一族編 47、カリア一家
2010年3月 PM6時
〜エスターテ自宅〜
ピンポーン
ピンポーン
ピンポーン……
ガチャ……
「はい?」
「エスターテ君!!!」
「へ!?か、カリアさん!?」
ドアの先にいたのはなんとカリアさん。
最後に会ったのが確かお爺ちゃん家の近くのバスの中だったからざっと6ヶ月ぶりだ。
「久しぶりですねカリアさん!」
「久しぶりィ!あ、でさ、エスターテ君卒業したよね!?」
「えぇ、なんとか。お父さんとお母さんのパン屋で働くつもりです」
――夢とかないし企業とかサラリーマンとか柄じゃないしね(笑)
「そっか!唐突で悪いけどさ、日本に行こう!」
「ほへぇ!?」
本当に唐突過ぎて思わず間抜けな声を出してしまうエスターテ。
「いやねィ、詳しくはまたおって話すけど、ひとまず行こう!エスターテ君日本好きなんでしょ?」
「えぇ、まぁ。いいですけど俺お金無い……」
「大丈夫大丈夫!カリアおにーさんが連れていってあげるからさァ!」
タダで憧れの日本に行ける!
凄い!
「いいんですか!」
これまでに無い程目を輝かせる。
まるで餌を貰える犬のように。
「じゃあ、急で悪いけど今から荷物詰めて☆」
「え」
思わず硬直する。
今 か ら ?
視線をドアの外にうつすと、真っ黒の高級車に乗ったルピィと双子が……
「エスター!急いで下さい!」
「えええええぇぇぇええ!!?」
==
===
====
〜車の中〜
「うぅ、こんな黒塗りの高級車乗ってマフィアの気分だよ」
一人でぶつくさ文句を言っているエスターテ。
だが、スーツでサングラスの運転手が怖くてあまり大声では文句は言えない
「空港まで直行ですよエスター!」
「「エスターテ君あの船以来ッスね」」
「へ?あぁ、お久しぶりです!」
「名前まだ言ってなかったし改めて挨拶しないとだめッスね?ランク」
「そうだねリンク〜」
――見事なまでに顔が同じだ。
「えっと、僕がランクで」「僕がリンク」
「あ、エスターテです」
「「よろしくッ」」
「そうそう、エスターには今回の日本行きについては説明してませんでしたよね?」
「まだだよ。何で日本に行くの?」
「ふふ、その前にカリアさん何歳だと思います?」
……何でいきなりそんな質問を?
「17、8ぐらいかな?」
「残念!答えは95でしたッ」
「ええぇ嘘言わないでよルピィ!」
「本当なんだぜィ〜」
――いやいやいやッどうみても二十歳いってないぞ
「ほれ、俺の免許証」
カリアから恐る恐る免許証を受けとるエスターテ。
そしてカリアの生まれた歳を確認する。
――まさか本当に95歳とは……
「カリアさんの一族はなぜか老けない・長寿の特殊体質なんですって」
ん?とエスターテが首をかしげる。
「それとこの日本行きとどう関係が??」
「俺の母親と父親、祖父に祖母、曾祖父はイタリア人なんだけど俺の祖先は
ずっと日本人だんたんでさァ。それで、今回は俺の曾曾婆の依頼で日本に行くことになったのさァ!」
……なんだか愉快な一族だなぁ
ってか、曾曾婆ちゃんが生きてるって……今何歳なんだろう
「「空港ではカリアさんの祖母が待ってるらしいッスよ。合流して一緒に日本に行くらしいですよー」」
ルピィはそれは知らなかったようで、そうなの?と聞き返している。
……カリアさんが95歳ってことはそのカリアさんの祖母って
……今何歳なんだろう
「危険な匂いがするのであんまり聞きたくないけど……依頼って?」
「護衛ッスよ護衛ー」
「カリアさんの一族は日本では極道一家ッスからねー」
「年に一回の一族の集会があるからその時にまぁ他のヤクザさんが
襲ってきたら護衛しつつヤクザさんをぶッ飛ばすって事ですよ!」
お願いだからルピィ、笑顔で恐ろしいこと言わないで!
「あは、は、も、もちろん俺は違う場所で待機ですよね?」
「何言ってるのエスターテ君!ネロディーファミリーは今別件で人手不足
なんだよォ?もちろん君にも護衛してもらうよ☆」
「いやだぁぁぁぁぁぁあヤクザさん怖い!極道一家怖いよ!俺、マフィアじゃないから!一般人!OK!?」
「エスター、そのかわりにタダで日本旅行行けますし、必ずしもヤクザさんが襲ってくるとは限りませんよ?」
「う……」
日本旅行 というワードに心が大きく揺らぐエスターテ。
だが
「「まぁ襲ってきた率はほぼ100%ッスけどね」」
「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁああ」
「お、空港に着いたぞィ~」