表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/57

一族編 54、ついに日本へ

〜暗闇〜


思い出した。

妹のこと。


なんで忘れてたんだろう?

こんなに重要なことを。



もしかして、まだ思い出せない13歳から15歳辺りまでの記憶も関係があるんだろうか?



俺はまだなにか大切な記憶を忘れているんだろうか。




俺は、弱すぎて妹も守れなかった。


こんなに弱い奴は、この暗闇から出るべきじゃないよね。




ふと、誰かの気配を感じて振り向いたら、吸い込まれそうな黒い瞳に黒髪の男の人が此方を見ていた。

鋭い目つきをしているが、相手は無表情なので何を考えているのか全く分からない。



「えっと、誰?ですか?」



「……」



答えてくれない。

この人は強そうだ。僕もこの人みたいに強ければなあ。


そう考えてると、何だが涙が止まらなくなってきた。ポツリポツリと床に落ちる。


恥ずかしいなあ、人が見てる前で。



黒髪の男の人は、少し戸惑ってるようにも見えた。殆ど表情が変わらないから、僕の気のせいかもしれないけど。



「……受け止めろ」



受け止める?



「本当の記憶と自分の弱さ……」



「受け止めて強くなれ」



受け止めて、強くなる。

そっか、俺には、そうするしかないね。


じゃなきゃ前に進めないよね



「うん。俺、弱いけど強くなれるように頑張るよ」



そう言うと、彼は微かに微笑んだ気がした。

またまた俺の気のせいかもしれないけど。



「……俺も助けてやる」


「うん、ありがとう!!」



すると、僕の意識は上へ急上昇していった。



==

===

====



〜飛行機 休憩ルーム〜



「んん、あれ」


エスターテが目を覚ますと、休憩ルームのソファの上にいた。

近くには心配そうに見つめているルピィがいた。


「エスター!大丈夫ですか!?」



ぼんやりと暗闇での出来事を思い出す。

受けとめると決めたこと、助けてくれると言ってくれた男のこと。

ただの夢だったかもしれないけど、もうエスターテの心は落ち着いていた。


「うん、ごめんね。心配かけちゃって……」


「お!!エスターテ君おはよう!暇だし、なにか皆で遊ぼうぜィ!」


カリアの小脇には、休憩ルームに置いてあったトランプやボードゲームなどが抱えられていた。


「いいですねー」


こうして、日本に着くまでの間、皆で遊んだり、仮眠をとったりして過ごしていた。



==

===

====


〜日本 空港〜


「カリアさん、ずっと負けてましたね」


余りの弱さに、エスターテは苦笑する。


「こいつは、昔っからゲームが弱いんだよ」


カリアの祖母が、凹んでいるカリアにトドメをさす。

ぐっさりという音が聞こえてくるようだ。

そんなカリアを、双子は面白がって更に追い打ちをかけている。


「さ、さ、取り敢えず本家に向かうよ!」


テキパキと、カリアの祖母は荷物を受け取り、タクシーを呼んでいた。


「うわぁ!!初めての日本!!晩御飯は、スシかな!?おおっ日本語だーー!」


空港内を歩くエスターテは、ずっと興奮気味だった。


「ほら、エスター!早く行かないと組の方が待ってますよ?」


「ううう……そのことさえ無ければ楽しい日本旅行なのにいいい」



「何をいってるんですかっ護衛がメインなんですからね!」



そういいながら、エスターテをタクシーに詰め込む。


「うあああ聞きたくないいい」



タクシーは、イタリアからやって来たマフィア達を載せて本家に向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ