一族編 51、再び動きだす
同刻
〜B部屋〜
αの面々は仕事とかではなくただ社員旅行的な乗りでこの飛行機に乗り込んでいた。
三十路ぐらいの明らかに痩せすぎの男が休憩ルームから持ってきたワイン片手に話しかける。
「ハヤト、そういや結局チャネルカ・ブースでロッタさん見つけられなかったんだよな?」
「ええ。俺もあちこち探したんですが……」
この二人は立っているが、他のαの面々は各自椅子に座りくつろいでいる。
「まぁロッタさんは生きてるんだ!それがわかっただけでも大進歩じゃねーか!」
ニッと白い歯を見せ、直ぐに折れそうな程細い腕でハヤトの背中をバシバシと叩く。
「そういえば……」
「ん?ハヤトどうした?」
「いや、カリアさんもあの船に乗ってたし……もしかしたらロッタを見たかも、って」
「おー、あり得る話だな。ちょいと行って来いよ」
「はい!」
ハヤトは返事をすると同時にC部屋に向かって走って行った。
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〜C部屋〜
双子が休憩ルームから帰って来て飲み物を手にしているのを見、
「ルピィ……飲み物取りに休憩ルーム行かない?」
エスターテが恐る恐るルピィにたずねる。
「エスター?貴方1人で行くのが怖いのですか?」
「うっ……そ、そうだよ……だって1人じゃ危ないよ!?」
「……仕方ないですねぇ」
やれやれと席を立ち、休憩ルームへと向かった。
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カリア祖母
「ありゃ、エスターテ君休憩ルームに行っちゃった……」
「仕方ない、双子とでも遊ぶか〜」
〜休憩ルーム〜
「わ〜沢山ある!」
休憩ルームの飲み物はコンビニのように陳列されている。だがコンビニより種類が豊富である。
「あー初めて見るジュース!」
エスターテは待ちきれないのか棚から缶ジュースをとるやいなやすぐに蓋を開け、一口飲む。
「エスターったら!まあここで飲みますか……」
ルピィもサイダーを手に取り休憩ルームにある大きなソファーに腰かける。
エスターテもルピィに続き、テーブルにジュースを置きルピィとテーブルを挟んで向かいにあるソファーに腰かける。
と、そこでルピィは何かに気づく。
「あ」
「?」
「エスターっ……」
ウィィン……
休憩ルームのB部屋側の扉が開く。
「あ、ルピィさんにエスターテさん」
中に入ってきたのはハヤトだった。
ルピィはこれまでに無いほど あちゃー とでも言いたげな表情になる。
「俺も何か飲もうかなー」
ハヤトはソファーに背を向け飲み物を選び始める。
その隙にルピィはエスターテに近より小声で指摘する
「エスターテ!それっチューハイですよっ!?」
「えぇ!?ジュースじゃな……」
ハヤトの方を見るとまだ飲み物を選んでいる。
チューハイとはいえお酒を飲んだからには封印は軽くなり、一時的にロッタになる。
だが、まだ完全に解決していないのでここでハヤトとロッタを会わせるべきではないのだが……
ルピィが再びエスターテを見るとロッタになっていた。
彼も表情があんまり変わらないとはいえこれまでに無いほど あちゃー と言いたげな顔をしていた。
「これにしよっと♪ルピィさん、エスターテさんご一緒しても……」
ハヤトが振り返り、固まる。
「え……ロッタ……?」
「……ハヤト」
名前を呼ぶとより嬉しそうな顔をするハヤト。
「俺っ皆に……!」
ハヤトがB部屋に戻ろうとするのをルピィがおさえ、半強制的にソファーに座らせる。
「まぁ、あの、一旦座って下さい!」
ハヤトは不思議そうな顔をする。
「……ハヤト、話す事がある。」