一族編 53、αの今
「あ、カリアさん!」
入ってきたのはカリアだった。
「おーおー皆集まってどうしたんでぃ?……ってん!!?」
ぎょっとした顔でエスターテを見つめる。
エスターテはと言うと、騒がしい奴が来たとでも言いたげな表情でカリアを見ていた。
「ぎゃああっ!!え、エスターテ君にロッタがとり憑いたああっ!」
「よく分かりましたね、顔はエスターなのに」
ルピィもジッとエスターテの顔を見つめるが、もし自分であればこんな一瞬で見分けることは出来ないだろう。
「顔がエスターテ君でも雰囲気がもろロッタなんだよぃっ!……ってお前体調悪いのかぃ?」
「エスターテさんが過呼吸を起こしてしまったんです。今は落ち着いてますよ」
「エスターテ君がかィ……それは大変だったねェ。しかしエスターテ君の顔だとお前も本当に、18歳らしいねぇ!」
わはは、と笑いながらロッタの肩に腕を回す。こうしてみると同い年の友達にしかみえない。
「……意味わからん」
ガシャーーン!!
音がした方を向くと、ハヤトが持っていたグラスを床に落としてしまっていた。
だがハヤトはそんなこと気にもとめずに、驚愕している。
「じゅ、18!!!???ろろろロッタ18歳??!」
ハヤトは、全くロッタの年齢を知らなかったのだ。
ロッタ自身、隠していた訳じゃないが特に言うこともなかった。
親の替わりに育ててくれた恩人は、自分と三歳ほどしか変わらないと知って、驚きを隠せないでいる。
「こいつの顔年齢分かりづらいもんなァ……ロッタと出会った頃なんてねィ……って!!おいロッタ何寝てるんだ!」
カリアの話しを受け流すかのようにロッタは目をとじていた。
経験上、カリアの昔話は長くなる。
「ハヤト」
「はい」
「αはどうしている」
「……αは、表的には何もしてないよ。街はあの抗争以来、落ち着いてるし。もちろんまたあの街が狙われることがあったらαでなんとかするつもり」
だけど、と呟きハヤトは眉を寄せる。
「この前の事件、αの新入りが一人マフィアの命を奪ったって」
ルピィははっと息を飲む。
それに気づいてか、カリアはルピィの肩に手をおく。
「新入りってのがずっと引っかかってたんでィ。αは解散したってよく言われてたからねェ……今更新入りを集めるのかって」
「ええ。αとしては活動を休止していますので、新入りが入ったという事実は無いです。今はαのアジトに集まって話をしたり、ロッタを探しに出る者がいたり。せいぜい街で、喧嘩でもおこれば率先してとめにいく程度です」
「じゃあ、何処かでαを名乗る偽物がいるのですね……」
「……わかった」
ロッタは、考え込むような顔でそう一言呟いて本当に眠りについた。
「何をするつもりなんでしょうか……?」
ルピィは心配そうにロッタの顔を覗き込む
「こいつの封印とやらも、多分そう遠くないうちに解けるでさァ。色々考えてるんじゃねぇのかぃ?」
カリアの言葉に、今度はルピィが考え込む。確かにもうエスターテは、少量とはいえ数回酒を口にしている。
もし、封印が解けたとしたら、エスターテはどうなるのか?
「そうですか……なら、もう少しαの皆にはこの事は言わないでおきます」
「そのほうがいいでさァ。なかなか難しい話だからねぇ」
「はい!では、俺はそろそろ戻ります」
ハヤトは、休憩ルームから出て行った。




