一族編 52、過呼吸
==
===
====
ハヤトに全て話した。
ロッタとなった時の事
封印されエスターテが暮らしていた事
チャネルカ・ブースで少し封印が解けた事
全て話した。
「…………そんな事が」
ハヤトは相当ショックを受けているようだ。
ロッタの失踪はハヤトの想像よりはるかに重く、複雑なものであった。
「……すまない」
「……」
――ハヤトさん、複雑ですよね……親代わりの人が封印されていて……
「そっか!落ち着いたらたまにはαに顔出してよ?」
「ああ」
「ええ!?ハヤトさんなんか軽くないですか!?」
「え?俺はロッタが生きてて、また会えただけで嬉しいよ!」
ルピィは心の底からこのハヤトという少年を尊敬した。
自分が思うよりハヤトは強い。さすがロッタに育てられただけはある。
「エスターテさんの事もあるし暫くはロッタはお酒控えないとね!」
丁度ロッタがチューハイに口をつけようとしていたのを阻止する。
阻止されても無表情なロッタにルピィは苦笑する。
「……そろそろ寝る」
「もう寝ちゃうのロッタ〜?」
「エスターテが起きる」
するとロッタからエスターテになった。
が、エスターテの様子がおかしい。
顔がみるみる青ざめ、息が荒く冷や汗をかいている。
「エスター!?顔色が……っ!」
「エスターテさん!?」
「お……い……た……」
虚ろな目で何かを言っている。
「え!?どうしたんですか?」
「……思い……出した……妹の……こと……そっ……か、だから……あの時……ルピィを呼んで…………ッ」
「妹さんの事!封印が軽くなってまた思い出したんですか!」
「どうしようっ!」
最悪の事態を予想してしまいハヤトも顔が青ざめる。
エスターテの状態は悪化し、過呼吸を起こしていて相当ショックが大きいようだ。
「過呼吸が出てます……袋で口を覆わないと!」
ルピィの声でハヤトは慌て休憩ルームに袋がないか探し始める。
「う……」
「エスター!?」
「水、を……」
ハヤトが棚にあったミネラルウォーターを渡す。
「え、エスターテさん大丈夫ですか?」
よろよろとソファーに座り直し、水を一口飲む。
まだまだ顔色が悪いし体調がとても悪そうだがさっきよりは落ち着いたようだ。
ここでハヤトは何かに気付く。
「あれ?……ロッタ?」
顔や髪色こそはエスターテだが目付きがエスターテより鋭くなっている。
「ああ……精神が崩壊しそうだっから落ち着くまで眠らせておいた」
「ロッタも大丈夫なんですか……?とても調子が悪そうですが」
「大丈夫。同じ身体だから……影響があるのは当然だ」
そう言って水をゴクゴクと飲む。
「ビックリした!眠らせるなんてできるんだ」
「酒を飲んでからあんまり時間経ってなかったからな」
一先ず危機は逃れたようだ。
2人はホッと胸を撫で下ろす。
ウィィーン……
今度はC部屋の扉が開いた。