!!」

 俺をつかまえおばあの目の前に、


「ちょっ、フレイア押し過ぎ!」

「え、」

 俺の体はおばあをすり抜けた。

 振り返ると、信じられないという顔でフレイアが俺を見ている。

 そんな目で見られても俺自身が信じられないよ、俺って見えないの?

 幽霊なの?

 何なの?

 まじわからないんだけど?

 自分の状態にア然としている俺を横目に急に冷静にな表情になったフレイアがいた。


 そのあとフレイアはとても深刻な顔をしておばあを見つめ話かけた。


「おばあ、真面目な話なんだけどね、聞いてくれる?

 ほんとに私の隣に人がいるのよ、見えないかもしれないけど」

 そう話始めたフレイアは俺と出会ってから今までのことをおばあに伝えた。


 おばあは聞き終わるとしばらく考え込み、口を開いた。

「やっぱりなんじゃな…。

 女神に選ばれた兆候がでないことを私は本当に願っていた」

「フ、フレイアわしはお前に、な何もまだ伝え、、、」

 おばぁの口は震え体は小刻みに震え、フレイアを見るまなざしも震え、空間が急に重く、暗く、寒く、感じる俺がいた。

 見た目が幼すぎるおばあが泣きそうな姿は、堪える。

 当然隣にいるミリアちゃんも泣きそうだ。


 静かに見ていたミリアちゃんも呟くように優しく口を開いた

「見えざるものが見え、神獣を使役したときそれは間違いなく女神になる前触れ。

 数百年前の女神も見えざるものが見えたと言いつたえられてるものね。

 なんでフレイアなの?私が変わりたい・・」

 そう言いながらミリアちゃんの頬を静かに落ちていく一筋の雫が見える。


「おばぁもミリアも泣かないで・誇らしいと思ってるわ、私女神になるのよそれにきっと・ここの暮らしも良くなるし、いいことじゃない?」


 その時だった。突如この雰囲気を壊す場違いな音が響き渡る。

 どがん乱暴に扉を開き、鎧を着たいわゆる兵士だろうか、いや兵士の奥に偉そうに腕を組み汚いものを見る視線が突き刺さる。

 こちらを見るきれいな鎧を着たガタイのいい踏ん反りかえっている奴。

 そいつは取り巻きを押しのけそいつは言った。


「フレイア何をしているんだ?明日お前は女神になるのだぞ、準備はできてるのか?」

「こんなとこでしゃべっている暇があるのか?」

「お前ごときが女神に選ばれたのだぞ、光栄に思え、カスが!早く身を清め、香を浴びてこい」

「俺様がわざわざこんな下民だらけのちんけな村に来て待っていてやってるんだぞ、女神になる前に可愛いがってやろう」

 乱暴にフレイアの手を掴もうとした時だった。

 俺と一匹は動いていた、俺の手は無情にもそいつの腕をすりぬけた。

 が、一匹は違った。

 鋭い前歯でそいつの腕を噛んだ、大切な主人を守るために。


「このゴミ虫が!!」ライプーを下に叩きつけこちらを睨む

「神獣でなければとっくに切りすてておるわ」ライプーは下に打ちつけられても奴を睨んだままだ。


 フレイアはライプーの元に駆け寄りライプを抱きしめ、

「私を汚して女神になることができなくなったら、お前も困るはずだわ、それでも私に近づく?」


「興ざめだ、下民出の女神候補なんぞ、興味ない!遊びに決まってるだろ!!」

 汚い視線でこちらを睨む

「明日の朝迎えにくるから支度をしとけ」

 そう投げ捨てると奴らはいなくなった…


「フレイアっ」

 おばあとミリアちゃんがフレイアに駆け寄ったところで


「私ちょっと散歩してくるね。

 そんな顔しないでも私は平気よ、ね?大丈夫だから」

 フレイアはいつもの笑顔で外に出ていった。

 心配で俺の足は自然と後をついていっていた。



5部は少し長くなってしまいました。

そろそろ本題に入っていきます。もう少しお付き合い頂けると幸いです。

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