一族編 48、祖母
空港の入り口前に停まるカリア達の車。
黒光りする明らかに危ない雰囲気の車に近づく人は当然いない。
カリア達の乗る車の周りには不自然過ぎる程人気がなくなっていた。
「ああぁあ……明らかに皆怖がってるよ……車降りたら確実にマフィアだって勘違いされる! 」
わたわたと1人で焦るエスターテにルピィはぷっと吹き出す。
「もういっそのことマフィアになればいいんですよ」
「ルピィ!ふざけないでくださいまし!? 」
余裕が無く言葉使いがおかしくなってしまっているエスターテを見て更に吹き出すルピィ。
コンコンッ
「?」
丁度エスターテが座っている後ろ座席の右側の窓に少女がノックをしていた。
この危ない感じの車に少女が近づいてしかもノックまでしているので遠巻きにこちらを見ていた人達が顔を青くしている。
少女は、6才ぐらいで明るい茶色の髪で淡いピンクのワンピースに白い長袖の上着を羽織っていて極普通の可愛らしい感じの女の子だ。
「あ、婆ちゃん」
――…………婆ちゃん!?
「カリアさん?今、なんて……」
お婆様!?
この可愛らしい少女がお婆様!?
カリアは車から降り、少女となにやら話している。
「さ、エスター、私たちも車から降りましょう」
カリアが外側からドアを開ける。
「あ!この人は!」
「ん?ルピィちゃん婆ちゃん知ってるのかィ?」
「え、ええ。チャネルカ・ブースの船内でレストランに行く途中に
ぶつかっちゃって」
「あぁ、婆ちゃんボスの兄弟の使い……まあボディーガードみたいなの
するためにあの船に載ってたからね」
……ボディーガード!?
そろそろとエスターテが車から降りる。
「この人がカリアさんが船で話してたボスの兄弟の使いさんらしーッスよランク」
「もっと厳ついおっさんをイメージしてたッスね、リンク」
ルピィに続きリンクとランクも降りてくる。
「まぁ、取り敢えず飛行機に乗ろうよっ!折角高いチケット買ったんだもん」
「婆ちゃんはしゃぎすぎでィあ、ちょ、腕引っ張らないで」
言動といい行動といいとてもカリアさんの おばあちゃん には見えない。
寧ろカリアさんがお父さんでおばあちゃんが子供という方がしっくりくる。
「そういえばルピィ、乗るのは普通の飛行機だよね?」
「?普通にマフィアとかが使う飛行機ですが……」
「……」
「全部ファーストクラスで、部屋は前からA~Dまでありますよ。私たちはB部屋ですね
ほら、チャネルカ・ブースみたいなものですよ!見た目は豪華飛行機で実は
武器とか運ぶ……」
「もういいよ、ルピィ」
さらにげんなりした顔のエスターテ。
ま、まぁ、今回は部屋がA~Dまでだから俺たちを除いたら怖い人たちは多くて3グループ
だけだし……こっそりしていれば問題はない……はず。
エスターテはまだ知らなかった。
その残りの3グループに奴等がいたことを……